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2018年06月11日

新潟県知事選

 新潟県知事選は10日投開票され、前海上保安庁次長・花角英世氏(60)が前県議・池田千賀子氏(57)ら2人を破り、初当選した。
 花角氏が54万6670票、池田氏が50万9568票と約4万票差だった。投票率は58・25%で、前回より5・20ポイント上昇した。
 選挙は事実上、国政与野党の代理戦争となっていた。自民、公明が花角氏を支持したのに対し、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民は池田氏を推薦した。
 野党の党首や幹部が続々と新潟入りして森友・加計学園問題を追及。安倍政権を批判して、官僚出身の花角氏を「官邸の言いなり」と指摘していた。一方の花角氏は自民、公明の「推薦」ではなく「支持」にとどめて政党色を薄め、「県民党」との姿勢を貫いた。
 また、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に慎重姿勢を見せていた米山隆一前知事の辞職に伴う選挙だったことから、原発再稼働が争点の一つになるとみられていたが、再稼働を推進する自民党が支持する花角氏も再稼働に慎重な姿勢を示したことで、争点化を回避。再稼働反対票を取り込むことに成功した。
 かつて「保守王国」と呼ばれた新潟では、2年前の参院選と知事選、昨年の衆院選で自民党系候補の多くが敗れた。いずれも野党共闘が奏功した結果だった。今回は花角氏の戦術が野党勢力に打ち勝ったという見方もできるが、自民、公明が黒子に徹することでの勝利は、安倍政権の地方での求心力低下を示すものであろう。
 一方の滋賀県知事選(24日投開票)。国政与野党が揃って現職の三日月大造候補を支持し、対立する近藤学候補を推すのは共産のみ。「非共産対共産」という構図に、県民の関心はいまいち。三日月候補が現職ゆえに総花的な政策を訴えるのに対し、近藤候補が滋賀国体への巨費投入の見直しを訴えて一点突破を図るのかと思いきや、安倍政権批判や憲法改正反対、原発再稼働反対なども取り上げている。
 両候補の噛み合う争点が乏しく、投票意欲を削ぐことになりはしまいか大いに心配している。

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2018年06月08日

進化の歩み、伝える先生

 梅雨を迎えた。週末には長浜でも彦根でもイベントが目白押しだが、天気はいまいち。でも、生物や植物にとっては生命力を蓄える輝かしい季節となった。
 3歳の次男は今、カエル捕りに夢中になっている。自宅近くの水田脇の小さな水路にはトノサマガエルかダルマガエルなのか見分けは付かないが、無数のカエルが今を謳歌している。次男はまだ網を上手に使えず、カエルに軽々と逃げられてしまうが、悔しがることもなく「カエルさんは速いなー」「すごいなー」と感心しきり。子どもの生き物を見つめる視点の深さや広さにこちらも感心してしまう。
 日ごろ、カエルをじっくり観察する機会はないが、改めてカエルの生態について調べると、その生命のアイデアに驚かされる。
 カエルは、卵から孵るとオタマジャクシとして水中で生活し、エラ呼吸を行う。その後、足が生え、手が生え、尻尾が縮み、カエルの姿となって陸上で肺呼吸するのは、誰もが知る両生類の特徴だ。
 その点、人間は生まれてから死ぬまで姿も体の機能も変わらない。せいぜい、毛が生えたり、抜けたりという程度。
 約38億年前に海水の中で誕生したとされる生命は少しずつ進化を遂げ、水中で大いに繁殖した。水中に溶け込んだわずかな酸素をエラで漉して取り込んだ。その後、消化器官を使って酸素を取り込む生物が誕生し、消化器官が膨らんで肺へと進化した。空気中の酸素を吸えるようになると、生物は陸へと上がった。両生類の誕生だ。そして、両生類から爬虫類、哺乳類へと肺が受け継がれ、今の生態系が誕生した。
 カエルの幼生であるオタマジャクシは今、水田ですくすくと育っている。その水田も6月中旬くらいから水が抜かれる。魚類は落水に合わせて水路に逃れない限り全滅してしまうが、オタマジャクシは水位の変化に合わせて身体をコントロールし、カエルへと変態を遂げる。
 水田ではなく常時、水のある池や川のオタマジャクシは慌ててカエルに変態することはない。水田生活を謳歌するオタマジャクシだけが、水田という環境に変態のタイミングを合わせるそうだ。環境によって変態をコントロールすることで生存チャンスを飛躍的に拡大させ、自然の淘汰から逃れてきた。
 生命の進化の歩みをたった1、2カ月ほどで体現してくれるカエルは、子ども達にとって身近な生物の先生なのかもしれない。

