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0次コホートの成果

 睡眠中に呼吸が一時的に停止する睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が、高血圧や糖尿病と関連していることを、京都大学の研究グループが突き止めた。
 睡眠時の無呼吸状態が多くなるほど睡眠時間が短くなり、高血圧や糖尿病の割合が高くなる。睡眠の質が高血圧や糖尿病に影響することが明らかになり、改めて睡眠の大切さがうかがえる。
 この調査結果は、睡眠障害と他の病気の関係解明につながるとして、アメリカの医学誌に掲載されたが、この調査に協力したのは長浜市民だった。京都大学は市民1万人の健康状態を追跡調査する「ながはま0次コホート事業」に取り組んでいる。健診などを通して健康に関する様々なデータを集積、分析して、病気や老化のメカニズムを解明し、医学の発展と市民の健康づくりに生かすもので、2007年に長浜市と京大が協定を締結して以来、研究が続いている。
 この0次コホート事業では今回の睡眠障害と高血圧・糖尿病との関連性だけでなく、いくつもの研究成果がすでに出ており、ホームページで紹介している。
 例えば、「口呼吸は喘息のリスクを高める恐れ」と題した論文では、「口呼吸」をしている人の割合が約6人に1人にのぼり、口呼吸しない人に比べて喘息に約2倍なりやすいという。さらに、アレルギー性鼻炎の人が口呼吸をすると、約4倍に跳ね上がることが分かり、「できる限り口呼吸にならないように意識することが大切」と呼びかけている。
 睡眠関連では、高齢者の睡眠の質と運動機能の関係を解析した結果、睡眠の質が悪いと、握力が弱いことが明らかになった。握力は全身の筋力の状態を表す指標の一つであり、65歳から80歳の間に著しく低下する。「良い睡眠をとることは老後を元気に過ごすための一つのポイントと言えそう」とレポートしている。
 また、「十分に噛めない人や食べる速度が速い人は、糖尿病のリスクが高い」と題した論文では、食品を「噛む能力」と、食べる速さを調べ、糖尿病との関係を明らかにした。結果、入れ歯などにより十分に噛めない人や、食べる速度が速い人は糖尿病のリスクが高くなることが分かった。
 頻尿の原因を探った論文も興味深い。研究では参加者の11・8%が「過活動膀胱」(急に我慢できないような尿意が起こる、トイレが近い、など)で、高齢になるほどこの症状が増える。その原因を遺伝因子に求めたところ関係は明らかにならず、「年齢」「うつ病」「ケーキ・和菓子摂取」といった環境因子が関係していることが分かった。
 このほかにも多くの論文が掲載されているが、コホート事業が始まってまだ10年。今後も市民の健康状態を追跡調査することで、様々な病気のメカニズムが解明されることを期待したい。

2018年05月11日 17:06 |


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