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2019年02月22日

便利さの裏側で

 現代の暮らしに不可欠なコンビニ。365日24時間オープンで、弁当や総菜、雑誌、日用品など品揃えが豊富。ATMで現金を引き出せ、公共料金の支払いや宅配物の受け取りもできる。滋賀夕刊も事務所の隣がコンビニなので小生は毎日のように利用している。
 しかし、その便利さの代償として、働き手が限界を迎えている店がある。今、東大阪市にあるセブンイレブンのフランチャイズ加盟店が人材不足を理由に24時間営業を取り止め、19時間営業に切り替えたところ、本部から契約解除と違約金1700万円を通告される事態となっている。
 オーナーの男性は7年前にセブンイレブンとフランチャイズ契約を結び、店を開業。学生らのアルバイトを雇いながら夫婦で切り盛りしていたが、昨年、妻をがんで亡くし、さらには学生アルバイトが卒業と同時に店を辞め、人手不足に陥った。アルバイトを募集しても集まらず、男性が連続して店に出ることに。この8カ月で休んだのは3日間だけという。
 「過労死してしまう」。男性は午前1時から6時の営業を取り止めることを決断し、2月1日から実施した。
 これに対して本部は期間限定で夜間の人的サポートを提案し、24時間営業に戻すよう求めているが、男性は「人員派遣は永続的な対応でない」と拒否している。
 本部に反旗を翻す男性に、24時間営業を負担に感じる全国のオーナーから応援のメールなどが寄せられているという。
 コンビニでの過酷労働は昨年2月の福井豪雪でも問題になった。自衛隊が災害派遣されるほどの大雪。県内のセブンイレブンのオーナー夫婦が雪かきに追われたうえ、アルバイトも出勤できず、来客も少ないことから営業中止を本部に相談したが、認めてもらえなかった。妻は過労で救急搬送され、夫は約50時間にわたって勤務することになった。
 いつでも営業しているという安心感がコンビニの強みであることは言うまでもない。しかし、誰かの犠牲の上に成り立っているのならば、そのサポートや改善が欠かせない。特にフランチャイズ契約は本部の縛りが強く、今回のケースのようにオーナーであるにもかからず営業時間も独自に決められない。
 我々、消費者はコンビニをはじめ便利なサービスをさも当然のように享受しているが、その裏側で大企業との契約により過重な労働を強いられている人はいないのか、問い直したい。質の高いサービスの背景で誰かが犠牲になっていないか、そして、そのサービスは持続可能なのかと。サービスを生んでいるのが、どこかの誰かではなく隣人であることを認識したい。

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2019年02月20日

長浜と彦根の予算

 長浜市の新年度当初予算案が発表された。一般会計の総額は525億円。ポイントは多額の財源投入が必要となる大型建設事業が昨年に引き続き行われることと、小学校給食無料化や保育料減免制度など独自性ある子育て支援策が維持されていることだろうか。
 大型建設事業が相次ぐと「ハコモノ行政」と批判される向きがあるが、本当に必要な「ハコモノ」ならば、経費を削減しながら建設すればよい。ただし、多額の税金を投入しておきながら効果的に運用・活用されなければ、税金の無駄遣いと市民から批判を受ける。
 再開発ビル「えきまちテラス長浜」に代表される駅前再開発事業は多額の税金投入に見合う賑わいを生み出せず、かつ施設を管理・運営する3セクは経営に苦しんでいる。小谷城スマートインターチェンジも、今のところ周辺が発展する気配はない。
 だからこそ、新年度に整備費や補助金が予算化されている北部地域総合体育館や元浜町13番街区再開発事業などは、その「建設後」を市民が心配している。えきまちテラスの二の舞になりはしまいか、体育館は有意義に活用されるのか、と。
 さて、長浜市と人口規模がほぼ同じの彦根市も、先日、総額443億6000万円の当初予算案を発表した。こちらは市庁舎耐震化工事や市民体育センター整備費など大型建設事業が財政を圧迫している影響で、長浜と並ぶ夏の風物詩である彦根大花火大会は「中断」とし、商店街の名物である「彦根ばやし総おどり大会」は廃止となった。
 一般会計の市債残高は450億円で、長浜市の462億円と大差ない。しかし、基金残高は大きく異なる。彦根市の19年度末の残高見込みはわずか38億円。うち、比較的自由に使える財政調整基金は12億円、市債償還の財源とする減債基金は1・5億円しかない。長浜市の基金残高305億円(財政調整56億円、減債80億円)と比べても、非常に心もとない。
 人口減少に転じた今、地方の自治体は財政規模をスリム化させる必要があるが、彦根市は増加が続いてきた。市庁舎耐震化工事や滋賀国体に向けた施設整備という特殊事情があるにせよ、計画性と余裕のない財政が今回の花火大会中断を招いたと市民から批判されても仕方がない。
 長浜市の場合、市町合併後、プライマリーバランス(基礎的財政収支)は黒字を維持し続け、借金に頼らない財政運営を続けている。ゆえに市は「財政の自立性と健全性を堅持」と胸を張っているものの、大型建設事業の連続により市町合併で肥大化した予算規模のスリム化は遅れている。合併に伴う地方交付税の特例は今も段階的に縮小されており、事業の取捨選択により身の丈に合った財政規模への縮減が欠かせない。

