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スルガ銀行の成果至上主義

 金融機関の返済が滞ったり、破産した場合などの情報がいわゆる「ブラックリスト」として登録されると、金融機関で融資が受けられないとされるが、この銀行の場合はそれでも融資してくれたのだろうか。
 「銀行の収益の足を引っ張る社員」「お前に給与を支払うのが勿体無い」「大した営業成績も上げずに時間外ばかりつけやがって」「給料どろぼう」「出来るまで帰ってくるな」—。スルガ銀行(静岡県)の不適正融資問題を調査していた第三者委員会が7日発表した調査報告書には、パワハラのお手本となる暴言がずらりと並んでいた。金融機関の営業ノルマの厳しさは広く知られる話だが、スルガ銀行は現実離れしたノルマ設定と、異様とも思えるプレッシャーによって、行員が不正に手を染め、本来なら融資の審査には通らない人物にまで融資を行っていた。
 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資をめぐり、スルガ銀行の行員が融資の審査資料を改ざんするなど数々の不正を行っていたことが発覚したこの問題。委員会の報告書では、不正はシェアハウスに限らず投資用アパートなどで幅広く行われ、契約者の預金残高を改ざんして資金力を高く装ったり、対象物件の価格や賃料収入を実際より高く見積もったりと様々な手口を駆使して融資を行っていた。銀行が実施したアンケート調査では業務に関わった約半数が融資対象者の自己資金確認資料を偽装するなどの不正に手を染めていたことが分かっている。
 その不正の背景には行き過ぎた成果至上主義の企業風土があったことが、行員からの聞き取り調査で明らかになっている。営業担当者には実態とかけ離れた高いノルマが課され、達成できないと厳しい叱責を受けていた。同行の「資産形成ローン」の営業に携わったことのある行員の7割が叱責を受けた経験があった。「支店の社員の前で給与額を言われ、それに見合っていない旨の指摘を受け、週末に自身の進退を考え報告を求められた」「毎日、怒鳴り続けられ昼食も2週間ぐらい全然、行かせてもらえず、夜も11時過ぎまで仕事をさせられ体調が悪くなり、眠れなくなって、うつ病になり銀行を1年8カ月休職した」「首を掴まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った」などの意見が寄せられ、中には「数字ができないなら、ビルから飛び降りろ」「お前の家族皆殺しにしてやる」などと常軌を逸したものもある。
 地域を代表する健全な金融機関と思いきや、その内情はブラックそのものだった。しかし、その被害者は行員ではなく返済不可能な融資を受けた消費者だった。

2018年09月10日 16:22 |


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