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UAEの蛮行

 アラブ首長国連邦(UAE)で開催中のサッカーアジアカップは日本代表が強豪イランを下して優勝へ王手をかけた。2月1日夜、初の決勝進出を決めたカタールと対戦し、2大会ぶり5度目の制覇を目指す。
 29日夜に行われたUAEとカタールの試合は、両国の国交断絶の影響を受けて、UAE側の「蛮行」が目立った。UAEのナヒヤーン・ビン・ザイード王子は全席を買い占めてUAEサポーターに無料で配布するという暴挙に出た。ゆえにスタジアムはUAE応援一色。キックオフ直前の国歌斉唱ではカタールの国歌にブーイングが起こった。そのサポーターの期待とは裏腹に、試合はカタールが常に主導権を握り、結果は4対0のカタールの圧勝。このため、シュートを決めたカタール選手に客席からペットボトルや靴が投げられるなど、UAEサポーターは不満を爆発させていた。
 さて、UAEとカタールの国交断絶は2017年に遡る。カタールが「ムスリム同胞団」などのテロ組織を支援しているというのが理由だ。UAEのほか、大国サウジアラビアなどの複数の国がカタールと現在も断交している。政治的対立をスポーツに持ち込まないのが観戦マナーではあるが、試合を通じて愛国心が高揚し、感情を爆発させるケースは珍しくない。南米では過去にサッカーの試合が戦争の引き金になったケースもある。
 2004年に中国で行われたアジアカップを思い出す。決勝戦で日本代表が開催国の中国を破り3度目の優勝を果たした大会だったが、日本はグループステージから決勝まで、国歌斉唱時や試合中に中国人サポーターから激しいブーイングを受けた。また、日本人サポーターもごみを投げつけられたり、罵声を浴びせられたりして、中国での反日感情の高さと、マナーの悪さがクローズアップされた。
 当時、中国は4年後に北京五輪を控えてきたこともあり、こうした反日的行為を戒める意見もあったが、アジアカップ翌年には「愛国無罪」を掲げて反日デモが各地で発生するなど、当時の中国は反日なら「何でもあり」の風潮だった。
 UAEサポーターの観戦マナーは、当時の中国を彷彿とさせたが、カタール国民はその快勝で大いに留飲を下げたに違いない。2月1日の決勝戦も、おそらくカタールに対してブーイングが起き、日本贔屓の応援ムードとなりそうだが、カタール代表は敵地にあって果敢に日本ゴールを襲うことだろう。カタールを応援する判官びいき、きっと少なくない。

2019年01月30日 16:20 |


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