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2018年05月30日

食育白書から

 政府が29日に閣議決定した2017年度の「食育白書」では、1人で食事をする「孤食」の割合が増加していることをレポートし、誰かと共に食卓を囲む大切さを説いている。
 20歳以上の1786人を対象にした調査によると、1日のすべての食事を1人で取る頻度について、「ほとんど毎日」が11・0%、「週に4〜5日」が4・3%となった。つまり、15・3%が週の半分以上を孤食で済ませ、6年前に比べて約5ポイント上昇している。独り暮らしの高齢者が増加していたり、夫婦だけの少人数世帯でも時間が合わなかったり、昨今の社会情勢が背景にある。
 現実的には学業や仕事のため家族のもとを離れて単身で暮らす人は、どうしても孤食になりがちだ。だが、「孤食」はいけないことなのだろうか。農林水産省の「食育に関する意識調査」によると、孤食がほとんどなく、ほぼ毎日誰かと食事を共にしている人は、孤食が週2日以上の人と比べると、ほぼ毎日主食・主菜・副菜を3つ揃えて食べると回答した割合が多く、食事のバランスが良い傾向にある。さらに、朝食の頻度や、生活習慣病に気をつけた食生活の実践状況も、食事を共にする頻度が高い人のほうが良好な傾向にあるという結果が導き出されている。つまり、複数で食卓を囲んだ方が、自ずと品数が多くなり、健康的な食生活になりやすいということだろう。
 さて、「食育」という言葉は現代人の食生活が乱れているからこそ注目されているワードではあるが、初めて登場したのは明治時代のことだった。医食同源を提唱した軍医の石塚左玄は1898年(明治31)発行の「食物養生法」で食事が人に及ぼす影響を強調し、体育、智育、才育の基本となるものとして「食育」の重要性に言及した。1903年(明治36)に小説「食道楽」を著した村井弦斉も「小児には徳育よりも智育よりも体育よりも食育が先き」と食育の大切さを説いている。
 明治期は文明開化により肉食が普及した。福沢諭吉は1870年(明治3)の「肉食之説」で、牛肉や牛乳が身体の養生に有効だと説き、肉食を啓蒙。さらに1882年(明治15)に「肉食せざるべからず」を著し、欧米人の精神と体力が日本人に勝っていることを指摘し、肉食の利点を力説した。
 学校給食が始まったのも明治期だった。1889年(明治22)、山形県鶴岡町の私立小学校で貧困児童を対象に無料で学校給食を実施。その後、貧困児童向けの給食が徐々に広がった。
 当時の食育は欧米列強に対抗しうる強靭な国家を築くために、日本人の体力と精神の向上を目指した食生活の転換に不可欠なワードだったと分析できる。方や、今の時代は飽食と食生活の乱れ、そして孤立した住環境を背景として注目されている。孤食に限らず、朝食の欠食や、家族でばらばらのメニューを食べる「個食」など、食育の観点から改善すべき食生活の課題は山積している。

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2018年05月23日

サ・ヴァ?

