滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2019年05月22日

心温まるニュース

 海外旅行中、「財布を無くした」「後で必ず返すので、お金を貸して欲しい」という旅行者に出会うことは珍しくない。人の善意につけこんで金を騙し取る寸借詐欺の典型だ。困っている人がいると助けたくなるのは自然と沸き起こる気持ちだが、やっかい事に巻き込まれるのは面倒だと傍観を決め込むのも、人それぞれであろう。
 今、沖縄を舞台にした高校生と男性の温かい出会いが話題となっている。高校生は今年4月、与那国島での親族の葬儀に参列するため、モノレールで那覇空港に向かっていたところ、財布がなくなっているのに気付いた。那覇空港駅に着いた車内で茫然としていたところ、男性から「どうしたんだ?」と声を掛けられた。男性は高校生から事情を聴くと、財布から6万円を出して高校生に渡して空港に向かわせた。後日、この経緯が沖縄の地元新聞で「恩人を捜している」と取り上げられた。インターネットでもニュースが拡散し、埼玉県に住む男性の耳に入り再会となった。
 痛ましい事件や事故が相次ぐ最近のニュースにあって、見ず知らずの人の善意に心が温かくなる話題だ。
 小生も善意が忘れられない旅先での思い出がある。学生時代に夏休みを利用してヨーロッパに貧乏旅行に出かけた際、スイスで物価の高さに困ったことがあった。スーパーでパンやチーズを買ってサンドイッチにして食費をケチるなどして旅費をセーブしたが、ジュネーブで誕生日を迎えた際、ちゃんとしたレストランで食事をしたいと店頭のメニュー表とにらめっこしていたところ、日本人夫婦に声を掛けられた。事情を説明すると「せっかくの誕生日。御馳走するよ」との温かい言葉。久しぶりの豪華な食事に夢中になったのを覚えている。夫婦のうち男性は京都市内の大学の教授で、仕事でジュネーブを訪れていた。レストランに入るか悩んでいる日本人の若者旅行者が気になって声を掛けたという。名前を聞き、帰国後、お礼のはがきを出したきり連絡は取っていないが、そういう思い出が残っていてか、社会人になってからは旅先で貧乏学生に出会うとご馳走することがある。旅先で受けた親切を旅先で返すよう自分なりに心掛けているわけだ。
 「自分も困っている人を助けられるような大人になりたい」と語る沖縄の高校生だけでなく、このニュースに心を温められた多くの人に善意と親切の連鎖が生まれることを期待したい。

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2019年05月13日

プラスチックごみの行先

 スーパーでの買い物のお供に「マイバッグ」はすっかり定着した。プラスチックごみ削減を狙ったレジ袋の有料化の効果ではあるが、これからは店頭に並ぶ商品の包装についても思いをめぐらせるべきかもしれない。
 こう考えるのは、有害廃棄物が国境を越えて移動することを制限する「バーゼル条約」の対象に、汚れた廃プラスチックを加えることが決まったというニュースを知ったからだ。この条約によって2021年以降、汚れた廃プラを輸出する際には相手国の事前の同意が義務づけられることになり、事実上、輸出は難しくなる。他国の、しかもリサイクルの難しい汚れたごみを喜んで受け入れる国なんてないからだ。
 日本の廃プラの排出量は年間約900万㌧という。そのうち約100万㌧を「リサイクル資源」として海外に輸出してきた。そのお得意先は中国だったが、現地でリサイクルされずに投棄されるなどの環境汚染を引き起こしていることから、中国は受け入れを禁止。このため、タイなどの東南アジアへの輸出に切り替えていたところ、今度の条約の改正だ。
 これにより、日本は廃プラの全量を国内で処理することになる見込みだ。廃プラはペットボトルや食品用トレー、シャンプーの容器など、私たちの生活に非常に身近な存在だ。これらは自治体(長浜市、米原両市の場合は湖北広域行政事務センター)が回収した後、リサイクル業者に引き渡されているが、輸出禁止によってリサイクルコストが上昇するようなことがあれば、そのコストは我々消費者にも跳ね返ってくるかもしれない。
 これを機に国内でのリサイクル体制の再構築が欠かせないが、昨今、課題として認知されてきた海洋へのプラスチックごみ流出などを考えると、プラスチックに頼らない商品やサービスの在り方を模索する必要がある。先進的なメーカーはたい肥化できたり、リユースできたりする容器や包装材を開発している。
 国内で排出されているプラスチックごみを「リサイクル」の名目で東南アジアなどに押し付けて環境汚染を引き起こし、日本人が涼しい顔しているなんて恥ずべきことではないか。

