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臨時財政対策債

 滋賀県が8日発表した2019年度当初予算案。一般会計の総額は前年度比0・8%増の5415億円だった。高齢者介護や保育支援、障害者福祉などの経費が大幅に増えていることに加え、国民スポーツ大会(国体)に向けた関連施設の整備経費が目立つ。
 歳入の根幹となる県税収入はここ10年で最も高い水準で、前年度に比べ65億円増の1705億円を見込んでいる。県内企業の業績が好調で法人2税の増加が見込まれること、就業者の増加により個人県民税も伸びることが大きな要因だ。
 だが、県の財政事情は心もとない。財源不足を補うため、借金である県債を720億円発行する。県債残高は42億円増えて1兆1076億円にのぼる見込み。
 一方、財源不足に対応する財政調整基金と、借入金返済に備えるための県債管理基金の残高は138億円に減少する。他の基金を含めても総額は363億円。ここ20年で最低の水準だ。
 財政の健全性を示す指標の一つにプライマリーバランス(基礎的財政収支)がある。これが黒字であれば、財政が持続可能という数値だ。新年度予算案では53億円の黒字を見込んでいる。「6年連続で黒字を維持し、財政収支の改善を図っている」と県は胸を張るが、1兆円を超える借金と比較すると、たった53億円の黒字では心もとない。
 借金が1兆1000億円にのぼり、貯金がたった363億円。「財政収支の改善」を説明されたところで、県民が安心することはないだろう。
 さて、滋賀県に限らず全国の自治体の予算案に必ず出てくるワードに「臨時財政対策債」がある。財源不足の国に代わって自治体が発行している県債や市債のことだ。この臨時財政対策債の元利償還については国が地方交付税で全額を補填することになっている。
 つまり、親が一人暮らしの学生に「おカネがないから、仕送り額を減らす。足りない分は借金しておいて。後で必ず返すから」と言っているようなものだ。ただ、親は莫大な借金を抱え、しかも増え続けている状態。
 そもそも、この臨時財政対策債、当初は2001年からの3カ年に限る臨時措置だった。しかし、財源がなくても予算を生み出せるこの措置、国にも自治体にも都合が良いことから、ずるずると延長され、もはや臨時ではなく恒常的な措置となってしまっている。
 自治体が財政を説明するとき「臨時財政対策債を除くと…」と前置きすることがある。滋賀県の場合、臨時財政対策債を除くと県債残高は6525億円へと圧縮されるし、プライマリーバランスも304億円の黒字に跳ね上がる。
 ただし、これは国が約束を守って元利償還することを前提にしている。借金まみれの国にそんなことが可能なのか大いに疑問に思うところだ。臨時財政対策債は「ゆでガエル」のようにじわじわと地方財政の首を絞めつけている。

2019年02月08日 17:10 |


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