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2019年02月18日

SNSとの付き合い方

 コンビニや飲食店の従業員による悪ふざけ動画が相次いでSNS(会員制交流サイト)に投稿され、企業が謝罪に追われる事態となっている。
 回転寿司店では食材の魚をごみ箱に捨てた後、再びまな板に載せようとした動画。コンビニではおでんのしらたきを口に入れて吐き出したり、商品を舐めたりする動画。いずれもアルバイト店員が悪ふざけとして撮影し、親しい友人とだけ共有したはずが、SNS上に拡散した。
 これらの動画は、日ごろ店を利用する人にとっては不愉快であり、衛生面も心配される。特にコンビニや飲食店は、食品を扱うだけにその信頼性を失墜させる動画は企業イメージの低下につながる。悪ふざけした従業員としてはこれだけの大ごとになるとは思わなかっただろうが、場合によっては刑事告訴や損害賠償請求などを受けることになる。
 長浜市内でも最近、飲食チェーン店で客の若者が悪ふざけする動画がインターネット上に拡散。本社が警察に被害を相談し、法的措置の準備を進めていることを発表している。
 悪ふざけ動画だけでなく、自身の写真や動画をSNSに投稿すれば、ネット上の誰かを介して、拡散する可能性がある。スマートフォンで写真や動画を撮影でき、その場でインスタグラム、ツイッターなどのSNSに気軽に投稿できるこの時代。友人から注目を集めようと、あえて悪ふざけ動画を撮影する若者の気持ちは分からないではないが、SNSの向こう側で無制限に情報が拡散する可能性があることを知っておくべきだろう。特に中学、高校生のツイッターなどは実名を挙げて友人と日常的に会話しているケースも見られ、中には他人を傷つけるような実に危うい発言もみられる。
 店舗や人に迷惑をかける悪ふざけは、個人の資質に起因するものではあるものの、そういう姿を世界中に晒してしまうSNSとの付き合い方を、今一度、家庭で話し合う機会としたい。

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2019年02月13日

不良品のごみ袋

 湖北広域行政事務センターが岐阜県内の業者に発注した家庭用可燃ごみ指定袋に不良品が混在していることが明らかになった。12月中旬から出回ったごみ袋は手触りからして以前のごみ袋とは異なり、品質の違いは明らか。てっきり仕様が変更になったものと考えていたが、不良品と知らされ、「やっぱり」と思った市民は少なくないだろう。
 不良品の原因は中国国内の工場での製造過程で、体積を膨張させるための無機物が必要以上に投入され、密度が低下したためのようだ。問題なのは、そのごみ袋が湖北広域行政事務センターに納品されるにあたって、名古屋市工業研究所の強度検査成績書を添付していたことだ。公的機関の検査をクリアしたとの証明書が付いているにもかかわらず、不良品が混ざっていた。
 不良品の混入の割合は一定でない。ゆえに、サンプリング調査で、偶然、不良品が検査対象とならなかったとみる性善説に立つべきか、検査を通すために意図的に強度のある製品を提出したという性悪説を取るべきかは別にして、お金を出して不良品を購入した市民も、不良品を納品されたセンターも迷惑な話である。岐阜の納入業者と発注先の中国の工場の責任は大きいが、この不良品が湖北地域だけの問題にとどまるのかが心配される。
 テレビや新聞の報道を受けて、13日朝から、市役所には市民がひっきりなしにごみ袋の交換に訪れている。特に、一部の報道機関があたかも市が回収を呼びかけているように報じたことから、親切心から役所にごみ袋を持って訪れる市民が後を絶たない。
 しかし、センターによると検品済みのごみ袋の在庫には限りがある。新しい製品が市民に届くのは4月上旬になる見込みだ。それまではガムテープで補強するなどして、付き合うことも覚悟したい。

