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重要無形文化財「歌舞伎」保持者に認定

神前町出身の三味線奏者・豊澤長一郎さん
 神前町出身の三味線奏者・豊澤長一郎さん(43)=本名・西邑晃一、横浜市在住=が伝統歌舞伎保存会の会員として重要無形文化財の保持者に認定され、先日、歌舞伎座で認定書の伝達式が行われた。幼少から父母の指導で剣舞に親しみ、長浜曳山まつりで三番叟を舞い、三役修業塾で三味線を学ぶなど、長浜で伝統芸能の素養を育んだ。目下、京都南座で開催中の坂東玉三郎特別公演のため神前町の実家から通っている豊澤さんに話を聞いた。
 伝統歌舞伎保存会は歌舞伎に携わる俳優、竹本(太夫・三味線)、長唄、鳴物、狂言作者のうち、舞台経験20年以上の技芸優秀な者だけが選ばれて会員となれる。会員に選ばれると同時に、文化庁の重要無形文化財保持者に認定される。
 豊澤さんは剣舞・歌謡舞の「光粋流舞道」を主宰する西邑光粋さん(72)=本名・正光=の長男で、幼少から剣舞に親しみ、長浜曳山まつりでは開幕を祝う三番叟役者も務めた。高校1年の時、光粋の勧めで長浜曳山まつりの三役(振付、太夫、三味線)を育成する三役修業塾に入塾。「最初は無理矢理行かされて嫌でしたが、三味線を弾いているうちに男性的で重厚な音に魅かれました」と当時を振り返っている。高校3年生の時には三味線奏者として長浜曳山まつりのアメリカ公演に帯同し、現地で剣舞も披露した。
 高校卒業後、「子供歌舞伎伝承委員会」で委員長を務めた原田良策さん(故人)の強い後押しを受けて上京。国立劇場で2年間、三味線の研修を受けた後、21歳で松竹と契約を結んだ。「剣舞の全国大会で優勝していましたし、父の跡を継ぐつもりでいました。剣舞以外の道はないと考えていましたが、原田さんの後押しが大きな転機でした」。
 1997年に近松座の「曽根崎心中」で初舞台を迎え、99年には大舞台が舞い込んだ。歌舞伎座「奥州安達原」で大役が病気のため出演できなくなり、公演当日朝に、急きょ代役に抜擢された。かつて三役修業塾で親しんだ演目だったことから、無事に代役を務めあげ、歌舞伎座賞を受賞した。
 以来20年間、三味線奏者として歌舞伎の舞台を踏み続けている。公演は年間10カ月以上で、毎月、異なる演目を演奏する。これまでに玉三郎さんをはじめ、片岡仁左衛門さん、松本白鸚さん、市川海老蔵さん、松本幸四郎さん、中村勘九郎さんら名だたる役者と共演を重ねてきた。
 人気漫画「NARUTO―ナルト」を原作とした新作歌舞伎の作曲と演奏を担当するなど、活動の幅も広がっている。目下、京都南座で公演中の坂東玉三郎特別公演(2~26日)では「檀浦兜軍記 阿古屋」に出演。「絶対にミスが許されない舞台で、毎日が初日のような緊張感があります」と語る。
 20年を超える芸歴と舞台での活躍が認められ、伝統歌舞伎保存会への入会と重要無形文化財保持者認定が決まった。「国立劇場竹本研修の1期上の先輩で、三役修業塾で一緒に三味線を習った豊澤勝二郎さんも認定されました。長浜から2人も認定されたのは曳山まつりと三役修業塾のおかげ」と語り、「将来的には三役修業塾の指導に携わるなど、長浜の伝統芸能のすそ野を広げるお手伝いができれば」と話している。
 「剣舞で研ぎ澄まされた感覚や礼儀が舞台でも生かされている。両親の厳しい指導に感謝します」と語る豊澤さん。光粋さんは「よくぞここまで成長してくれた」と語りかけていた。


2019年03月15日 16:30 |


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