 湖北の郷土料理としてすっかり知名度を高め、観光客も必ず注文するそうな「鯖そうめん」。焼いた鯖を甘辛い醤油味の出し汁で煮込み、その煮汁でそうめんを味付けした料理だ。農家に嫁ぎ田植えで忙しくしている我が娘を気遣って、嫁ぎ先へ焼き鯖を届ける「五月見舞い」という風習に由来する料理だそうだが、街中では曳山まつりなど「ハレの日」に客人をもてなすために振る舞われる習慣もある。
 この甘辛い味付けはお酒にも合うので、小生も市内の郷土料理店で夕食を頂くときには、必ず注文するほど愛している。自宅で鯖そうめんを頂くなら鯖缶で作るのが手軽だ。醤油味の鯖缶に砂糖やみりんを加えて甘辛く味付けし、そうめんと絡ませる。わざわざ焼き鯖を買わなくても、鯖缶だけでそれなりの味を楽しめる。
 さて、昨年からその鯖缶が売れに売れているそうだ。確かにスーパーに行ってもサンマなどの缶詰に比べて品薄状態。栄養価の高さに加え、原料となる鯖の水揚げ量、価格が安定しているのを背景に消費者に歓迎されているそうだ。さらにテレビ番組で美容や健康の良いなどと紹介されたものだから、さらに人気に。メーカーによっては鯖缶の売上が3割、5割アップし、生産が追い付いていない。
 そんな人気に押されてか、今、スーパーなどの売り場には豊富な種類の鯖缶が並んでいる。小生が最近出会ったのは「Ça va?」と書いて「サヴァ?」と読ませ、フランス語で「元気?」という意味の名前を持つ鯖缶。食を通して東北復興を応援するため一般社団法人「東の食の会」がプロデュースし、5年前から人気を集めている商品だ。「レモン・バジル」「オリーブオイル」「パプリカ・チリ」の3種類があり、赤や黄のさわやかな配色のパッケージが印象的で、おおよそ鯖缶とは思えないオシャレなデザイン。
 洋食にそのまま使える味付けで、パンにはさんで鯖サンドにしてもいいし、ペペロンチーノやアクアパッツァにも相性が良さそう。料理のアレンジの幅が広がりそうな鯖缶だ。
 このほかにもカレーや燻製、ブラックペッパーなど様々な味付けの鯖缶が続々と登場しており、その人気はまだまだ続きそう。

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2018年05月21日

ツバメの子育て

 ゴールデンウイークの田植えのピークを過ぎて、湖北の景色はすっかり初夏に向けた装いを整えた感がある。水田ではカエルの鳴き声が響き、オタマジャクシで賑わうのも間もなくのことだろう。
 この季節を感じる生き物にツバメがいる。東南アジアから子育てのため日本に飛来し、今ちょうど子育てのピークを迎えている頃。水田の上空を飛びまわっているのは、我が子の食べ物を探しているのだろう。
 人と共生することで外敵から身を守ってきたツバメは、今、都市部を中心に姿を消している。開発によって自然が減少し、エサとなる虫が減っているのが主な原因とされる。エサを満足に確保できなければ、子育ての成功率も低下する。庇のない家屋が増えたことや、外壁の性質の変化で巣作りできる環境も減っている。
 ただ、日本野鳥の会の調査では、ツバメが共生してきた人そのものが天敵となりつつある傾向も分かってきている。年々のツバメの減少を受けて、2013年から3年間、ツバメの子育て状況を全国のツバメ愛好家の協力を得て調査したところ、都市部で1つの巣から飛び立つヒナの数が、郊外や農村部に比べて少ないことが明らかになった。原因は人為的に巣が壊されているからだった。
 子育てに失敗した原因を調査すると、「人による巣の撤去」の割合が郊外や農村部で1・5%なのに対し、都市部では10・6%を占めた。天敵を避けるために人の暮らしに密着してきたツバメにとって、人そのものが子育ての脅威になりつつあるという現状が浮き彫りになっている。
 ツバメは農作物の害虫を食べてくれる。また、巣作りする家には幸福を招くと古くから親しまれている。糞に困るというので嫌悪する人もいるが、大きな口を開ける雛に親鳥がせっせとエサを運んで子育てする姿は微笑ましく思う。
 先日も読者から電話を頂いた。ツバメが近くのコンビニの防犯回転灯の上に巣を作っているという。24時間、人の出入りがあるコンビニはツバメにとって巣作りにうってつけ。「おまけに防犯回転灯の上に作るとは、これ以上、安全なところはないですね」と電話の主。ツバメを温かく見守るその姿を嬉しく思う。

