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激変した霊仙山。鹿の食害、深刻。

 ゴールデンウイークを利用して久しぶりに伊吹山に登った。好天だったことから、山頂は登山客や観光客で大賑わい。眼下に広がる湖北の風景を楽しんでいた。山頂付近はシカによる食害から高山植物を守るためフェンスで囲まれていた。「伊吹山を守る自然再生協議会」や県、市などが設置したもので、費用の一部に登山者らの協力金が活用されている。フェンスに覆われた山頂の風景に、食害の深刻さを目の当たりにするとともに、伊吹山の自然環境を守る関係者の協力で、被害拡大を食い止めていることを嬉しく思った。
 シカの食害は伊吹山に限らない。時期を同じくして、米原市から多賀町にまたがる霊仙山に登山した男性から「かつて美しい熊笹の台地だった山頂一帯が、石灰岩がそそり立つ広大なカルスト台地に激変し、秋芳台のようになっていた」と報告を受けた。
 約40年ぶりに霊仙山に登ったのは、国友町の吉田一郎さん(76)。「霊仙山に登山してびっくり仰天。鹿の食害で一本の樹も一株の熊笹もなくなっていた」と話している(写真)。
 霊仙山は鹿の食害により山肌が無残に露出し、雨のたびに土が流れ出している。「霊仙登山のメインルートだった醒井養鱒場から漆ヶ滝を経由するルートが山崩れで通行不能になっていることがよく理解できた」と吉田さん。40年前までは何度も霊仙山に登り、「そのころは背丈を超える熊笹のトンネルをかきわけて登り、遠くを見ようと思うと大きな石灰岩を見つけてその上へ登らないと遠望がきかなかった」と振り返り、「わずか40年でこんなにも生態系が変化してしまうのかと、寒気がしたほど」と語っている。
 食害は山頂付近だけにとどまらない。道中の杉やヒノキの大木も、鹿に表皮を食べられて、立ち枯れしている。人工林も被害を受け、林業にも深刻なダメージを生んでいる。
 シカの食害をこれ以上拡大させれば、山の荒廃は麓へと広がる。さらには土砂崩れを招き、琵琶湖の水質にも悪影響を及ぼす。計画的なシカの駆除が急がれる。
 県は5年前から農水省の補助を受けて山頂付近でのシカの駆除に乗り出しているが、登山客が多い山でもあり、駆除する期間は限られる。昨年度は委託を受けた猟友会から延べ113人が参加したが、捕獲はわずか4頭。予算も人材も限られる中、計画通りに駆除が進んでいるとは言い難い。

2018年05月07日 16:50 |


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