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2018年04月21日

子どもと向き合う姿勢、大人自身が再点検を

 19日の長浜市議会総務教育常任委員会で、小中学校での校内暴力や器物損壊の実態について、市教委から報告があった。
 市教委によると昨年度(今年2月末までの集計)の小学校での暴力行為は、対教師63件、児童間18件、器物損壊14件の計95件。市内2小学校で73件、また、児童3人で40件を占めていることから、「特定の学校で、特定の児童が暴力的な行動を繰り返した」と報告している。
 授業中にできなかったことに対して腹を立てて暴れたり、他の児童の学習を邪魔したりする。それを止めに入った教員に物を投げたり、叩いたり、蹴ったり、引っかいたりしたという。
 中学校は対教師9件、生徒間27件、器物損壊11件の計47件。「課題の大きい生徒が3年生に集中し、校内外で粗暴な言動に及んだ」「複数の学校で交友関係が広域に広がり、集団になって問題行動を行った」と報告している。
 暴力行為の件数自体は過去に比べて増えているが、「ひっかいた」程度の軽微な事案でも積極的に把握・報告するなど、件数増加の背景には、教育現場の意識変化が背景にあることを付け加えておきたい。
 さて、小中学校ともに、児童・生徒が暴力行為に走る背景として、家庭の生活環境を挙げている。
 「幼少時から現在に至るまで、家庭がネグレクトや暴言・暴力などの虐待環境にあり、大人の粗暴な言動を学んで、学校で不適切な言動をしてしまう」(小学校のケース)。
 「幼少時から粗暴な生活環境の中で養育され、学校でも規則を守らずに注意を受け、それに反発して物にあたるなどの粗暴な言動を繰り返す」(中学校のケース)。加えて、「学校の指導方針に協力していただけない保護者がおられ、指導が困難を極めた」(同)とも指摘している。
 家庭環境が子どもの心身の成長に重大な責任を持つことは記すまでもないが、大人自身が改めて子どもと向き合う姿勢を再確認したいものだ。
 長浜市には「子育て憲章」がある。▽子どもに誠実に生きる姿を見せます▽見守るまなざし、叱る勇気を大事にします▽ルールとマナーを教え、奉仕の心を育みます▽自然や人々に感謝の心でふれあう子どもを育てます▽長浜に誇りをもち、地域に貢献する子どもを育てます—。
 この憲章、子育て世代に限らず、地域の大人にも心して欲しい。子どもの心身を育むのは何も家庭や学校だけではない。家庭や学校を取り巻く地域社会にも、その責任があるのだから。今一度、大人自身が子どもに向き合う姿勢を再点検したい。