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2018年05月16日

天井のない監獄

 アメリカ大使館のエルサレム移転に抗議する大規模デモがパレスチナ自治区のガザであり、イスラエル治安部隊の発砲により、パレスチナ人60人が死亡、約2700人が負傷した。
 抗議デモの参加者はガザ地区とイスラエルを隔てる分離フェンスの緩衝地帯に乗り込んだ。パレスチナ人の投石や火炎瓶に対し、治安部隊は銃撃や催涙弾で応戦した。
 アメリカ大使館がエルサレムに開設されたのが14日。そして1948年のイスラエル建国によりパレスチナ人が故郷を奪われた悲劇を嘆く「ナクバ(大惨事)の日」が15日。パレスチナ人が怒りを爆発させ、抗議デモを行うのは当然のことだった。
 ガザは「天井のない監獄」と言われる。想像してほしい。長浜市の3分の2ほどの面積に、外部と隔離されて約200万人が暮らしていることを。上水道も下水処理システムも満足に機能せず、電気が使えるには1日2、3時間程度。国際社会から入ってくる援助は著しく制限され、医療物資も不足している。失業率は40%にのぼり、生きてゆくのがぎりぎりだ。ぐるりと張り巡らされた分離フェンスに近づくだけでイスラエル側から銃撃を受ける。
 ガザで活動する国境なき医師団のメンバーがそこで暮らす人々の声をレポートしている。4月26日のレポートではガザの分離フェンスで頻繁に行われている抗議デモの参加者の声を伝えている。
 「ガザには希望も未来もありません。ここの人々は貧しく、少しずつ死に向かっています。私自身も、ガザでの生活に絶望しています」と語るのは30歳女性。「デモ行進に向かう時は死ぬ覚悟でした。英雄として死ぬ方が、今のガザの生活よりずっとまし。自宅を出る前に、父にお金を渡しておきました。私の葬式の供え物を買うための費用です。それから、皆にお別れを言いました。帰宅は望まない。そう決心していました」。女性は両足に銃弾を浴びた。
 11歳の男の子は「僕ぐらいの年であんなに(分離フェンスに)近づいた子どもは他にいません。向こう側の景色が見たくて、近寄ったんです。すごくきれいでした。ガザよりもずっと!でもその時に撃たれたんです。撃った人の顔も覚えています。金髪の女の人でした(中略)。まだ子どもなのに、とは思いません。けがの痛みも、悲しいのも我慢できます。僕は、撃たれてけがをした他のガザの人たちと一緒です」と松葉杖をつく。
 抗議デモによって現状が打開できるわけではない。しかし、ガザに住むパレスチナの人々は自由を奪われた監獄の中で未来を見出すことができず、デモに参加した多くが、銃撃の危険を知りながらも「失うものはない」と分離フェンスに向かった。
 かつてナチスによるホロコーストで多くの同胞を失ったユダヤ人。その惨劇の被害者が今、ガザでホロコーストを再現させていることに、人類の業の深さを嘆かずにはいられない。パレスチナの人々が自由になるのはいつになるのだろうか。それまでに何人が犠牲になるのだろうか。15日には生後8カ月の乳児もイスラエル側の発射した催涙弾によって亡くなっている。

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2018年05月14日

いつ終わる?モリカケ問題

 東アジアの安全保障が劇的に変化するかもしれない。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長と中国の習近平・国家主席の会談、米国の国務長官の北朝鮮訪問、そして安倍晋三首相と、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領の日中韓首脳会談の日本開催。
 歴史的な米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで行われる見通しとなって、周辺国は動き急。これまで米国や中国を翻弄しながら核開発を進めてきた北朝鮮だけに予断を許さない状況だが、朝鮮半島の緊張緩和は東アジアの安全保障に大きな影響を与えるだけに、拉致問題の解決も含めて、日本が米中韓と綿密な連携を図ることが欠かせない。
 ニュースの現場を9000㌔離れた中東に移せば、きょう14日、米国の在イスラエル大使館がテルアビブからエルサレムへと移転・開設する。エルサレムはイスラエルが首都と定める一方で、パレスチナ自治政府も将来の首都と位置付けている。中東和平の観点から、アメリカを含む国際社会はテルアビブを首都とみなして大使館などを置いてきた。しかし、今回、パレスチナや西欧諸国など国際社会の反対を押し切ってトランプ政権が大使館の移設に踏み切った。
 今、中東ではイスラム教シーア派の盟主・イランがシリア内戦などを契機にイラク、シリア、レバノンへと陸続きで影響力を高めることに成功している。レバノンとシリアに隣接するイスラエルにとっては、敵対するイランから喉元に刃を突き付けられる格好となり、両国の間で緊張が高まっている。
 もちろん、イランとイスラエルは表向き軍事衝突を望んではいないが、イスラエルの後ろ盾である米国のトランプ政権はイランとの核合意の破棄と経済制裁をちらつかせている。エルサレムへの大使館移設を含め、イスラエルへの過剰なまでの支援は、中東和平実現の足を引っ張ることになる。
 東アジアと中東の国際情勢、つまり安全保障が大きく変動しようとするさなか、まったく変わらないのが日本の政治。国会はまだモリカケ問題の真っ最中。振り返ると2017年2月からこの問題が国会で取り上げられている。モリカケ問題は森友学園への国有地の破格売却と、家計学園の獣医学部開設における政治家の口利きをめぐる疑惑で、今、国会で追及されているのは、加計学園獣医学部の開設をめぐって、首相官邸で首相秘書官が愛媛県職員と会ったか、会わなかったのか話。当事者の誰かが嘘を付いたり、記憶を消し去ったり、あるいは記憶を改ざんしているわけだが、これまでの問題追及で明らかになったように、官僚が行政文書の破棄や改ざんをやってのける訳だから、自分自身の記憶なんてどうにでもコントロールできるだろう。
 1年以上にわたってこの問題が国会で解決を見ず、国民の間にもモヤモヤした煙が晴れないのは、政府・与党に非があるのは言うまでもないが、野党もこのモリカケ問題を追及することでしか存在感を示せないのは課題であろう。おまけに、国会開会中にもかかわらず民進党と希望の党が統合して国民民主党を結成する始末。昨年の総選挙はいったい何だったのか。
 モリカケ問題にケリが付いたころには、日本が激変する国際情勢の中ですでに蚊帳の外に置かれていた、なんてことにならないことを願いたい。