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2019年05月10日

歩行者優先のマナーを、全国交通安全運動

 大津市で8日、散歩中の保育園児が交通事故の巻き添えとなって、園児・保育士の16人が死傷した。ドライバーの不注意が招いた痛ましい事故に、あらためて日ごろの運転マナーを見直したい。
 11日から春の全国交通安全運動が始まる。運動の重点は「子どもと高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止」など4項目あり、特に滋賀県警では横断歩道での歩行者優先のルールを徹底させるため、「横断歩道利用者ファースト運動」を推進する。
 道路交通法では信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている場合、車は一時停止することが義務付けているが、実態はかけ離れている。
 JAFが2016年から全国で実施している調査では、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面での車の一時停止率は8%前後で推移している。実に9割以上の車が一時停止しておらず、横断歩道前の歩行者に注意を払っていないことがうかがえる。また、調査に先駆けて行った「交通マナー」に関するアンケート調査でも「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い」との回答が86%にのぼった。
 あらためて道交法を紹介すると、「横断歩行者等の保護のための通行方法」として、▽歩行者の有無を確認できなければ、横断歩道の停止位置で止まれるような速度で進行する▽横断しようとしている、あるいは横断中の歩行者や自転車がいるときは必ず一時停止をする▽横断歩道内およびその手前30㍍は追い越しや追い抜きを禁止―。
 以上が道交法のルールではあるが、法律を持ち出すまでもなく、ドライバーには歩行者や自転車などへの配慮や優しい心遣いが求められる。
 ヨーロッパへ旅行したことがある人なら、「歩行者ファースト」が当たり前となっていることを感じるだろう。信号機のない横断歩道に立てば、必ずと言っていいほど車が一時停止して歩行者に道を譲る。これは交通ルールが徹底されているというより、弱者への優しさ、いたわり、配慮の心が醸成されているからだと小生は考えている。一方で、日本を含むアジアの国々は往々にして「車ファースト」。歩行者が車にひかれないよう注意する必要がある。
 春の全国交通安全運動で滋賀県警が掲げる「横断歩道利用者ファースト」は、単に「交通ルールを守れ!」という啓発ではなく、ドライバーが弱者への優しさ、配慮の心を持っているのか、試されていると受け止めたい。

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2019年05月08日

GWの駐車場問題

 10連休となった今年のゴールデンウイーク(GW)。「長すぎる」との悲鳴も出るほどだったが、旅行に出かけたり、地域の行事に参加したり、家でのんびりしたりと、改元を祝いながらそれぞれが連休を満喫したことだろう。また仕事に追われたサービス業従事者らは今ごろ安堵のひとときだろうか。
 行楽地は空前の賑わいを見せた。県内ではたねやの「ラ・コリーナ近江八幡」に約15万人が来場し、人気のカフェは最大2時間待ちとなったという。
 長浜市街地も大勢の観光客で賑わった。4月27日から5月6日までの10日間に黒壁スクエアを訪れた「来街者」は約19万5000人で昨年の15万人を大きく上回った。親子丼やのっぺいうどん、その他B級グルメの店も含め、飲食店の前には大行列ができていた。
 さて、そんなGWで小さいことだが、気がかりなことがあった。いくつかの民営駐車場が日ごろとはケタ違いの料金を設定し、観光客の不評を買っていたことだ。
 例えば長浜市元浜町の民営駐車場は、平日は30分200円で当日最大料金は500円、土・日・祝は15分200円で最大料金の適用がないという価格設定。しかし、GW中は15分500円で最大料金の適用がなかった。観光のため2時間車を停めれば4000円も取られることになる。これを知った市民からは「ありえない」「ぼったくり」との批判が噴出していた。
 おまけに駐車場の名称には「黒壁スクエア」という表記が含まれている。黒壁スクエアを訪れる観光客が黒壁直営と誤認して車を停めたあげく、請求金額に驚いて黒壁に苦情を入れたケースもあった。
 民間企業の自由な営利活動とはいえ、利用者した観光客は決して気持ちは良くないであろう。このまま、放置すれば長浜の街や黒壁のイメージダウンに直結することは間違いない。まずは「黒壁」の名を使わせない工夫が必要であろうし、こういった観光客の足元を見るような駐車場経営に、観光に携わる関係者が声を上げないことには長浜の評判を貶めることになる。
 ただし、これは駐車場に限った話ではなく、観光客を金儲けのターゲットとしてか見ていないような商売が長浜でまかり通るようであれば、いずれ観光客に選ばれなくなる。

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