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2018年04月18日

奈良の遷都決議

 「南高北低」という言葉がある。滋賀県北部地域が南部地域に対して、行政機関や公共施設が少なく、発展が遅れている点、過疎化が進んでいる点など数々の不満を込めて使う場合が多いようだ。
 行政機関や公共施設は大津市など県南部に集中し、湖北地域の県立施設は次々と廃止されている。人口は京阪神のベッドタウンとして草津や栗東、守山など湖南地域で増加しているのに、湖北は減少の真っただ中。高校受験の全県1区化により、受験生は湖北から流出し、学校統廃合やクラス数の削減でも、定員割れしている。
 もちろん、人口の集中する地域に重点的に公共施設などを投入するのは、費用対効果の面から止むを得ないのだが、県政に対する疎外感を込めて「南高北低」という言葉が聞かれる。
 南北格差に悩むのは滋賀県だけではないらしい。南北約100㌔の縦長の奈良県でも格差への不満の声が出ているという。もっともこちらは県庁が県北部の奈良市内にあることから、「北高南低」問題と言えよう。
 奈良市を中心とする県北部は京阪神のベッドタウンとして宅地造成され、人口が増加。行政機関や企業も集中している。一方の県中部や南部は、その多くが過疎地域だそうだ。
 そこで、3月の県議会で、南北格差の是正を目指して「奈良県庁の橿原市周辺への移転を求める決議」が可決された。サブタイトルは「還都 飛鳥・藤原京の実現に向けて」とある。
 「県の中南部地域の広域アクセスや開発の潜在力を飛躍的に向上させ、その影響力を全県に波及させることこそ、県土の均衡ある持続的な発展を確たるものとすることにつながる」として、約1300年前に「首都」が置かれていた「飛鳥・藤原京」にちなんで、藤原京があった橿原市周辺への県庁移転「還都」を県民に向けて提案したものだった。採決の結果、賛成23、反対17で可決した。
 ただ、決議案が可決されたところで、その実現の可能性は限りなく低い。県庁の移転や周辺整備に何百億円もの税金を投入することに県民が賛同するはずがないし、県庁が移転したところで奈良県全体が発展する保障なんてない。決議は奈良県政に対して、中部、南部地域にもしっかり目を向けて欲しいとの県議からのメッセージと受け止めるのが適当だろう。
 一方の滋賀県議会でも高校進学や県施設の廃止の観点で南北格差が取り上げられることはあるが、大きな課題として共有されている気配は感じられない。過去には県庁の彦根移転が議論されたこともあるのだが。

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2018年04月16日

近江八幡市長選

 15日投開票された近江八幡市長選は、新人の小西理氏が2万1047票を獲得し、現職で3期目を目指した冨士谷英正氏(1万1647票)をダブルスコアとなる大差で破り、初当選を果たした。
 小西氏は2001年、現職の衆院議員だった実兄の死去に伴う補欠選挙で自民党から初当選し、衆院議員を2期務めた。小泉政権下の郵政選挙で郵政民営化に反対したため、無所属での立候補を余儀なくされ、敗れた経歴を持つ。以降、国政選挙へ無所属で2度立候補したものの敗れ、政治の表舞台からは遠ざかっていた。
 冨士谷氏は旧近江八幡市議1期、県議4期、旧近江八幡市長を1期務めた後、旧近江八幡市と旧安土町の合併に伴う2010年の新しい近江八幡市長選で初当選し、現在2期目。県市長会の会長を務めるなど、湖国政界の重鎮の一人でもある。
 今回の市長選では冨士谷氏を自民、公明が推薦し、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長など自民党中央の要職も応援に入った。一方の小西氏は共産党の支援や、嘉田由紀子元知事、武村正義元蔵相の応援も受けたが、スタッフ不足から個人演説会も満足に開けないなど、組織力では冨士谷氏に大きく水をあけられていた。
 そんな冨士谷氏が敗れた原因は、事業費約95億円にのぼる新庁舎建設計画に対する市民の反発に尽きるだろう。昨年、小西氏が代表を務める「市民が考える庁舎の会」は建設の是非を住民投票で決着させようと、有権者の12%、8118人の署名を添えて住民投票条例の制定を求める直接請求を行ったが、市議会に否決された。市側は着々と工事の準備を進め、市長選を間近に控えた今年2月に起工式を行った。
 選挙期間中、小西氏は工事を中断して業者との契約を破棄し、コンパクトな庁舎計画にすると公約を掲げた。冨士谷氏は「新庁舎建設は10年以上に及ぶ合意形成を経て議会で議決された事業」として計画に理解を求めていたが、冨士谷氏の言う「合意形成」に市民が納得していたのかは、選挙結果が明らかにしている。
 この選挙結果にデジャヴを覚えた読者もいるのではないだろうか。3選を目指した国松善次知事(当時)が、新人の嘉田由紀子氏に敗れた2006年の知事選。新幹線栗東新駅を巡って県民の意見が割れる中、知事選告示直前に起工式を強行したことで、県民の反発を招き、3選確実視されていた国松氏が新駅凍結を訴えた嘉田氏に敗れるという大波乱だった。自民、公明、民主などが相乗りで現職の国松氏を推す中、嘉田氏を先頭に立って応援していたのが、党の方針に反した自民党県議の冨士谷氏だった。今回、同じような構図で有権者の信を失ったのは皮肉なめぐり合わせと言えないでもない。
 さて、小西氏の行政手腕はまったくの未知数。おまけに、議会与党は共産党など一部に限られる。公約通りに工事を中断すれば、違約金の発生などが想定される。とはいえ、これだけの大差で民意が明らかになった以上、計画の見直しは進めねばならない。業者や議会とのタフな交渉は避けられないが、小西氏を新市長に選んだ有権者も波乱が待つ新市政への覚悟が必要となる。

