滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2018年12月28日

新しい時代の宿題

 滋賀夕刊はきょう28日が平成30年最後の発行となる。
 今年の湖北地域を振り返ると、長浜市では市長選と市議選があった。現職の藤井勇治氏が市議の中川勇氏を迎え撃った2月の市長選は、市民が藤井氏の続投を選んだ。7月の市議選は来年4月の県議選を目指して有力議員が勇退する一方で、新人の立候補がふるわず、過去に例を見ないくらい盛り上がりのない選挙戦だった。新しく市民の負託を受けた議員には市民の声を市政にまっすぐに反映させるためにも、市民感覚を忘れることなく長浜のまちを見つめてもらいたい。
 来年には県議選が行われる。今のところ長浜選挙区(定数4)には6人、米原選挙区(同1)には2人が立候補する予定だ。遠く離れた大津市の県庁に湖北の声を届けて欲しい。
 今年の漢字に「災」が選ばれたように、自然災害が猛威を振るった。米原市では竜巻とみられる突風によって住宅が大きな被害を受け、その爪痕は今も残る。台風21号の被害も深刻だった。自然の前では無力な人間ゆえに、知恵を絞った災害への備えと、災害後の助け合いが大切となる。竜巻の被災地では誰が呼びかけるでもなく子どもから大人までボランティアでがれきの始末などに汗し、その助け合いの姿を心強く思った。
 明るいニュースといえば皇太子ご夫妻の湖北入り。長浜バイオ大学ドームで開かれた全国「みどりの愛護」のつどいにご出席された。2人揃っての滋賀ご訪問は23年ぶりのことだった。
 西浅井町菅浦の須賀神社に伝わる「菅浦文書」が国宝に指定された。鎌倉時代後期から江戸時代初期にかけての惣村の資料で、貴族や寺社・武家ではなく、村人が書き残した文書が国宝になったことが意義深い。
 国政に目を転じると、安倍政権が安定した議席を背景に、良くも悪くもスピード感のある政治を行っている。新語・流行語大賞の「ごはん論法」は、選考委員の政治思想を背景にノミネートされたが、現政権の不誠実な国会対応を示す言葉としては的確であろう。政権長期化による権力集中と弛緩は世の常だが、その責任は与党のみならず、離合集散と対立を繰り返す野党にもあろう。来夏の参院選で今の政治の課題を浮き彫りにし、解決策を示してもらいたい。
 世界では急速に進んだグローバル化への反動を受けて誕生した米国第一主義の大統領によって、米中対立が激化し世界経済に混迷をもたらす気配。また、来年はEUから英国が離脱するが、そのルール作りは難航している。軟着陸できないようであれば、欧州の融和を目標に加盟国を増やしてきたEUが危機を迎える。
 さて、平成の湖北地域は1市12町が大合併により2市へと統合された。人口減少に備えた行政組織のリストラが目的で、市民の側も自治会活動をはじめ人口減少への備えが欠かせない。人口が増えた昭和・平成ではない、過疎化が加速する時代が到来しているのだから。
 市民有志が思いを結集して平成元年に誕生した黒壁スクエアは地方の観光地として名声を高めた。連綿と受け継がれてきた長浜曳山まつりはユネスコ無形文化遺産に登録された。その市街地でさえも過疎化にあえぎ、空き家、空き店舗が目立つ。
 昭和・平成に湖北を発展させた先人に続いて、新しい世代はその伝統や文化をどのように守り、時代に合わせて変革させるのか。湖北地域に住む我々自らの宿題であることを強調して、新しい年の皆さまの幸せを念じつつ、ペンを納めます。

