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奈良の遷都決議

 「南高北低」という言葉がある。滋賀県北部地域が南部地域に対して、行政機関や公共施設が少なく、発展が遅れている点、過疎化が進んでいる点など数々の不満を込めて使う場合が多いようだ。
 行政機関や公共施設は大津市など県南部に集中し、湖北地域の県立施設は次々と廃止されている。人口は京阪神のベッドタウンとして草津や栗東、守山など湖南地域で増加しているのに、湖北は減少の真っただ中。高校受験の全県1区化により、受験生は湖北から流出し、学校統廃合やクラス数の削減でも、定員割れしている。
 もちろん、人口の集中する地域に重点的に公共施設などを投入するのは、費用対効果の面から止むを得ないのだが、県政に対する疎外感を込めて「南高北低」という言葉が聞かれる。
 南北格差に悩むのは滋賀県だけではないらしい。南北約100㌔の縦長の奈良県でも格差への不満の声が出ているという。もっともこちらは県庁が県北部の奈良市内にあることから、「北高南低」問題と言えよう。
 奈良市を中心とする県北部は京阪神のベッドタウンとして宅地造成され、人口が増加。行政機関や企業も集中している。一方の県中部や南部は、その多くが過疎地域だそうだ。
 そこで、3月の県議会で、南北格差の是正を目指して「奈良県庁の橿原市周辺への移転を求める決議」が可決された。サブタイトルは「還都 飛鳥・藤原京の実現に向けて」とある。
 「県の中南部地域の広域アクセスや開発の潜在力を飛躍的に向上させ、その影響力を全県に波及させることこそ、県土の均衡ある持続的な発展を確たるものとすることにつながる」として、約1300年前に「首都」が置かれていた「飛鳥・藤原京」にちなんで、藤原京があった橿原市周辺への県庁移転「還都」を県民に向けて提案したものだった。採決の結果、賛成23、反対17で可決した。
 ただ、決議案が可決されたところで、その実現の可能性は限りなく低い。県庁の移転や周辺整備に何百億円もの税金を投入することに県民が賛同するはずがないし、県庁が移転したところで奈良県全体が発展する保障なんてない。決議は奈良県政に対して、中部、南部地域にもしっかり目を向けて欲しいとの県議からのメッセージと受け止めるのが適当だろう。
 一方の滋賀県議会でも高校進学や県施設の廃止の観点で南北格差が取り上げられることはあるが、大きな課題として共有されている気配は感じられない。過去には県庁の彦根移転が議論されたこともあるのだが。

2018年04月18日 16:23 |


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