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注目の映画2本

 木之本町木之本出身の映画監督・上田慎一郎さんの新作「カメラを止めるな!」が大ヒットし、映画界の話題をさらっている。いよいよ今月31日からは彦根市のビバシティシネマでも上映が始まる。期待を裏切らない面白さで、興味のある方は是非、見に行って欲しい。
 低予算のインディーズ映画として制作された。監督や俳優を養成する「ENBUゼミナール」のプロジェクトの一環で、予算は約300万円、出演者は無名の俳優ばかり。当初は東京に2館での公開だったが、「面白い」などと評判となり、全国上映となった。
 なぜ、低予算のインディーズ映画がそこまで評判となったのか。それは映画の構成が非常にユニークだからだが、その詳細は「ネタばれ」に直結するため紹介できない。ただ、「カメラを止めるな!」というタイトルにあるように、この映画のメインテーマは「映画を撮ること」にあり、スクリーンを通じて、制作者の映画愛を感じとれる。
 「カメラを止めるな!」に加え、小生が今、注目している映画は絵本やアニメで人気を集めている「おさるのジョージ」の誕生秘話を描いたドキュメンタリーだ。
 「おさるのジョージ」は好奇心が豊かなあまり、騒動や冒険を巻き起こす子ザルの物語。ドキュメンタリー映画は、その作者であるドイツ生まれのユダヤ人、ハンス・レイ(1898〜1977年)、マーガレット・レイ(1906〜96年)夫妻の道のりを、当時の記録映像とアニメーションを重ねて描いている。
 夫妻は新婚旅行で訪れたパリを気に入り、そのままパリで絵を描いて暮らしていた。夫妻が最初に出版した絵本は「きりんのセシリーと9ひきのさるたち」。絵本に登場するサル「りこうでしりたがりやのジョージ」を主人公にしたのが「おさるのジョージ」(原作名は「ひとまねこざる」)だ。
 夫妻がその第1話「ひとまねこざるときいろいぼうし」を制作していた1940年、ナチスがフランスに侵攻。夫妻はナチスの迫害から逃れるため自転車でパリを逃げ出した。わずかな荷物の中に「ひとまねこざる」の原画も入れて。道中、農家に宿泊させてもらったり、食事をもらったりと人々の親切に支えられ、フランス中部の街オルレアンに到着した時、パリが陥落した。夫妻はその後、列車でポルトガルへ逃れ、最終的にアメリカに移り住んだ。戦後はニューヨークで作品を作り続けた。
 戦時下の逃避行について夫妻は悲観的にとらえることなく、「冒険に満ちた旅」と振り返っていたが、思いがけない困難に遭いながらも、前向きに乗り越える点は、その作風に通じるところがあるのかもしれない。
 映画「モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険」は9月8日から京都シネマで公開される。また、京都・伊勢丹にある美術館「えき」では「おさるのジョージ展」を開催中。原画や夫妻の歩み、ドキュメンタリー映画が紹介されている。こちらは9月2日まで。

2018年08月29日 17:55 |


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