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障害者雇用の水増し

 国土交通省や総務省などの中央省庁が、障害者雇用促進法に基づいて雇用する障害者数を水増ししていた。その規模は数千人にのぼる見込み。障害者を雇用することにより自立的な生活を支援するための制度を、その先導役自らがごまかして運用していたのだから、その背信行為は大いに糾弾されるべきだろう。
 障害者雇用促進法は2018年度の法定雇用率を国や地方自治体2・5%、民間企業2・2%と定めている。民間企業の場合、法定雇用率を達成できないと、納付金が徴収されるなど事実上の罰則が設けられている。一方、国や自治体には罰則規定はない。
 障害者雇用に算入できるのは障害者手帳などの所持者か、医師による判定書などがある人と指針で定めているにもかかわらず、中央省庁では手帳を持っていなかったり、職員の申告をそのまま受け入れたりして障害者枠として計上し、水増ししていた。法定雇用率が制度化された1976年から行われていたというから、根の深い話である。
 中央省庁での水増し発覚を受けて、自治体もそれぞれ調査を行ったところ、これまでに都道府県では10県で同様の水増しが行われていたことが明らかになった。
 長浜市は大丈夫だろうか。市人事課によると、今年6月時点での障害者雇用は24人で、雇用率は2・52%。国の定める基準をクリアしている。障害者雇用枠での採用の際に障害者手帳の提出を義務付けているほか、障害者は税控除を受けられることから、その手続きのため障害者手帳をコピーしている。このため、水増しなどの不正は起こりようがないそうだ。
 さて、省庁での雇用が進まない背景について、省庁は「拘束時間が長く、突発的な仕事が多いため」などと説明している。ようは障害者には省庁の仕事は務まらないと差別しているわけだ。この差別的発想は、最近のニュースでも見た。東京医科大が受験生の入試の点数を操作して女子合格者を意図的に減らしていた問題だ。出産や育児で職場を離れる機会が多い女医を病院現場が敬遠していることを理由に、大学受験の時点で女性を差別していたものだった。
 制度の旗振り役である中央省庁が抱える根深い差別意識を改善するためには、国会による徹底な調査と追及が求められる。

2018年08月22日 16:44 |


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