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土倉鉱山を愛し続け

「生き証人」是洞さんが苦節語る
 産業遺産、土倉鉱山の歴史と魅力に迫る講座が25日、木之本町金居原で開かれ、削岩夫として働いていた余呉町新堂の是洞光男さん(85)が当時の苦労話を語った。
 銅を採掘していた土倉鉱山は1942年開業。最盛期には366人の従業員が従事し、周辺には診療所、映画館などができ、約1500人が暮していた。60年代になると世界的に銅価格が低迷し、安価な銅が輸入され、65年に閉山となる。
 是洞さんは18歳から閉山時まで岩盤にダイナマイトを仕掛け、鉱石を掘り取る削岩夫として勤務。最盛期、30人が削岩夫として働いていたが、現在、生存しているのは是洞さんただ1人で、往時を知る「生き証人」。
 削岩夫は労働基準局の保安教育を受け、火薬取り扱いの免許を所有。岩盤にダイナマイトを押し詰め、導火線を繋ぎ、爆破させ採鉱する。坑内の最先端で直径約2㍍、長さ1本30㍍の立抗を切り上げながら、掘り進む重要な責務を担っていた。
 「鉱山は工夫が仕事を作る」と語る是洞さんは約1カ月、1本のペースで立抗を掘った。頭上でハッパが爆発する危険な作業の連続で、二酸化炭素中毒にもなり2度、死に直面した。命がけの作業だったが、是洞さんは「土倉鉱山を愛し続けたからこそできた」と語った。
 思い出深い土倉鉱山が廃墟と化していることに関して「皆さんの力で発展してゆくように」と願いを込めていた。


「貴重な産業遺産」、前畑さん魅力に迫る
 また、この日は内閣府地域活性化伝道師の前畑洋平さん(NPO法人J—heritage総理事)が土倉鉱山の歴史的価値と魅力について語った。
 前畑さんは各地で廃墟と化したホテルや鉱山など「産業遺産」を取材。「見たい、撮りたい」という旅人と「歴史を伝えたい、活用したい」という地域を繋げるコーディネーター的な役割を担っている。
 前畑さんは公開されている神子畑選鉱場跡(兵庫県朝来市)や世界遺産の「軍艦島」(長崎市)などの例をあげながら、土倉鉱山の特徴として、鉱石を選別する「選鉱場」が2カ所現存していることを紹介。「地域産業をけん引し、郷土史を語る上でも貴重な遺産」と話した。
 また、「廃墟マニアの聖地」と化していることなどを受け、コーディネーターの設置などを提案。「廃墟の景観を生かしつつ、多くの人を巻き込みながら、保存活用を。行政は歯車が回りかけたら、一気に動く」と訴えていた。
 講座は木之本まちづくりセンターが主催したもので、住民ら約100人が聴講した。


2018年08月27日 17:41 |


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