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2018年12月21日

防犯カメラ

 10月に東京・渋谷でハロウィーンに浮かれた若者が軽トラックを横転させた事件では、警視庁が関与した男15人を特定し、うち4人を逮捕した。約4万人とも言われる群衆の中から、犯人を割り出したのは防犯カメラだった。警視庁は防犯カメラに映った映像をたどり、事件の現場から容疑者の自宅までを一本の線で結ぶ捜査「リレー方式」で、犯人を特定した。
 今や防犯カメラはコンビニや金融機関、駅、商店街などに設置され、事件や事故の捜査に大いに寄与している。もちろん、防犯カメラの映像を集めるのは警察の地道な捜査ではあるものの、目撃情報よりも正確で、日時もはっきり分かり、証拠としての信頼度も高い。
 防犯カメラの設置について、一般市民はどう思っているのだろうか。セキュリティーサービス会社、ALSOKが20歳から69歳までの有職男女500人を対象に防犯カメラに関する意識調査を行ったところ、6割が「もっと防犯カメラを設置したほうがよい」と回答し、駅や駅周辺、駐車場、商店街など不特定多数の人が集まる場所への設置を求める意見が多かった。
 また、防犯カメラを「安心と感じる」との回答は70%で、「不快」の15%を大きく上回った。安心と感じる理由は「犯罪の抑止になると思うから」が最も多く、不快に感じる理由は「監視されているように思えるから」が最多だった。
 一方で、自宅に防犯カメラを設置しているのは、全体の23・8%。集合住宅などで最初から防犯カメラが設置してあった人を除き、自分で防犯カメラを設置した人は7・5%にとどまる。
 防犯カメラの設置は犯罪抑止効果があることから、全国の自治体では小学生らの登下校を見守るために、人気のない通学路に防犯カメラを設置する動きがある。長浜市議会の会派「新しい風」も先日、市に防犯カメラの設置を要望した。通学路や地下道、危険個所の防犯のため、市がカメラを購入して自治会へ貸与し、関連費用を補助するよう求めている。
 プライバシーの侵害や設置後の維持管理を理由に慎重な姿勢を示す自治体もあるが、防犯カメラについて「もっと設置したほうがよい」「安心と感じる」との意見が多数派であることを考えても、防犯カメラの設置のガイドラインや補助制度を定めて、自治会や商店街などが設置しやすい環境を整える必要があろう。

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2018年12月14日

ボヘミアン・ラプソディ

 イギリスの伝説的ロックバンド「QUEEN」のフレディ・マーキュリーを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が空前のヒットを続けている。
 QUEENは「ボヘミアン・ラプソディ」「キラー・クイーン」「バイシクル・レース」「伝説のチャンピオン」「ドント・ストップ・ミー・ナウ」などのヒット曲を持ち、レコード販売数は3億枚。世界中の誰もが知っているバンドだ。
 映画はQUEENの中心的人物であるフレディの生き様を描いている。バンドのメンバーとの出会いからグループが大成する様子をたどり、ロックにオペラを挿入した名曲「ボヘミアン・ラプソディ」誕生の瞬間や、人生をかけた史上最大のステージでの圧巻のパフォーマンスに立ち会える。
 フレディというと、タンクトップ姿にちょび髭、独特のライブパフォーマンスが印象的で、HIV感染合併症により若くして亡くなった天才的アーティストという知識ぐらいしかなかったが、映画を通して彼の音楽にかける情熱や、自身のルーツに対する葛藤などを知ることができた。
 映画の冒頭、フレディが「パキ」と罵倒されるシーンがある。パキスタン人への蔑称であろうが、フレディはインド人を両親に持ち、英国領タンザニアのザンジバルで生まれた。本名は「ファルーク・バルサラ」。インドで幼少期を過ごした後、ザンジバルに戻ったが、革命が起こったことから、イギリスに移住。フレディが17歳の時だった。
 イギリスを代表するロックバンドの中心人物が移民という点は、世界の国々を植民地としていた同国ならでは。それでも「パキ」と罵られたように、移民に対する差別意識は少なくなかったのであろう。映画には移民というキーワードのほか、家族、宗教、容姿、性的マイノリティ、孤独、HIVなど、フレディの抱える悩みや葛藤が次々と登場する。1970代のイギリスを舞台としていながら、現代社会に生きる、世界の人々が抱える今日的葛藤に通じるところもある。フレディという1人の天才的アーティストの壮絶な人生と音楽をただ追っただけではないこの映画、必見です。