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2018年05月11日

0次コホートの成果

 睡眠中に呼吸が一時的に停止する睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が、高血圧や糖尿病と関連していることを、京都大学の研究グループが突き止めた。
 睡眠時の無呼吸状態が多くなるほど睡眠時間が短くなり、高血圧や糖尿病の割合が高くなる。睡眠の質が高血圧や糖尿病に影響することが明らかになり、改めて睡眠の大切さがうかがえる。
 この調査結果は、睡眠障害と他の病気の関係解明につながるとして、アメリカの医学誌に掲載されたが、この調査に協力したのは長浜市民だった。京都大学は市民1万人の健康状態を追跡調査する「ながはま0次コホート事業」に取り組んでいる。健診などを通して健康に関する様々なデータを集積、分析して、病気や老化のメカニズムを解明し、医学の発展と市民の健康づくりに生かすもので、2007年に長浜市と京大が協定を締結して以来、研究が続いている。
 この0次コホート事業では今回の睡眠障害と高血圧・糖尿病との関連性だけでなく、いくつもの研究成果がすでに出ており、ホームページで紹介している。
 例えば、「口呼吸は喘息のリスクを高める恐れ」と題した論文では、「口呼吸」をしている人の割合が約6人に1人にのぼり、口呼吸しない人に比べて喘息に約2倍なりやすいという。さらに、アレルギー性鼻炎の人が口呼吸をすると、約4倍に跳ね上がることが分かり、「できる限り口呼吸にならないように意識することが大切」と呼びかけている。
 睡眠関連では、高齢者の睡眠の質と運動機能の関係を解析した結果、睡眠の質が悪いと、握力が弱いことが明らかになった。握力は全身の筋力の状態を表す指標の一つであり、65歳から80歳の間に著しく低下する。「良い睡眠をとることは老後を元気に過ごすための一つのポイントと言えそう」とレポートしている。
 また、「十分に噛めない人や食べる速度が速い人は、糖尿病のリスクが高い」と題した論文では、食品を「噛む能力」と、食べる速さを調べ、糖尿病との関係を明らかにした。結果、入れ歯などにより十分に噛めない人や、食べる速度が速い人は糖尿病のリスクが高くなることが分かった。
 頻尿の原因を探った論文も興味深い。研究では参加者の11・8%が「過活動膀胱」(急に我慢できないような尿意が起こる、トイレが近い、など)で、高齢になるほどこの症状が増える。その原因を遺伝因子に求めたところ関係は明らかにならず、「年齢」「うつ病」「ケーキ・和菓子摂取」といった環境因子が関係していることが分かった。
 このほかにも多くの論文が掲載されているが、コホート事業が始まってまだ10年。今後も市民の健康状態を追跡調査することで、様々な病気のメカニズムが解明されることを期待したい。