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2018年04月11日

市政への読者の苦言

 先日、読者から投書を頂いた。匿名であり、名前も連絡先も記していないから、そのまま掲載する訳にはいかないが、今の長浜市政に対する市民感情をストレートに表現していたので、小生が加筆しながら、その読者の指摘を紹介したい。
 タイトルは「長浜3月議会の結果を知って」。市議会3月定例会で可決された市長、副市長、教育長、議員の期末手当(ボーナス)の増額と、介護保険料の引き上げに対する不満を綴っている。
 介護保険料はこの4月から第1号被保険者(65歳以上の市民)の介護保険料の基準額を、年額6万9840円から7万8840円へと引き上げた。引き上げ率は12・9%になる。これは介護保険の費用が増大しているための措置で、今後も上昇が続くとみられている。
 一方、市長、副市長、教育長、議員のボーナスは支給率が従来の2・6カ月から3・3カ月へと引き上げられた。昨秋、市特別職報酬等審議会が県内13市のうち長浜市のみ支給基準が低く抑えられているとして、早期引き上げを求めていた。
 これらについて、投書では「多くの市民は到底承服できる内容と思っておりません」と指摘している。「少ない年金で細々と暮らしている人、子どもを抱え共稼ぎで頑張っている夫婦、毎日の生活が大変な者ばかりです」と綴り、「せめて自分たちの報酬の据え置き、いや減額での介護保険料の引き上げなら納得できるが」と、自らの報酬をアップしておきながら、介護保険料を引き上げる市と市議会に怒りをぶつけている。
 介護保険料の引き上げと特別職のボーナスアップは、役所の理論と都合では、それぞれ独立した背景がある。しかし、市民の視点に立てば、投書の指摘する通りだろう。
 しかも、3月定例会では、約30億円の税金を投入して建設された再開発ビル「えきまちテラス長浜」を運営し、早くも経営難にあえぐ第3セクター「えきまち長浜」を支えるため、2000万円の増資を含む計7000万円を追加投入することも決まった。昨年、2億円を貸し付けているに、再び税金投入という事態を招いたのは市執行部と市議会の責任だ。にもかかわらず、このタイミングで特別職のボーナスアップを決めることは、長浜市政が市民感情に鈍感であると言われても仕方がない。投書の読者が怒り、市と市議会に「猛省」を求めるのは当然の感情であろう。

