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心温まるニュース

 海外旅行中、「財布を無くした」「後で必ず返すので、お金を貸して欲しい」という旅行者に出会うことは珍しくない。人の善意につけこんで金を騙し取る寸借詐欺の典型だ。困っている人がいると助けたくなるのは自然と沸き起こる気持ちだが、やっかい事に巻き込まれるのは面倒だと傍観を決め込むのも、人それぞれであろう。
 今、沖縄を舞台にした高校生と男性の温かい出会いが話題となっている。高校生は今年4月、与那国島での親族の葬儀に参列するため、モノレールで那覇空港に向かっていたところ、財布がなくなっているのに気付いた。那覇空港駅に着いた車内で茫然としていたところ、男性から「どうしたんだ?」と声を掛けられた。男性は高校生から事情を聴くと、財布から6万円を出して高校生に渡して空港に向かわせた。後日、この経緯が沖縄の地元新聞で「恩人を捜している」と取り上げられた。インターネットでもニュースが拡散し、埼玉県に住む男性の耳に入り再会となった。
 痛ましい事件や事故が相次ぐ最近のニュースにあって、見ず知らずの人の善意に心が温かくなる話題だ。
 小生も善意が忘れられない旅先での思い出がある。学生時代に夏休みを利用してヨーロッパに貧乏旅行に出かけた際、スイスで物価の高さに困ったことがあった。スーパーでパンやチーズを買ってサンドイッチにして食費をケチるなどして旅費をセーブしたが、ジュネーブで誕生日を迎えた際、ちゃんとしたレストランで食事をしたいと店頭のメニュー表とにらめっこしていたところ、日本人夫婦に声を掛けられた。事情を説明すると「せっかくの誕生日。御馳走するよ」との温かい言葉。久しぶりの豪華な食事に夢中になったのを覚えている。夫婦のうち男性は京都市内の大学の教授で、仕事でジュネーブを訪れていた。レストランに入るか悩んでいる日本人の若者旅行者が気になって声を掛けたという。名前を聞き、帰国後、お礼のはがきを出したきり連絡は取っていないが、そういう思い出が残っていてか、社会人になってからは旅先で貧乏学生に出会うとご馳走することがある。旅先で受けた親切を旅先で返すよう自分なりに心掛けているわけだ。
 「自分も困っている人を助けられるような大人になりたい」と語る沖縄の高校生だけでなく、このニュースに心を温められた多くの人に善意と親切の連鎖が生まれることを期待したい。

2019年05月22日 12:30 |


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