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2018年09月21日

総裁選終え改憲へ

 自民党総裁選は20日、国会議員票と党員・党友による地方票の開票があり、安倍晋三首相が石破茂元幹事長を破り、連続3選を決めた。
 安倍首相は国会議員票329票、地方票224票の計553票を集め、石破氏は国会議員票73票、地方票181票の計254票だった(国会議員票の無効票3票)。大方の予想通り安倍首相の圧勝となったが、石破氏も地方票の45%を獲得するなど善戦した。滋賀県の場合は安倍首相4056票、石破氏2991票、無効9票だった。
 安倍首相が国会議員票の82%を占めた一方で地方票は55%にとどまり、国会議員と党員の意識差が顕著に示された。安倍首相側が石破派に「冷や飯喰う覚悟を」と脅すなど信賞必罰の締め付けが行われた国会議員はこぞって安倍首相を応援したが、その点、何ら圧力のかからない党員・党友らは自由意志に基づいて投票できた。また、石破氏への「判官びいき」の心理も働いたとみられるが、この6年間に蓄積された安倍首相への批判や不満が党員から示されたと分析できよう。
 興味深かったのは「安倍憎し」から、石破氏を応援する野党が目立ったことだ。国民民主党の玉木雄一郎共同代表は「石破先生が活発な議論を展開してもらえれば、日本の政界が活性化するきっかけにもなるのではないか」、同じく、大塚耕平共同代表も「安倍政権が民主主義を劣化させている。石破氏には頑張っていただきたい」と、それぞれ石破氏を応援していた。他にも「オレは石破さん推しだ。理由は簡単だ。安倍首相のことが嫌いだからだ」などという発言が出るように、野党における石破氏の人気は大きかった。
 野党が石破氏を応援する背景には「安倍憎し」以外にも、安倍首相が意欲を示す憲法9条改正を石破氏が「スケジュール感ありきでやるものではない」と批判し、早期改正に消極姿勢を示している点にあろう。
 自民党は時代に即した憲法改正を党綱領に掲げ、2012年には9条2項(戦力の不保持)を削除し、国防軍を保持するとした草案をまとめている。安倍首相はその草案より後退して2項を維持したまま自衛隊を明記する案を提唱しているが、石破氏は一貫して2項削除を主張している人物。野党からすれば安倍氏以上の「タカ派」なわけだが、「安倍憎し」の前では石破氏でさえ頼もしく思ってしまうのかもしれない。
 安倍首相は総裁選後、さっそく9条に自衛隊を明記する改憲案を国会に提出する決意を示した。モリカケ問題を大きな反省材料として、今度こそ国民に丁寧に説明する姿勢と責任が求められる。

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2018年09月15日

素敵な年輪の重ね方

 「敬老の日」(17日)を前に、全国有料老人ホーム協会がシルバー川柳の入選作を発表した。「デイサービス『お迎えです』はやめてくれ」「ベンツから乗り換えたのは車椅子」「朝起きて調子いいから医者に行く」など、自らの老いを笑い飛ばすような句が楽しい。
 今年は「『インスタバエ』新種の蝿かと孫に問い」「Siriだけは何度聞いても怒らない」などデジタルにまつわる言葉や流行語を詠み込んだ句が目立った。長年連れ添った夫婦の関係を詠んだ句も多い。「仲いいねいいえ夫は杖代わり」「私だけ伴侶がいると妻嘆く」「お揃いの茶碗にされる俺と猫」などがそうだ。
 年を重ねるごとに肉体が衰え、病気がちにもなる。「古希を過ぎ鏡の中に母を見る」「うまかった何を食べたか忘れたが」「『もう止めた』検査ばかりで病気増え」「納得をするまで計る血圧計」など、老いを自虐的に詠むのはシルバー川柳の真骨頂だろう。
 このほかにも「『ご主人は?』『お盆に帰る』と詐欺に言い」「百年も生きりゃ貯金に先立たれ」「家事ヘルパー来られる前に掃除する」「無宗教今は全てが神頼み」「懐メロが新し過ぎて歌えない」などユーモラスな作品が並ぶ。
 このシルバー川柳は全国有料老人ホーム協会の設立20周年を記念して2001年に始まった。今年は7872点が5歳から105歳まで幅広い年代から寄せられたが、応募者の平均年齢は69・2歳。シルバー世代の心理や人生を巧みに表現し、それでいて老いをユーモアたっぷりに捉えて前向き。こんな余裕のある年輪の重ね方、いいね。

