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がん患者へのやじ

 衆議院厚生労働委員会で、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の審議のため、がん患者が参考人として発言しているさなか、自民党の穴見陽一衆院議員が「いいかげんにしろ」とやじを飛ばし、後に謝罪することとなった。
 参考人は日本肺がん患者連絡会代表を務める長谷川一男さん。2010年、39歳で肺がんを発症し、現在ステージ4。15年にNPO法人「肺がん患者の会ワンステップ」を立ち上げた。代表を務める連絡会は全国11の肺がん患者会で構成し、患者の声を医療関係者や行政などに伝えて現状の改善を目指している。長谷川さんの活動に対しては世界肺癌学会が表彰している。
 長谷川さんは抗がん剤治療や右肺の摘出など数々の治療と手術を乗り越え、発症から8年目を迎えているが、国立がん研究センターによると、肺がんのステージ4は5年後の生存率が5%を割り込む。
 長谷川さんには喫煙歴はない。だが、長谷川さんによると肺がん患者の多くが受動喫煙に対して好き嫌いでなく、恐怖の感情を抱き、たばこの煙にがん再発の恐怖を感じているという。そして、がん患者は飲食店で受動喫煙するケースが最も多いと指摘している。
 この国の受動喫煙対策をどのように進めるのか、今回の法改正で十分なのか、全国の肺がん患者の声を代弁する長谷川さんの声にしっかりと耳を傾けることが、国会議員の使命であろう。
 穴見議員はファミリーレストランを展開する「ジョイフル」の代表取締役。この改正案により、大手チェーンの飲食店は受動喫煙防止の規制の対象となる。
 やじが問題視されたのを受け、穴見議員は「参考人の方はもとより、関係の皆さまに不快な思いを与えたとすれば、心からの反省とともに深くおわび申し上げる」とし、発言の経緯について「参考人の発言を妨害するような意図はまったくなく、喫煙者を必要以上に差別すべきではないという思いでつぶやいた」と釈明している。しかし、余命いくばくもない長谷川さんが少しでも受動喫煙に対する規制を前進させようと、どのような思いで委員会の場に立っているのかを察すれば、「いいかげんにしろ」などというやじが飛び出すわけがない。
 今回のやじは、自民党の穴見議員がクローズアップされたわけだが、国会審議を見る限り、与野党問わず、やじが多い。もちろん安倍政権の長期化と、離合集散を繰り返す野党のふがいなさとは無縁ではない。穴見議員のやじは、国会の弛緩の一例と国民はみている。

2018年06月22日 15:47 |


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