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2018年12月12日

「置き勉」解禁を

 登下校時の荷物を軽くするために教科書やノートなどの勉強道具を持ち帰らず、学校に置きっぱなしにすることを「置き勉」と呼ぶ。ほとんどの学校が自宅での予習・復習や宿題のため、この「置き勉」を禁止しているが、子どもの身体的負担の軽減の面から、解禁の気配となっている。
 先日の長浜市議会一般質問で小学生の通学時の荷物の重さが取り上げられていた。文部科学省が今年9月、全国の教育委員会などに対してランドセルなどの重量に配慮するよう求める通知を出したことにちなみ、鬼頭明男議員がランドセルの重さと腰痛の関係を指摘しながら、通学時の負担の改善を求めた。
 文科省の通知の背景には小中学校の授業時間の増加に伴って、教科書のページ数が大幅に増えていることがある。教科書協会によると小学生のページ数(2015年)は10年前に比べ34・2%増、中学生(16年)は30・5%増加している。
 また、ランドセルメーカーのセイバンの調査によると、1週間のうち最も重い日の荷物の重量は平均約4・7㌔で、ランドセルを含めると約6㌔になる。
 最近、小学生のランドセルやリュックを見ていても、ぎっしりと教科書やドリルが詰め込まれ、何とも重そう。肩ひもが身体に食い込むのを防ぐため、タオル地などのクッションを巻いている子どももいる。市議会一般質問での市教委の答弁によると、小学生の荷物の重量は3㌔~4・7㌔程度で、「腰痛に悩んでいるケースはほとんどみられない」とのこと。ただ、「通学の負担軽減の観点から、子どもや保護者の声を聞いて、各学校で必要に応じて適切な配慮を行う」と答弁しており、学校の裁量によっては「置き勉」が解禁されることを期待したい。
 通学時の荷物の重量が問題となっているのは日本だけでない。インドでは7歳~13歳の子どもの9割近くが体重の45%を超える荷物を背負い、13歳未満の子どもの7割が背中に軽度の痛みを感じていることが、同国の商工会議所連合会の調査で明らかになった。このため、インド政府は11月、成長期の子どもの背骨への影響に配慮し、年齢に応じた学校かばんの重さの指針を作成。中でも小学1、2年が教科書を家に持って帰らずに済むように、宿題を出さないよう勧告した。
 宿題が出ないなんて、子どもにとっては夢のような措置だが、長距離を歩かざるを得ない通学環境や、弁当や水筒を持参する同国にあって、通学における身体的負担は日本の比ではないようだ。

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2018年12月03日

野鳥が訪れる庭に

 庭に小鳥が訪れ、可愛い声でさえずったら、どんなに素敵なことだろう―。今年5月、札幌市内の男性から頂いたメールに「バードテーブル」(バードフィーダーとも)と呼ばれる給餌台にエサを置くと、シジュウカラ、ゴジュウカラ、スズメ、ヤマガラ、ヒヨドリ、アカゲラが毎日やって来て賑やかだと記されていた。「今、我が家の軒下の巣箱ではスズメが子育て中。ピーピーとかぼそくても元気のいい雛の声がしています。無事に巣立つのを楽しみにしています」ともレポートし、野鳥に囲まれた環境をうらやましく思った。
 これを真似て我が家でも今秋、バードテーブルを手作りして野鳥の餌を少々置いた。その後、庭には小鳥が時々、姿を見せるものの、餌を食べる気配はない。餌そのものに気付いていないのか、それとも警戒しているのか。1カ月以上、やきもきしながらも、じっと我慢して待っていたところ、先週、ついに小鳥1羽が餌台に。その姿からジョウビタキと思われ、その後も姿を見せるようになり、その可愛い訪問者にカメラを向けている。
 さて、このバードテーブルについて日本野鳥の会では設置時期に注意を促している。というのも、野鳥の多くは春から夏の子育て期間中に、昆虫やミミズなどそれぞれの種類に適した動物質の餌を主食にしていることから、人間の餌を与えられると雛が健康に育つことができないという。このため自然界に食物が豊富な春から夏にかけては、バードテーブルを置くのを控えるように求めている。
 一方で、餌の少なくなる冬はバートテーブルが野鳥の人気を集めるようだ。ただし、野鳥が大挙すれば衛生面などの課題が出ることから、節度ある餌の量を推奨している。
 自然界への干渉をできるだけ抑えながら、たくましく生きる野鳥をそっと見守りたい。

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