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こどもの日を前に

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2015年を基準に30年後の2045年には滋賀県の人口は141万人から126万人へと10・6%減少し、15歳未満の子どもは20万4000人から15万8000人へと22・5%減少する。長浜市でも人口は22・2%減少し、15歳未満は32・8%減少する。米原市も人口は25・0%、子どもは35・4%減少する。
 人口は減少し続け、それを上回る割合で子どもも減ることは、まぎれもない日本の将来の姿だ。
 減り続ける子どもに対して、その健やかな成長を育み、夢や希望を与えることは大人の責務であろう。そして、子どもの将来のために少しでも暮らし良い社会をバトンタッチするのも責務と考える。しかし、現実はどうなのだろうか。5日の「こどもの日」を前に、大人や社会が果たしてその責務を果たしているのか、少し考えてみたい。
 今の子ども達、そしてまだ生まれていない未来の子ども達のために解決の道筋をつけなければならない課題は何だろうか。世界的規模で言えば地球温暖化の歯止めであろう。温室効果ガスを生み出す化石燃料の使用をいかに控え、地球の環境を維持するのか。
 国内に目を転じれば赤字財政が将来の課題だろう。国と地方の債務残高はGDPの2倍を超える。2018年度の国の予算は税収59兆円に対し歳出が97兆円。だから、消費税を8%に引き上げたところで借金が減ることはない。
 福島第一原発事故は言うまでもないが、原子力発電所から排出される放射性廃棄物の埋設場所はいまだ決まっていない。原発の敷地や中間貯蔵施設に保管しているだけで、問題を先送りにしている。
 地方に目を向ければ、人口減少社会に突入している事実に目をつむっているかのような事業が各地で進む。県内では2024年滋賀国体を見据えた施設整備が計画されている。また、市庁舎などの公共施設の整備のほか、新しい道路の建設、市街地や駅周辺の再開発事業など、滋賀に限らずこの国のどこの地方都市に行っても、国債や地方債に頼った事業が進む。一方で、高齢化社会の要請に応えるため、社会保障費は上昇の一途で、我々が国や地方に納める税金も保険料も上昇を続けている。
 施設整備は市民福祉の向上のため、再開発は地域の活性化のため、税や保険料の値上げは社会保障のため—。それぞれに目的や理由はあるが、それらの投資が将来世代にとって資産となるのか、負債となるのか、我々現役世代はもう少し真面目に考える必要があるのではないか。
 「フューチャー・デザイン」という言葉がある。世代を超えた持続性のある課題を、いかに解決して将来世代に引き継いでゆくか、社会制度のデザインを研究する考え方だ。この考え方で最も大切にしなければならないのが「将来世代」の視点だ。まだこの世に生を受けていない将来世代のために、社会はどうあるべきなのか、と。
 高知工科大フューチャー・デザイン研究所の西條辰義所長は、国には「将来省」、自治体には「将来課」といった部署を新設し、組織内に将来世代になりきって将来を考える「仮想将来世代」の集団を作る必要性を説いている。
 実際に岩手県矢巾町や大阪府吹田市で取り組みが始まり、市民が「仮想将来世代」になりきって自治体の施策の企画立案に関わっている。
 将来世代にどのような社会を引き渡すのが、我々現役世代の責務なのか、「こどもの日」を前に、考えてはどうだろうか。

2018年05月02日 16:46 |


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