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甘くない現実

 きょう2月14日はバレンタインデーだが、今月1日にベルギーの高級チョコレートブランド「ゴディバ」が日経新聞に掲載した広告が話題となっている。チョコレートメーカーにとってはかき入れ時にもかかわらず「日本は、義理チョコをやめよう」と呼びかけたのだった。義理チョコを誰に挙げるのかを考えたり、準備をしたりするのが「あまりにもタイヘン」で、「バレンタインデーはきらいだ」と思っている女性の気持ちを代弁したそうだ。「もちろん本命はあっていいけど、義理チョコはなくてもいい。いや、この時代、ないほうがいい」として、バレンタインデーを「社内の人間関係を調整する日ではない」とバッサリ。
 義理チョコの手配に悩まされている女性にとっては拍手喝采の広告かもしれないが、男性の気持ちは複雑だろう。「もらえなくて寂しい」との嘆きが聞こえてきそうだが、「お返し」の手間が省けると歓迎する向きもありそうだ。
 さて、日本チョコレート・ココア協会によると、バレンタインデーの2月14日は3世紀ローマのバレンタイン司祭の殉教の日とされる。当時の皇帝が強兵策の一つとして兵士たちの結婚を禁止したが、司祭は皇帝の命に反して多くの兵士たちを結婚させたことから、皇帝の怒りを買って殉教。後に司祭は、聖バレンタイとして敬われた。14世紀ごろから、司祭の殉教を悼む宗教的行事が、若者の愛の告白や、プロポーズの日として定着した。日本では女性が男性に告白したり、チョコをプレゼントしたりする日として定着している。
 若い男女にとっては甘かったり、苦かったりするバレンタインデーだが、主役のチョコレートには甘くない現実がある。チョコの原料であるカカオ豆の農園はその多くがアフリカにあるが、児童労働の温床ともなっている。中には人身売買によって連れてこられた子どもが農場で労働に従事し、学校にも行かせてもらえない。最近では業界が生産や取引の透明性の確保のため「フェアトレード」に取り組んでいるものの、児童労働が撲滅されているわけではない。
 国際労働機関(ILO)の推計によると、カカオ農場を含め、世界の児童労働者は1億2500万人。これは子ども10人に1人の割合だ。チョコを買うとき、食べるとき、原産地を思う想像力を少しだけでも広げたい。

2018年02月14日 16:17 |


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