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被災地に響け、早崎の鐘

要誓寺で、震災にあわせ追悼
 「亡き人たちから生きている我々に何をすべきか、教えてもらおう」—東日本大震災から5年目を迎えた11日、早崎町、要誓寺の早嵜和典住職(41)は追悼の鐘に思いを込めた。
 宮城県仙台市に生まれた早嵜さんは熊本県の寺院で知り合った佳子さんと2009年に結婚。妻の実家である同寺の住職となった。
 震災後、古里のことが心配になり、当時、勤めていた仕事を辞め、仙台へ。兄や若い仲間たちと避難所に向かい、真宗大谷派からの支援物資や義援金を被災者に届けたり、炊き出しなどのボランティアに明け暮れた。
 また、同派仙台教区(岩手、宮城、福島)では大破したり、原発の被害に遭った寺院もあり、瓦礫の撤去や汚染地域の除染を手伝った。最近では放射能から守るため、福島の子どもたちを京都などへ「一時保養」。また、地元、早崎町の子どもたちと一緒に育てたサツマイモを被災地にプレゼントしている。
 これまで、震災の日は被災地で法要を営んでいたが、今年からは「ご恩を忘れない」という意味を込めた同派の法要「勿忘の鐘」に参加。長浜を拠点に移しながら、支援活動を続ける。


原発事故の後遺症
 震災から5年。ボランティアを続けている早嵜さんだが、自身の中でさまざまな葛藤があった。
 宮城の友人の中には「まだ、ボランティアをしているの」と嘲笑された人も。同じ宮城、同じ東北でも沿岸部と山間部では被災状況が異なり、住民の震災に対する意識には温度差があった。
 被災地に足を運ぶと、まだ仮設住宅がいっぱい。福島原発の労働者が多い女川町では、放射能に汚染されただけでなく、「(事故は)お前らのせいだ」などと、住民間で誹謗中傷があり、地域の絆も引き裂かれていた。
 被災者は皆、「助けてもらった」という意識はあるが、トラウマや悲しみに包まれ、本音を口に出そうとはしない。それは津波、原発事故など悲惨な震災を思い出したくないから。
 早嵜さんは「長浜では(震災が)自分の身に降り掛かっていないから、感覚が薄れている。近くには『原発銀座』もあり、自分は関係ない、とは言えない。電気という便利さを求めて、見えなくなっているものがあるのでは」と語っている。


2016年03月11日 16:38 |


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