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2018年06月06日

SOSに気付きたい

 岩手県北上市で1歳9カ月の男児が十分な食事を与えられずに死亡し、25歳の父親が5日、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。男児が死亡したのは4月8日。遊びから帰宅した父親が男児の様子がおかしいとして消防に通報していた。
 司法解剖の結果、男児の体重は約8㌔。死亡前の数日間は食事を与えてもらえず、低栄養や全身機能障害により命を落とした。ようは餓死である。
 父親と男児は2人暮らし。母親とは数カ月前から別居していたという。男児が通っていた保育所によると、登園時に男児の衣服が尿や便で汚れていたり、園で着替えさせて帰宅させても翌日同じ服で登園させるなど、ネグレクト(育児放棄)の傾向は明らかだった。保育園から相談を受けた市やは緊急性のある状況とは考えずに、児童相談所も男児の一時保護はしなかった。
 シングルの子育てがいかに過酷なのかは育児経験のある大人なら誰でも知る。家族、親族、地域社会の協力や理解、そして行政機関の支援が欠かせない。25歳の父親がどういう心境で育児を放棄したのかは今後の捜査が待たれるところだが、この豊かなはずの日本で、親の愛情も食べ物も与えられずに命を落とす幼児がいる不幸に、社会と心の貧困を感じずにはいられない。男児がどれほど腹を空かせ、どれほど親を恋しがったことか。
 長崎市内の団地で5月29日、高齢の男性3人が転落死した。警察は事件や事故、自殺の可能性を含め捜査しているが、5日、長崎県警は3人が同じ団地の12階に住む無職の兄弟(70、74、77歳)と判明したと発表した。うち、2人は障害を抱え、長兄は転落死した29日に市内の障害者施設を退所したばかりだった。
 言い争う声などはなかったといい、自殺の可能性も指摘されるところだが、もし、兄弟3人がこれからの将来を悲観して団地から飛び降り自殺を図ったとしたら、障害を抱える高齢者を守り切れなかった社会に責任なしとは言えない。
 この2つのニュースは、弱者のSOSが地域社会や支援機関に届かない、もしくは届いても対処しきれていないという今の社会をあらわしている。行政など支援機関だけの問題ではなく、私たち1人1人の心の姿勢の問題だろう。

