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記憶の断片、絵画で回想

湖北病院で布施すみ江さんの作品展
 失いかけた記憶の断片を油絵で回想する布施すみ江さん(88)=木之本町北布施=の絵画展が、湖北病院の展示室で開かれている。27日まで。
 布施さんは田んぼや畑仕事の合間を見つけては、文化刺繍や編み物などをこなした手先の器用な女性。子育てや仕事が、ひと段落した70歳の頃、水墨画に興味を持つようになり、その後、公民館の油絵教室にも参加するようになった。
 朝から晩まで絵に没頭し、友人たちと写生に出かけるようになる。「七十の手習い」のため、思うように描けないが、家族に「ちょっと、この絵どうやろ」と聞くのが口癖だった。
 80歳を過ぎ、軽い脳梗塞で倒れた。足をひきずるようになり、自宅療養を続けていたが、ズボンに付いた綿クズを一日中取っていたり、妄想し始めるようになった。
 医師の診断は「認知症」。すみ江さんと二人三脚で過ごしてきた夫の忠久さん(90)は途方に暮れてしまった。施設を変えながら、ショートステイを繰り返していたが、病状は悪化の一途。忠久さんの体も悲鳴を上げるようになり、昨年8月から特別養護老人ホーム「伊香の里」に入所している。
 面会に訪れる忠久さんから、すみ江さんが以前、油絵を描いていたことを知った施設が、作品を食堂に飾ったところ好評で、長年「お蔵入り」になっていた作品を一堂に展示することになった。
 会場には長年、忠久さんが営んでいた養蜂の仕事ぶりを描いた作品や、秋の鶏足寺などほのぼのとした風景画が並ぶ。すみ江さんは自身の絵を見ながら、「真っ赤なモミジがきれいだったのよ…」などと、当時の思い出を語り始めていた。


娘からの手紙
 個展に関し、娘・松田多恵子さんからの手紙が施設に寄せられている。
 「元気な頃の母を思い出す、きっかけをいただいた。ここに入所することがなかったら、恐らく母の絵はだれにも見て頂くこともなく、倉庫で眠っていたと思います。ただ、私の心残りは、認知症になる前の母に一言『上手に描けたね』と言ってあげればよかった、ということ。母は手厚い介護と優しさに包まれて、幸せな時間を過ごしています。思いもよらない機会を与えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです」。


2012年04月10日 15:22 |


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