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2018年04月09日

「始末」する時代

 人口減少に転換した日本は、社会の仕組みや構造を人口減少に応じて変化させることが避けられないが、果たして国や自治体、そして私たちの意識は、その変化への準備ができているのだろうか。
 国立社会保障・人口問題研究所はこのほど2045年までの都道府県や市区町村の将来推計人口を発表した。日本の人口は45年には約1億0600万人となり、現在より2000万人以上が減少する。地方から人が流入する東京都と、出生率の高い沖縄は30年ごろまで人口増が続くが、以降は47都道府県すべてで減少する。
 滋賀県は2015年の141万2916人が45年には126万2924人へと10・6%減少する。長浜市は11万8193人から9万1942人へと22・2%減少し、高齢化率は36・1%にのぼる。米原市も3万8719人から2万9050人へと25・0%減少。高齢化率は38・0%となる。
 市町合併により広大な面積を抱える両市は、点在する山間部の集落の人口減少と高齢化への備えが欠かせない。集落までの道路や橋などのインフラの維持をはじめ、介護や医療などの社会保障サービスの提供、水道の確保など多岐にわたる。たとえ、集落に数人しか住んでいなくても、そこに市民がいる限り、自治体として最低限の責任を持つ必要がある。
 地方の衰退の、その解決には東京一極集中の是正が欠かせない。全国の地方にある自治体が移住・定住を促したり、子育て支援策の拡充に取り組んだりしているが、地方が小さくなったパイを奪い合ったところで、人口減少や人口流出を抑制する抜本的な対策とはならないだろう。
 長浜、米原両市も学校給食無償化や保育料の減免、子どもの医療費無料化などに取り組んでいるが、費用対効果は非常に小さいとみるべきだ。どこに住むのかを選択する場合、職場や、その地の教育環境、文化、自然などを考えるのだから。
 また、市街地再開発や駅前再開発が全国の地方都市で失敗するのは、人口減少とは切っても切れない問題がある。今、米原駅前では大規模な開発構想が出ているが、大風呂敷を広げた構想に市民からは心配の声を聞く。隣の長浜市の駅前再開発の轍を踏まないかと。
 人口減少の一番の課題は、生産人口が減り、高齢化率が上昇する点にある。医療や介護などの社会保障費はさらに膨らむが、高齢者を支える若い世代は増加しない。そして今後、自治体に求められる役割は、社会保障制度の持続と、生活に欠かせない道路や橋、水道などの生活インフラの維持。人口減少に伴って全国で空き家が増え、相続人がその始末に困っているように、国も自治体も開発一辺倒ではなく「始末」に向けた方針転換が欠かせない。自治体、そしてそこに住む市民の意識改革が必要ではないだろか。

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2018年04月04日

銃犯罪と世論

 米カリフォルニア州にある動画共有サービス「ユーチューブ」の本社で3日、発砲事件があり、3人が負傷し、容疑者の女が死亡した。2月にはフロリダ州のパークランド高校でも元生徒が半自動小銃を乱射し、生徒14人、大人3人が死亡する事件が起きている。
 事件が起きるたびに銃規制を求める声が高まるが、効果的な規制は合衆国憲法とロビー団体、そして国民世論によって妨げられている。
 独立戦争から間もない1791に合衆国憲法に追加された条項「修正第2条」には「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と記されている。この条項が国民の武装、つまり銃の所持を権利として認めている。
 米国最大のロビー団体である全米ライフル協会はこの条項を盾に銃規制に反対し、そのスローガンは「銃が人を殺すのではない。人が人を殺すのだ」。銃規制を求める世論が高まっても、政治家の動きが鈍いのは同協会の圧力によるそうだ。
 さらに、世論も銃規制の強化で一枚岩になれるわけではなさい。パークランド高校の事件後には銃規制を求めるデモが発生したものの、ワシントン・ポスト紙などが実施した世論調査では、全米規模での攻撃用銃器(半自動小銃など)の販売禁止を支持するのは回答者の50%にとどまり、46%が反対している。また、この事件を契機に、教師の銃携帯を求める意見が賛否を呼んでいるところだが、同紙の世論調査では、教師が銃を所持していればパークランド高校の事件は防げたとの回答が42%を占めた。
 独立戦争が終わって間もない時代の民兵を想定した条項に依拠し、銃所持を正当化する同国の憲法に時代錯誤を感じるが、国民が銃を手に取り戦争で独立を勝ち取った歴史を振り返ると、日本人には想像できないほど、銃への信仰があるのかもしれない。
 約3億丁もの銃が出回っている現実を考えると、銃を持つ犯罪者から自身や家族の身を守るには、やはり銃が必要という結論に達するのだろうか。不幸な現実ではあるが。

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