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ツバメの子育て

 ゴールデンウイークの田植えのピークを過ぎて、湖北の景色はすっかり初夏に向けた装いを整えた感がある。水田ではカエルの鳴き声が響き、オタマジャクシで賑わうのも間もなくのことだろう。
 この季節を感じる生き物にツバメがいる。東南アジアから子育てのため日本に飛来し、今ちょうど子育てのピークを迎えている頃。水田の上空を飛びまわっているのは、我が子の食べ物を探しているのだろう。
 人と共生することで外敵から身を守ってきたツバメは、今、都市部を中心に姿を消している。開発によって自然が減少し、エサとなる虫が減っているのが主な原因とされる。エサを満足に確保できなければ、子育ての成功率も低下する。庇のない家屋が増えたことや、外壁の性質の変化で巣作りできる環境も減っている。
 ただ、日本野鳥の会の調査では、ツバメが共生してきた人そのものが天敵となりつつある傾向も分かってきている。年々のツバメの減少を受けて、2013年から3年間、ツバメの子育て状況を全国のツバメ愛好家の協力を得て調査したところ、都市部で1つの巣から飛び立つヒナの数が、郊外や農村部に比べて少ないことが明らかになった。原因は人為的に巣が壊されているからだった。
 子育てに失敗した原因を調査すると、「人による巣の撤去」の割合が郊外や農村部で1・5%なのに対し、都市部では10・6%を占めた。天敵を避けるために人の暮らしに密着してきたツバメにとって、人そのものが子育ての脅威になりつつあるという現状が浮き彫りになっている。
 ツバメは農作物の害虫を食べてくれる。また、巣作りする家には幸福を招くと古くから親しまれている。糞に困るというので嫌悪する人もいるが、大きな口を開ける雛に親鳥がせっせとエサを運んで子育てする姿は微笑ましく思う。
 先日も読者から電話を頂いた。ツバメが近くのコンビニの防犯回転灯の上に巣を作っているという。24時間、人の出入りがあるコンビニはツバメにとって巣作りにうってつけ。「おまけに防犯回転灯の上に作るとは、これ以上、安全なところはないですね」と電話の主。ツバメを温かく見守るその姿を嬉しく思う。

2018年05月21日 15:46 |


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