滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2019年03月30日

人口減少下の県政

 熱戦の火ぶたが切って落とされた滋賀県議選。長浜市選挙区は4つのイスをめぐって6人が争っている。
 現職、新人いずれも県議会や市議会で確かな実績があり、誰を県議会に送り出そうとも、しっかりと仕事をしてくれる面々だ。
 自民党は公認、推薦候補が4人立候補している。保守同士で激しい競り合いを演じるが、その盛り上がり次第では4人当選の可能性がないわけではない。一方のチームしがと共産党の現職は議席の死守が目標。自民にやすやすと議席を明け渡すわけにはいかないと、支持者の引き締めに懸命だ。
 立候補者全員が政治経験者ということで、この選挙ではこれまで取り組んできた実績や、候補者個人の人柄が問われる。そういう意味では選挙戦のスタートを6人が横一線で切ったわけではない。日ごろから有権者の幅広い支持を集めている候補もいれば、もう一押しが不可欠な候補もいる。
 複数の政党が調査を実施して、各候補がどの位置につけているのか把握しているようだが、飛びぬけて出遅れている候補はいない模様。ゆえに、この選挙戦で候補者自身と、候補者を支える選挙事務所のスタッフがいかにその熱を有権者に伝播させるかが、当落を占うことになる。
 さて、湖北地域で県政を語るとき、「南高北低」という言葉がたびたび登場する。京阪神のベッドタウンとして注目される大津、草津、栗東、守山など県南部はJR沿線を中心に街が広がり、人口も経済も各種の施設整備も集中する。しかし、県北部では過疎化が進み県営の公共施設が次々と姿を消した。県立高校の統廃合、奥びわスポーツの森のプールや虎御前山キャンプ場の廃止など、県営施設が湖北地域からなくなるたびに「県政は北部に冷たい」「県議は何をしているのか」と市民から指摘が出る。
 日本の将来を考える時、地方の過疎化と人口減少は避けられず、いかに住民サービスを維持するのかが自治体に求められる命題だ。その人口減少が進む県北部に県政がどのような手を差し伸べるのか。河川や道路の維持・管理という防災やインフラ対策に加え、市町と連携して県民の暮らしをいかに守ってゆくのか。県北部の声を代弁する各候補には人口減少を前提にした県政運営はどうあるべきなのか、語ってもらいたい。

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2019年03月27日

政治と役所とオジサン

 この時期は役所などの人事異動が相次ぎ、新聞の地方欄は市幹部の名前でびっしりと埋まる。滋賀夕刊でも先日、長浜市と米原市の幹部職員の異動を伝えた。ただ、紙上に並ぶ部長クラスの顔写真はオジサンばかりで、女性はほとんど見かけない。市役所に行くと女性職員が多いというのに、部長クラスに昇進するのはごくごく少数派なのだと、ずらりと並ぶオジサンの面々を眺めて改めて気づかされる。
 オジサンが幅を利かせるのは役所だけでなく、政治の世界も同じ。長浜市議会の場合は議員26人のうち女性議員はたった1人。女性比率にすると3・8%。内閣府の集計した「女性の政治参画マップ2018」によると市区町村議会の女性議員の平均比率は12・8%。決して誇れた数値ではないが、長浜市議会はそれを大きく下回っている。
 県議会に目を移すと、議員43人(欠員1人)のうち女性は7人で、比率は16・3%。この数値でも全国の都道府県議会では京都、東京に次いで3番目の高さというから驚きだ。全国平均は9・9%だから、市区町村議会に比べて都道府県議会はさらに女性から遠い存在のようだ。
 今月29日に告示される県議選の立候補予定者の顔ぶれはどうだろうか。立候補予定者61人のうち女性はわずか10人で、比率は16・4%。党派別では共産党が最多の5人を擁立する一方、最大勢力の自民党はゼロ。
 待機児童や児童虐待、非正規雇用などの問題は、男性目線よりも女性の視点、思考での解決が欠かせない。
 例えば、政府が今年10月から進める幼児教育・保育無料化。子育て世帯の負担感を和らげ、少子化対策につなげるのが狙いの政策だが、子育て世代の課題は子どもを保育園に預けたくても預けられない待機児童問題。そして保育園が抱える課題は保育士の人材不足。保育政策ではその2点の解決が求められているというのに、保育無料化は保育需要を高め、さらなる保育士不足を誘発する懸念がある。
 女性政治家が存在感を発揮できていれば、これらの政策の優先順位も変わっていたのではないか。役所も議会も、さらなる女性の参加を促す必要があると痛感する。