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2018年09月10日

スルガ銀行の成果至上主義

 金融機関の返済が滞ったり、破産した場合などの情報がいわゆる「ブラックリスト」として登録されると、金融機関で融資が受けられないとされるが、この銀行の場合はそれでも融資してくれたのだろうか。
 「銀行の収益の足を引っ張る社員」「お前に給与を支払うのが勿体無い」「大した営業成績も上げずに時間外ばかりつけやがって」「給料どろぼう」「出来るまで帰ってくるな」—。スルガ銀行(静岡県)の不適正融資問題を調査していた第三者委員会が7日発表した調査報告書には、パワハラのお手本となる暴言がずらりと並んでいた。金融機関の営業ノルマの厳しさは広く知られる話だが、スルガ銀行は現実離れしたノルマ設定と、異様とも思えるプレッシャーによって、行員が不正に手を染め、本来なら融資の審査には通らない人物にまで融資を行っていた。
 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資をめぐり、スルガ銀行の行員が融資の審査資料を改ざんするなど数々の不正を行っていたことが発覚したこの問題。委員会の報告書では、不正はシェアハウスに限らず投資用アパートなどで幅広く行われ、契約者の預金残高を改ざんして資金力を高く装ったり、対象物件の価格や賃料収入を実際より高く見積もったりと様々な手口を駆使して融資を行っていた。銀行が実施したアンケート調査では業務に関わった約半数が融資対象者の自己資金確認資料を偽装するなどの不正に手を染めていたことが分かっている。
 その不正の背景には行き過ぎた成果至上主義の企業風土があったことが、行員からの聞き取り調査で明らかになっている。営業担当者には実態とかけ離れた高いノルマが課され、達成できないと厳しい叱責を受けていた。同行の「資産形成ローン」の営業に携わったことのある行員の7割が叱責を受けた経験があった。「支店の社員の前で給与額を言われ、それに見合っていない旨の指摘を受け、週末に自身の進退を考え報告を求められた」「毎日、怒鳴り続けられ昼食も2週間ぐらい全然、行かせてもらえず、夜も11時過ぎまで仕事をさせられ体調が悪くなり、眠れなくなって、うつ病になり銀行を1年8カ月休職した」「首を掴まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った」などの意見が寄せられ、中には「数字ができないなら、ビルから飛び降りろ」「お前の家族皆殺しにしてやる」などと常軌を逸したものもある。
 地域を代表する健全な金融機関と思いきや、その内情はブラックそのものだった。しかし、その被害者は行員ではなく返済不可能な融資を受けた消費者だった。

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2018年09月07日

停電への備え

 台風21号の直撃を受けた近畿地方。小屋が飛ばされたり、屋根の一部が損壊したり、窓ガラスが割れたりと、各地に被害をもたらした。その被害件数はカウントしようがないが、湖北地域でもあちこちで台風の爪痕が残っている。
 加えて、電柱の倒壊や送電線の切断などにより、幅広い地域で停電が発生し、市民生活を直撃した。関西電力によると近畿2府4県の219万軒が停電し、きょう7日正午現在でも13万軒あまりで停電が続いている。長浜市内でも約40軒、米原市内でも約10軒が停電したまま。
 電気がなければ企業活動も市民生活も大きな支障を来すことは予想されていることだが、実際に停電に見舞われると、現代の生活は電気がないと立ち行かないことを改めて実感できる。
 テレビ、冷蔵庫、洗濯機、照明、IH調理器具、エアコン、給湯など、家の中は電気がなければ使えないものだらけ。携帯電話やスマートフォンも充電できずに電池が切れれば何の役にも立たない。また、何時間も続く停電であれば、冷蔵庫の中身もだめになる。マンションではエレベーターが停まり、揚水ポンプが動かなければ水も出なくなる。
 さて、台風一過の安堵の後、今度は北海道が強震に襲われた。発電所が機能不全に陥り、北海道の広大な範囲で停電した。今回の関西電力の規模を超える295万軒が停電したという。全面復旧には1週間以上かかる見通しだ。救出、救援に支障をきたし、市民生活や経済活動にも大きな打撃となる。
 北海道電力によると管内電力の約半分を生産する苫東厚真火力発電所が地震の揺れを受けて緊急停止したことで、他の発電所も連鎖的に停止した。なぜ、たった1カ所の緊急停止が道内全域に停電を引き起こすことになったのか、その原因の検証と、今後の防止策の構築が求められようが、もし、これが都心で発生していれば、人命や経済にいったいどれほどのダメージを及ぼすのか、想像もできない。
 不思議なのは、これほどまでに経済活動や国民生活に欠かせないエネルギーである電気の蓄電技術が進歩していないことだ。一般家庭では発電所から送電線を伝って送られてくる電気をただ消費するだけで、蓄電することがない。例えば、各家庭に蓄電設備の常設が当たり前となり、仮に停電しても1週間は電気を使えるような仕組みができれば、停電による不便は解消できよう。
 蓄電池の技術革新が遅れているのか、それとも電気の特性から蓄電が難しいのかは不明だが、これだけ電気に頼った生活を送りながら、停電への備えや対策を発電・送電側が握っているのは何とも不安だ。
 台風や地震は日本に住む以上は避けられない自然災害であり、同時に停電もつきもの。各家庭ができる備えは何だろうか。

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