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「始末」する時代

 人口減少に転換した日本は、社会の仕組みや構造を人口減少に応じて変化させることが避けられないが、果たして国や自治体、そして私たちの意識は、その変化への準備ができているのだろうか。
 国立社会保障・人口問題研究所はこのほど2045年までの都道府県や市区町村の将来推計人口を発表した。日本の人口は45年には約1億0600万人となり、現在より2000万人以上が減少する。地方から人が流入する東京都と、出生率の高い沖縄は30年ごろまで人口増が続くが、以降は47都道府県すべてで減少する。
 滋賀県は2015年の141万2916人が45年には126万2924人へと10・6%減少する。長浜市は11万8193人から9万1942人へと22・2%減少し、高齢化率は36・1%にのぼる。米原市も3万8719人から2万9050人へと25・0%減少。高齢化率は38・0%となる。
 市町合併により広大な面積を抱える両市は、点在する山間部の集落の人口減少と高齢化への備えが欠かせない。集落までの道路や橋などのインフラの維持をはじめ、介護や医療などの社会保障サービスの提供、水道の確保など多岐にわたる。たとえ、集落に数人しか住んでいなくても、そこに市民がいる限り、自治体として最低限の責任を持つ必要がある。
 地方の衰退の、その解決には東京一極集中の是正が欠かせない。全国の地方にある自治体が移住・定住を促したり、子育て支援策の拡充に取り組んだりしているが、地方が小さくなったパイを奪い合ったところで、人口減少や人口流出を抑制する抜本的な対策とはならないだろう。
 長浜、米原両市も学校給食無償化や保育料の減免、子どもの医療費無料化などに取り組んでいるが、費用対効果は非常に小さいとみるべきだ。どこに住むのかを選択する場合、職場や、その地の教育環境、文化、自然などを考えるのだから。
 また、市街地再開発や駅前再開発が全国の地方都市で失敗するのは、人口減少とは切っても切れない問題がある。今、米原駅前では大規模な開発構想が出ているが、大風呂敷を広げた構想に市民からは心配の声を聞く。隣の長浜市の駅前再開発の轍を踏まないかと。
 人口減少の一番の課題は、生産人口が減り、高齢化率が上昇する点にある。医療や介護などの社会保障費はさらに膨らむが、高齢者を支える若い世代は増加しない。そして今後、自治体に求められる役割は、社会保障制度の持続と、生活に欠かせない道路や橋、水道などの生活インフラの維持。人口減少に伴って全国で空き家が増え、相続人がその始末に困っているように、国も自治体も開発一辺倒ではなく「始末」に向けた方針転換が欠かせない。自治体、そしてそこに住む市民の意識改革が必要ではないだろか。

2018年04月09日 16:52 |


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