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2019年03月15日

映画を憎まず

 俳優のピエール瀧容疑者がコカインを使用したとして12日、逮捕された。2013年の映画「凶悪」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し、最近では「日本で一番悪い奴ら」「アウトレイジ最終章」「孤狼の血」での出演が印象に残っている。
 「やくざ映画」には欠かせない役柄であり、個人的にその演技を気に入っていただけに、今回の逮捕は残念でならない。
 コカインは映画やドラマによく登場する。ストローや丸めた紙で白い粉を鼻から吸うシーンだ。ピエール瀧が出演している映画に、そういうシーンがあったのかは記憶にはないが。
 過去には元プロ野球選手の清原和博、歌手のASKA、酒井法子、アーティストの槇原敬之らが覚せい剤取締法違反で逮捕されている。我々の日常生活では出会うことのない麻薬や覚せい剤が芸能界の華やかな世界では手の届くところにあるのではないかと勘繰る。
 さて、逮捕後の気になる動きに、瀧容疑者の出演する映画やドラマの放映、DVDの販売などを見合わせる動きがあることだ。過去にも俳優が逮捕された際には、出演作品がお蔵入りになったり、撮り直しが行われたりしたが、過剰反応ではないだろうか。
 実際に映画監督や制作現場からは「過去作まで封印するのは過剰反応」との批判の声が上がっている。「罪を憎んで人を憎まず」という格言があるが、犯罪は糾弾されたとしても、その作品には罪がない。映画や音楽はリリースされた以上、社会で共有される文化的資産であろう。それが業界の自粛によって姿を消すことに大いに違和感を覚える。

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2019年03月11日

原発事故の後始末

 きょう11日で東日本大震災と福島第1原発事故から8年を迎えるが、原発事故の後始末は先が全く見通せない状態だ。今も汚染水が発生し続け、溶けた核燃料「デブリ」の取り出し方法さえ決まっていない。8年たった今も5万人以上が避難生活を強いられている。
 デブリの撤去は放射線量が著しく高いため、人が近づいて作業することはできず、機材を遠隔操作して対処するしかない。回収機器の開発は可能として、デブリの保管や処分をどうするのか、どこが受け入れるのか。廃炉作業には30~40年かかると想定されているが、これまで経験したことのない壁が立ちはだかる。
 海外の事例では、1957年に火災事故を起こしたイギリスのウィンズケール原発は放射能が半減するまで100年以上待ってから施設を解体する予定で、目標年は2120年という。1986年に炉心溶融した旧ソ連のチェルノブイリ原発はデブリの取り出しを断念し、「石棺」と呼ばれるコンクリートの構造物で覆う応急処置のまま放置されている。目下、石棺の老朽化対策が大きな課題だ。
 この2例を知るにつけ、福島第1原発のデブリを回収、処分することは可能なのか懐疑的にならざるを得ないが、世界中に原発が設置され、いつかどこかで同様の事故が発生することを想定すれば、福島第1原発の後始末を成功させることは原発先進国である日本の責任だろう。
 福島第1原発事故は、世界のエネルギー政策の転機となった。ドイツが脱原発に舵を切ったように原発との決別を決めた国もある。また、各地の原発新設コストが安全対策のために高騰し、新設計画が廃止に追い込まれるケースも出ている。この影響で安倍政権が旗振り役となっていた日本の原発輸出も全て行き詰まっている。
 しかし、昨年7月に改訂された政府のエネルギー基本計画では「依存度をできるかぎり低減する」という方針を掲げながらも原発を基幹電源として位置づけ、2030年の電源構成比率の目標を20~22%に据え置いている。
 さて、民間シンクタンクの日本経済研究センターが福島第1原発事故の処理費用が最終的に80兆円を上回ると試算した。経済産業省は2016年12月に事故処理に22兆円かかるとの試算を公表していたが、それを大きく上回る金額だ。センターは過去にも「原発は安価な電源という訳ではない」と指摘し、今回もこの試算に合わせて「中長期のエネルギー計画の中で原発の存否について早急に議論、対応を決めるときではないだろうか」と提案している。
 センターが指摘するように、事故処理を含めた原発のコストが「安価」でないのなら、原発に依存する必要はない。脱原発を明確にし再生エネルギーへの転換を宣言することが、福島第1原発事故を防げず後始末もできていない日本の政治の責任ではないか。