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2019年02月08日

臨時財政対策債

 滋賀県が8日発表した2019年度当初予算案。一般会計の総額は前年度比0・8%増の5415億円だった。高齢者介護や保育支援、障害者福祉などの経費が大幅に増えていることに加え、国民スポーツ大会(国体)に向けた関連施設の整備経費が目立つ。
 歳入の根幹となる県税収入はここ10年で最も高い水準で、前年度に比べ65億円増の1705億円を見込んでいる。県内企業の業績が好調で法人2税の増加が見込まれること、就業者の増加により個人県民税も伸びることが大きな要因だ。
 だが、県の財政事情は心もとない。財源不足を補うため、借金である県債を720億円発行する。県債残高は42億円増えて1兆1076億円にのぼる見込み。
 一方、財源不足に対応する財政調整基金と、借入金返済に備えるための県債管理基金の残高は138億円に減少する。他の基金を含めても総額は363億円。ここ20年で最低の水準だ。
 財政の健全性を示す指標の一つにプライマリーバランス(基礎的財政収支)がある。これが黒字であれば、財政が持続可能という数値だ。新年度予算案では53億円の黒字を見込んでいる。「6年連続で黒字を維持し、財政収支の改善を図っている」と県は胸を張るが、1兆円を超える借金と比較すると、たった53億円の黒字では心もとない。
 借金が1兆1000億円にのぼり、貯金がたった363億円。「財政収支の改善」を説明されたところで、県民が安心することはないだろう。
 さて、滋賀県に限らず全国の自治体の予算案に必ず出てくるワードに「臨時財政対策債」がある。財源不足の国に代わって自治体が発行している県債や市債のことだ。この臨時財政対策債の元利償還については国が地方交付税で全額を補填することになっている。
 つまり、親が一人暮らしの学生に「おカネがないから、仕送り額を減らす。足りない分は借金しておいて。後で必ず返すから」と言っているようなものだ。ただ、親は莫大な借金を抱え、しかも増え続けている状態。
 そもそも、この臨時財政対策債、当初は2001年からの3カ年に限る臨時措置だった。しかし、財源がなくても予算を生み出せるこの措置、国にも自治体にも都合が良いことから、ずるずると延長され、もはや臨時ではなく恒常的な措置となってしまっている。
 自治体が財政を説明するとき「臨時財政対策債を除くと…」と前置きすることがある。滋賀県の場合、臨時財政対策債を除くと県債残高は6525億円へと圧縮されるし、プライマリーバランスも304億円の黒字に跳ね上がる。
 ただし、これは国が約束を守って元利償還することを前提にしている。借金まみれの国にそんなことが可能なのか大いに疑問に思うところだ。臨時財政対策債は「ゆでガエル」のようにじわじわと地方財政の首を絞めつけている。

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2019年02月06日

お粗末町議会

 5日に告示された甲良町の出直し町長選は前町長の野瀬喜久男氏以外に立候補者がなく、野瀬氏が無投票当選となった。野瀬氏自身と町政の相次ぐ不祥事を受けての選挙だったが、野瀬氏に反発する町議会が対立候補を擁立できなかったことで、町民が振り回される徒労に終わった。
 野瀬氏は2017年10月の町長選で初当選したが、その直後、JA東びわこから推薦を得ていないにもかかわらず選挙用のビラやはがきに推薦団体として掲載していたことが発覚。その後も、選挙資金として支援者から借りたとされる現金を収支報告書に記載していない問題も明らかになった。
 また、極めつけは、町民513人分の氏名や税額などの個人情報が記載された内部資料が第3者の手に流出した問題だ。町は内部犯行の可能性が高いとして彦根署に被害届を提出した。
 相次ぐ不祥事に町議から批判が噴出し、昨年12月には野瀬氏の不信任決議案が提出された。この時、町議会は野瀬氏自身に進退を委ねることにして決議案を否決した。そして、年明け早々、突然、野瀬氏が辞任を表明し、町民に信を問うとした。
 一方、町議の大多数が野瀬氏に批判的な町議会は、突然の辞任に大慌てで対立候補の擁立に動いたが、失敗。野瀬氏の無投票当選を招くこととなった。町政と町議会の対立が生み出した出直し町長選は「大山鳴動して鼠一匹」にも至らないお粗末な結果となった。
 甲良町で印象深い不祥事といえば、2017年に発覚した税務課職員による3000万円の横領事件だろう。2年間にわたって町民が納めた税金を横領し、高級車を買うなどしていた。逮捕直前、「罪悪感はありましたけど、やっぱりシメシメ感が」などと、笑みを浮かべてテレビ取材に応じていたことが町民の怒りを買った。
 この事件、野瀬町政前の出来事とはいえ、3000万円もの横領に気が付かない町の管理体制が大いに批判されたが、昨年の税資料の流出問題を見ても、その体質が改善されていないことがうかがえる。
 その弛緩した町政を生み出している原因の一つが町議会であることは言うまでもない。不信任決議案を提出し、町長を辞職に追い込んでおきながら、対立候補さえ立てられないお粗末さ。その汚名を返上するためにも、町政立て直しへ徹底した追及と提案が求められよう。

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