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なぜ月を目指すのか

 「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」とニール・アームストロング氏が語ってから約半世紀が経過した。
 今、米航空宇宙局(NASA)は2020年代の完成を目指し、月軌道上の宇宙ステーションの建設を計画している。月面探査の拠点、火星への中継基地として運用し、ロシアや日本も参加する方針。そして宇宙航空研究開発機構(JAXA)は日本人の月面着陸も目指している。
 日本は国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」の運用などで高い宇宙開発技術を持つ。こうした技術を生かして宇宙ステーションの運用に協力するわけだが、アポロ計画以来となる月面でのプロジェクトの一翼を日本が担うことは、日本の科学技術開発に大いに寄与するのではないかと期待する。
 49年前の人類初の月面着陸は、東西冷戦下、米国とソ連が国の威信をかけた宇宙開発競争を繰り広げた末に生まれた。ソ連のユーリイ・ガガーリンが世界初の有人宇宙飛行を成功させた後、米国が国民を鼓舞する宇宙計画を模索した結果でもあった。
 世界一の国力を持つ米国が軍事力と産業力を潤沢に投入して成功させたこのアポロ計画は、人類が初めて月面に着陸したという歴史的意義が極めて大きい。加えて、宇宙の軍事利用に拍車をかけることとなった。
 宇宙開発競争はソ連の経済を圧迫し、結果としてソ連崩壊の一因になったと指摘する分析もあるが、この崩壊を機に宇宙開発競争は下火になり、月面への有人機着陸を目指す理由もなくなった。経済性を考えると、莫大な費用に見合う効果が乏しいからだ。
 だが、人類は再び、月面への有人着陸に挑戦することとなった。その目的は月面探査や火星への有人飛行への準備だが、結局は人類の持つ探求心、冒険心がそうさせるのだろう。夜空を見上げた時、大きく浮かぶ月に、そこに到達できる技術があるのなら行ってみたいという憧れ。世界初のエベレスト登頂を目指したイギリスの登山家ジョージ・マロリー氏が「そこにエベレストがあるから」と語ったように。
 計画が順調に進めば2030年代には日本人の月面着陸が実現する。莫大な資金を投入して日本人がわざわざ参加する必要があるのかという指摘も出ようが、宇宙ステーション運用と月面プロジェクトへの参加が、日本の国民、特に子ども達に夢を与えるのであれば、大いに歓迎されるのではないだろうか。

2018年08月17日 15:52 |


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