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2018年05月09日

ざんねんな…

 全国の小学生が好きな本を投票で決める「こどもの本総選挙」の結果が先日発表され、動物学者・今泉忠明氏が監修する「ざんねんないきもの事典」(高橋書店)が1位に選ばれた。
 総選挙は児童図書を出版するポプラ社が創立70年記念事業として企画。「ともだちみんなで選ぶ最強の本決定戦!」と銘打ち、全国の小学生に「一番好きな本」を昨年11月から今年2月にかけ、インターネットで投票してもらった。12万8055人から2万0732タイトルが挙がった。
 1位の「ざんねんないきもの事典」は、「シマリスのしっぽは簡単に切れるが、再生しない」「ダチョウは脳みそが目玉より小さい」「ティラノサウルスは肉の食べ過ぎで病気になった」など、進化の過程で身につけたユニークな特徴を持つ100種以上の動物を紹介。子ども達の人気を呼んで続編も出版され、児童書としては異例の160万部を超えるベストセラーとなっている。
 このほかトップ10には「あるかしら書店」(2位、ポプラ社)、「おしりたんてい」(5位、同)などが選ばれたが、意外だったのは、1985年発刊の「ぼくらの七日間戦争」(KADOKAWA)が8位に入ったこと。宮沢りえさん主演で映画にもなった当時の人気図書が世代を超えて今の子ども達が親しんでいる点に、いつの時代も子どもが冒険的なイタズラを夢見ていることがうかがえる。
 さて、「ざんねんないきもの事典」の人気を受けて、「せつない動物図鑑」(ダイヤモンド社)など類似の図書も登場しているが、大人も楽しめそうなのが「ざんねんな日本史」(小学館)。「知らなきゃよかった」と思うような歴史人の裏話を、歴史作家の島崎晋氏が紹介している。「武田騎馬軍団はポニーに乗ってやってきた」「一休さんは飲酒に肉食、女犯の生臭坊主だった」「長谷川平蔵はインサイダー取引に手を出したことがある」「柳生十兵衛は隻眼ではなかった」「源頼朝は北条政子に生涯、頭が上がらなかった」など、歴史上の英雄たちの意外な側面を伝えている。
 歴史上の英雄も動物園の人気者も、欠点や失敗はある。そういう「ざんねん」な側面が、人間臭さや身近さを感じさせ、その魅力を膨らませている。

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2018年05月07日

激変した霊仙山。鹿の食害、深刻。

 ゴールデンウイークを利用して久しぶりに伊吹山に登った。好天だったことから、山頂は登山客や観光客で大賑わい。眼下に広がる湖北の風景を楽しんでいた。山頂付近はシカによる食害から高山植物を守るためフェンスで囲まれていた。「伊吹山を守る自然再生協議会」や県、市などが設置したもので、費用の一部に登山者らの協力金が活用されている。フェンスに覆われた山頂の風景に、食害の深刻さを目の当たりにするとともに、伊吹山の自然環境を守る関係者の協力で、被害拡大を食い止めていることを嬉しく思った。
 シカの食害は伊吹山に限らない。時期を同じくして、米原市から多賀町にまたがる霊仙山に登山した男性から「かつて美しい熊笹の台地だった山頂一帯が、石灰岩がそそり立つ広大なカルスト台地に激変し、秋芳台のようになっていた」と報告を受けた。
 約40年ぶりに霊仙山に登ったのは、国友町の吉田一郎さん(76)。「霊仙山に登山してびっくり仰天。鹿の食害で一本の樹も一株の熊笹もなくなっていた」と話している(写真)。
 霊仙山は鹿の食害により山肌が無残に露出し、雨のたびに土が流れ出している。「霊仙登山のメインルートだった醒井養鱒場から漆ヶ滝を経由するルートが山崩れで通行不能になっていることがよく理解できた」と吉田さん。40年前までは何度も霊仙山に登り、「そのころは背丈を超える熊笹のトンネルをかきわけて登り、遠くを見ようと思うと大きな石灰岩を見つけてその上へ登らないと遠望がきかなかった」と振り返り、「わずか40年でこんなにも生態系が変化してしまうのかと、寒気がしたほど」と語っている。
 食害は山頂付近だけにとどまらない。道中の杉やヒノキの大木も、鹿に表皮を食べられて、立ち枯れしている。人工林も被害を受け、林業にも深刻なダメージを生んでいる。
 シカの食害をこれ以上拡大させれば、山の荒廃は麓へと広がる。さらには土砂崩れを招き、琵琶湖の水質にも悪影響を及ぼす。計画的なシカの駆除が急がれる。
 県は5年前から農水省の補助を受けて山頂付近でのシカの駆除に乗り出しているが、登山客が多い山でもあり、駆除する期間は限られる。昨年度は委託を受けた猟友会から延べ113人が参加したが、捕獲はわずか4頭。予算も人材も限られる中、計画通りに駆除が進んでいるとは言い難い。