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2018年06月04日

ゲーム依存症

 世界保健機関(WHO)はゲーム依存症を新たに「ゲーム障害」として疾病分類の中に定義づけるという。
 ゲーム依存症について統一的な定義は今のところ存在しないが、WHOでは▽ゲームをする衝動が止められない▽日常生活よりゲームを優先する▽問題が起きてもゲームを続ける▽家族や社会、学習、仕事などに問題が生じる—などを挙げている。ゲームに熱中するあまり、学業や仕事、日常生活がおろそかになる状態を指すと思って良いだろう。
 今はスマートフォンで手軽にゲームを楽しめるため、時間や場所を選ばずにゲームに興じることができる。また、少なくないゲームが無料で始められる。読者の皆さんの周囲でもスマホでゲームに興じる人が多いのではないだろうか。例えば、電車に乗っていても学生から社会人まで年齢を問わずにゲームで遊んでいる人を目にする。
 老若男女がスマホでゲームに興じるという一昔前では考えられないような光景が、もはや当たり前になっていることを、実は心配に思っている。ゲームにばかりに興じているとしたら、例えば誰かとの出会いや会話であったり、読書であったり、五感で四季を感じる瞬間であったり、大切な機会や時間を素通りしてしまっている気がするからだ。
 そして、最も心配なのは子どもの心身への影響である。体も、脳も、そして心も大きく成長する時期にある子どもがゲームに熱中することは、彼ら彼女らの将来のためにどれ程の糧になろうというのか。全国学力・学習状況調査でもスマホの使用時間と平均正答率との関係がはっきりと出ている。
 ゲーム依存症にならないためには、ゲームをする場所や時間、使う金額などをあらかじめルールとして決めておき、ゲーム以外にも熱中できる楽しみや趣味を見つけることなどが考えられよう。
 WHOは今月中にもゲーム障害を疾病に位置付ける方針だ。自身や子どもが、ゲームが気になって学業や仕事に手が付かなくなっているならば、依存症の危険信号かもしれないし、1日に何時間もゲームに興じているようであれば、今一度、付き合い方を見直した方が良いだろう。

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2018年06月01日

ツバメと人、誘う湖北

 小欄のツバメに関する記事をインターネットで読んだという札幌市内の男性(75)からメールを頂いた。
 男性はキタキツネやエゾシカも出没する山林に近い郊外に住み、多くの野鳥にも出会えるそうだ。「バードテーブル」と呼ばれる給餌台にエサを置くと、シジュウカラ、ゴジュウカラ、スズメ、ヤマガラ、ヒヨドリ、アカゲラが毎日やって来るという。
 「今、我が家の軒下の巣箱ではスズメが子育て中。ピーピーとかぼそくても元気のいい雛の声がしています。無事に巣立つのを楽しみにしています」とレポートしている。
 5月21日の小欄では「天敵を避けるために人の暮らしに密着してきたツバメにとって、人そのものが子育ての脅威になりつつある」と、ツバメが減少しているその一因を紹介した。男性は「札幌にはツバメはやってきません」としながらも、「自然の摂理の中で生息する野鳥を大切に見守りたい。そんな心のゆとりを私たちは持ちたいものです」と感想を綴っている。
 日に日に強くなる太陽の光を浴びて、生命が花開くこの時期。木々の緑はいよいよ深くなり、田んぼではオタマジャクシが元気に泳ぎ、夜は水路で蛍が飛び交っている。湖北地域の豊かな自然と生命の力強さを感じずにはいられない季節となった。
 そんな湖北地域で昨日から1泊2日の日程で千葉県船橋市の中学生が農家民泊を楽しんでいる。豊かな自然環境の中で農作業などを体験し、農家と交流する。その教育効果に学校関係者が注目し、「農村修学旅行」は今や人気のプログラムとなっている。
 県内の農村修学旅行の先進地は日野町だ。一般社団法人「近江日野交流ネットワーク」が宿泊や体験を受け入れる農家などを取りまとめ、「三方よし!近江日野田舎体験」と題して修学旅行生や一般の家族を受け入れている。9年前から農家民泊の取り組みを進め、これまでに2万4000人を受け入れてきた。
 テレビやスマホを通して「バーチャル」な情報ばかりに触れ、ともすれば「頭でっかち」な人間が増えているのではと危惧する今の社会において、体験や人との交流を通して五感を刺激する農家民泊が注目されるのは、当然なのかもしれない。
 日野町の農家民泊のうち、リピーターは7割を占めるそうだ。湖北地域での船橋市の中学生の農家民宿は3度目で、「離村式」では涙を見せる生徒もいるという。豊かな自然と受け入れ家庭の温かさはツバメだけでなく、都市部の人の心も誘うのだろうか。

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