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2019年03月02日

沖縄県民投票後、新聞どう伝えた?

 米軍普天間基地の辺野古への移設を巡る沖縄県の県民投票(2月24日)は、投票者の72・2%が移設に向けた埋め立て工事に「反対」を表明したが、その後の全国紙の報道を比べると、そのスタンスの違いが如実に表れている。
 例えば社説。朝日は「沖縄県民投票 結果に真摯に向き合え」(25日)、「政権と沖縄 これが民主主義の国か」(26日)などと取り上げ、辺野古反対の沖縄県の声に寄り添う。安倍首相が「投票の結果を真摯に受け止める」と語りながらも、埋め立て工事を続けていることに、「『真摯に』という言葉が空々しく響く」と批判している。
 毎日も「『辺野古』反対が多数 もはや埋め立てはやめよ」(25日)、「辺野古めぐる新状況 『唯一』の固定観念を正せ」(28日)と、政権へ方針転換を促している。朝日、毎日はもともと辺野古移設に反対の立場であり、県民投票の結果がその論調を補強する材料となっている。
 一方、産経は「沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け」(25日)と題し、「移設を進めることができなければ、市街地に囲まれた普天間飛行場の危険性を取り除くことはできない」とし、「県民の安全確保と、国民を守る安全保障政策を尊重し、移設容認に転じるべき」と玉城デニー知事に求めている。政府・与党に対しては「日本の安全にとって移設が重要であることを、県民に粘り強く説く責任がある」と指摘した。
 産経と同じく辺野古移設を推進する読売はまだ一度も社説で取り上げていない。25日の朝刊では他紙がトップ記事で県民投票を伝える中、読売は「適量ですか 高齢者の薬」と題した記事を掲載し、県民投票の扱いは大きくない。「県民の参加は広がりを欠き、影響は限定的」「法的拘束力なし」などと報道し、県民投票を矮小化する意識が見え隠れする。
 きのう1日、玉城知事が安倍首相に県民投票の結果を直接伝えた。玉城知事は「直接示された民意は何より重く、尊重されなければならない」と工事中止を求めたが、安倍首相は「もはや先送りできない」と取り合わなかった。
 これを受けて社説を掲載したのは朝日と東京。朝日は「政権と沖縄 対話なしに展望はない」(2日)と題して、「対話によって解決の道を探る。いま政府に何より求められることであり、その姿勢なしに将来の展望はない」と訴える。東京は「安倍・玉城会談 『真摯』の言葉に誠実に」(2日)との見出しで、安倍首相に対して「またかとため息が出る」「相変わらず誠実でない」と批判する。そのうえで、米軍再編計画を取り上げ「新たな地元負担なしの普天間返還の方策は必ずあるはずだ」と訴える。
 新聞各社の報道姿勢は以上の社説のように多様であるがゆえに、複数の新聞に目を通すことをお勧めしたい。幸い、社説は各社のホームページで公開しているので、インターネットで気軽に読み比べできる。日ごろ読んでいない新聞がどのような報じ方をしているのか、調べてみることも視野を広げ、頭を柔らかくするきっかけになる。

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