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2018年05月02日

こどもの日を前に

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2015年を基準に30年後の2045年には滋賀県の人口は141万人から126万人へと10・6%減少し、15歳未満の子どもは20万4000人から15万8000人へと22・5%減少する。長浜市でも人口は22・2%減少し、15歳未満は32・8%減少する。米原市も人口は25・0%、子どもは35・4%減少する。
 人口は減少し続け、それを上回る割合で子どもも減ることは、まぎれもない日本の将来の姿だ。
 減り続ける子どもに対して、その健やかな成長を育み、夢や希望を与えることは大人の責務であろう。そして、子どもの将来のために少しでも暮らし良い社会をバトンタッチするのも責務と考える。しかし、現実はどうなのだろうか。5日の「こどもの日」を前に、大人や社会が果たしてその責務を果たしているのか、少し考えてみたい。
 今の子ども達、そしてまだ生まれていない未来の子ども達のために解決の道筋をつけなければならない課題は何だろうか。世界的規模で言えば地球温暖化の歯止めであろう。温室効果ガスを生み出す化石燃料の使用をいかに控え、地球の環境を維持するのか。
 国内に目を転じれば赤字財政が将来の課題だろう。国と地方の債務残高はGDPの2倍を超える。2018年度の国の予算は税収59兆円に対し歳出が97兆円。だから、消費税を8%に引き上げたところで借金が減ることはない。
 福島第一原発事故は言うまでもないが、原子力発電所から排出される放射性廃棄物の埋設場所はいまだ決まっていない。原発の敷地や中間貯蔵施設に保管しているだけで、問題を先送りにしている。
 地方に目を向ければ、人口減少社会に突入している事実に目をつむっているかのような事業が各地で進む。県内では2024年滋賀国体を見据えた施設整備が計画されている。また、市庁舎などの公共施設の整備のほか、新しい道路の建設、市街地や駅周辺の再開発事業など、滋賀に限らずこの国のどこの地方都市に行っても、国債や地方債に頼った事業が進む。一方で、高齢化社会の要請に応えるため、社会保障費は上昇の一途で、我々が国や地方に納める税金も保険料も上昇を続けている。
 施設整備は市民福祉の向上のため、再開発は地域の活性化のため、税や保険料の値上げは社会保障のため—。それぞれに目的や理由はあるが、それらの投資が将来世代にとって資産となるのか、負債となるのか、我々現役世代はもう少し真面目に考える必要があるのではないか。
 「フューチャー・デザイン」という言葉がある。世代を超えた持続性のある課題を、いかに解決して将来世代に引き継いでゆくか、社会制度のデザインを研究する考え方だ。この考え方で最も大切にしなければならないのが「将来世代」の視点だ。まだこの世に生を受けていない将来世代のために、社会はどうあるべきなのか、と。
 高知工科大フューチャー・デザイン研究所の西條辰義所長は、国には「将来省」、自治体には「将来課」といった部署を新設し、組織内に将来世代になりきって将来を考える「仮想将来世代」の集団を作る必要性を説いている。
 実際に岩手県矢巾町や大阪府吹田市で取り組みが始まり、市民が「仮想将来世代」になりきって自治体の施策の企画立案に関わっている。
 将来世代にどのような社会を引き渡すのが、我々現役世代の責務なのか、「こどもの日」を前に、考えてはどうだろうか。

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