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言葉の変化とブレーキ

 「なし崩し」「檄を飛ばす」の本来の意味を正しく理解している人の割合が約2割にとどまったことが、文化庁が実施した国語に関する世論調査で明らかになった。
 例文として「借金をなし崩しにする」の意味について、「少しずつ返していく」と正しく解答できたのは19・5%にとどまり、65・6%が「なかったことにする」と答えた。この場合の「なし」は返済を意味する「済し」を用いるが、「無し」と誤解している可能性もありそうだ。
 「檄を飛ばす」は「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求める」という意味だが、正解はたった22・1%。「元気のない者に刺激を与えて活気づける」との誤った回答が67・4%を占めた。これは「檄」を「激励」の「激」と勘違いしている影響があるとみられる。
 このほか、「やおら」の意味を本来の「ゆっくりと」ではなく、「急に、いきなり」と誤って認識している回答者も30・9%いた。また、「采配」を「振る」のか、それとも「振るう」のか。本来の使い方は「振る」だが、56・9%が「振るう」と回答した。
 言葉は世代が進むにつれ少しずつ変化し、本来の使い方から脱線したり、新たな言葉が定着したりする。例えば、今回の国語調査では「タメ」や「ガチ」という俗語の分析があったが、「対等」や「同い年」を意味する「タメ」は10〜30代は8割以上が「使うことがある」と回答しているのに対し、70歳以上は35・1%が「聞いたことがない」とした。「本気」「真剣」などの意味で使用される「ガチ」も10〜30代の7〜8割が「使う」としたが、70歳以上の3割が「聞いたことがない」とした。
 いつの時代も新しい感性を持つ若者が言葉を創造・変化させ、年配の大人が若者の言葉遣いに眉をひそめてブレーキをかけてきた。そして、言葉は緩やかに変化してきた。
 ただし、言葉が「公共物」である以上、一部の人間にしか分からないような俗語や新語が公共空間で幅を利かせるのは考えものだろう。例えばカタカナ語の「コンソーシアム」「インバウンド」「フォローアップ」「パブリックコメント」について、回答者の3〜5割が「意味が分からない」とし、6〜8割が「漢字を使った方がいい」としている。新聞はもちろん、不特定多数の目に触れる役所の文書などはなるべく使用を避けて誰もが読みやすい言葉遣いに改め、安易なカタカナ語の使用にブレーキをかける必要がありそうだ。
 なお、前記のカタカナ語を漢字に直すと「共同事業体」「訪日外国人旅行・者」「追跡調査」「意見公募」。

2018年09月26日 16:41 |


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