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進化の歩み、伝える先生

 梅雨を迎えた。週末には長浜でも彦根でもイベントが目白押しだが、天気はいまいち。でも、生物や植物にとっては生命力を蓄える輝かしい季節となった。
 3歳の次男は今、カエル捕りに夢中になっている。自宅近くの水田脇の小さな水路にはトノサマガエルかダルマガエルなのか見分けは付かないが、無数のカエルが今を謳歌している。次男はまだ網を上手に使えず、カエルに軽々と逃げられてしまうが、悔しがることもなく「カエルさんは速いなー」「すごいなー」と感心しきり。子どもの生き物を見つめる視点の深さや広さにこちらも感心してしまう。
 日ごろ、カエルをじっくり観察する機会はないが、改めてカエルの生態について調べると、その生命のアイデアに驚かされる。
 カエルは、卵から孵るとオタマジャクシとして水中で生活し、エラ呼吸を行う。その後、足が生え、手が生え、尻尾が縮み、カエルの姿となって陸上で肺呼吸するのは、誰もが知る両生類の特徴だ。
 その点、人間は生まれてから死ぬまで姿も体の機能も変わらない。せいぜい、毛が生えたり、抜けたりという程度。
 約38億年前に海水の中で誕生したとされる生命は少しずつ進化を遂げ、水中で大いに繁殖した。水中に溶け込んだわずかな酸素をエラで漉して取り込んだ。その後、消化器官を使って酸素を取り込む生物が誕生し、消化器官が膨らんで肺へと進化した。空気中の酸素を吸えるようになると、生物は陸へと上がった。両生類の誕生だ。そして、両生類から爬虫類、哺乳類へと肺が受け継がれ、今の生態系が誕生した。
 カエルの幼生であるオタマジャクシは今、水田ですくすくと育っている。その水田も6月中旬くらいから水が抜かれる。魚類は落水に合わせて水路に逃れない限り全滅してしまうが、オタマジャクシは水位の変化に合わせて身体をコントロールし、カエルへと変態を遂げる。
 水田ではなく常時、水のある池や川のオタマジャクシは慌ててカエルに変態することはない。水田生活を謳歌するオタマジャクシだけが、水田という環境に変態のタイミングを合わせるそうだ。環境によって変態をコントロールすることで生存チャンスを飛躍的に拡大させ、自然の淘汰から逃れてきた。
 生命の進化の歩みをたった1、2カ月ほどで体現してくれるカエルは、子ども達にとって身近な生物の先生なのかもしれない。

2018年06月08日 16:26 |


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