滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



国友の発明家、一貫斎描く

山本兼一さんの遺作「夢をまことに」
 日本初の反射望遠鏡を製作した江戸時代の発明家・国友一貫斎(1778〜1840年)の生涯を、直木賞作家の山本兼一さんが描いた小説「夢をまことに」がこのほど文藝春秋から発刊された。国友一貫斎科学技術研究会会長の廣瀬一實さん(国友町)は「一貫斎は国友や長浜だけでなく、日本を代表する発明家。その姿が私たちの思い描くように表現された」と喜んでいる。
 小説は国友村(現長浜市国友町)の鉄砲鍛冶・一貫斎が村の訴訟で江戸に赴くシーンから始まる。好奇心旺盛な一貫斎は江戸で各藩の鉄砲鍛冶と交流して知見を広め、空気銃や反射望遠鏡の製作に取り掛かる。度重なる失敗にも負けず、創意工夫を重ねながら発明家として才能を開花させる過程をち密な描写で表現し、仕事とモノ作りの喜びを一貫斎の生涯を通して綴っている。
 「利休にたずねよ」で第140回直木賞を受賞した山本さんは、職人の手仕事を丁寧に描写することで知られ、「夢をまことに」の執筆にあたっては、国友町を何度も訪れ、過去に反射望遠鏡のレプリカを製作した国友一貫斎科学技術研究会にも取材。製作工程を何度も確認するなど、手仕事にこだわった。
 廣瀬さんは望遠鏡の図面や製作工程などすべての資料を山本さんに渡し、執筆に協力。「山本さんが一貫斎を取り上げると聞いて、是非とも江戸へ赴く場面から描いて欲しいと願っていたら、その通りになった。望遠鏡製作の描写がとても細かく、職人肌を感じた」と振り返り、「望遠鏡の製作に没頭する実直な一貫斎の姿は、山本さんと重なる」と話す。
 山本さんに廣瀬さんを紹介した長浜観光協会事務局長の清水義康さんは「地域の偉人である一貫斎を世に出し、映像化に向けて国友や関係者と一緒に盛り上げてゆきたい」と話している。過去には長浜などを舞台にした小説「偉大なる、しゅららぼん」(万城目学さん著)の映像化のため、主人公が着ている赤い学生服を職員が着て話題づくりに取り組んだ経緯があり、書籍化を機にした地元の盛り上がりに期待を寄せている。
 小説は2012年7月から翌年6月まで京都新聞で連載された。山本さんは執筆中、肺腺ガンのため入院し、病床で原稿を書き続けたが、14年2月に57歳で亡くなった。四六判、520ページ。2200円(税別)。全国の書店で発売中。


2015年02月19日 16:08 |


過去のニュース


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
“新聞広告の資料請求、ご案内はこちらから"
 
長浜市
長浜市議会