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単身世帯4割の未来

 国立社会保障・人口問題研究所が12日に発表した世帯数の将来推計によると、2015年と40年の比較では、単身世帯の割合は34・5%から39・3%へと上昇する一方で、かつて40%以上を占めた夫婦と子の世帯は26・9%から23・3%へと低下する。
 昭和時代では一般的だった親子や3世代の一家団らんの家族像は少数派へと追いやられ、2040年には単身世帯が全世帯の4割に達し、多数派となるわけだ。その要因は未婚化の影響で65歳以上の高齢者の単身世帯が増加するためで、特に男性高齢者の5人に1人、女性高齢者の4人に1人が1人暮らしとなる。
 日本ではいわゆる団塊世代以降から未婚・晩婚化が進み、「生涯未婚率」(50歳までに一度も結婚していない人の割合)は、1975年に男性2・1%、女性4・3%だったのが、2015年には男性23・4%、女性14・1%にまで上昇している。
 課題はこれら高齢者の単身世帯をどのように社会が支えてゆくか。特に未婚者は子どもがいないため、家族の支援を受けられないことが想定される。本人に十分な蓄えがあり、将来、老人ホームなどへの入居を準備しているのなら安心だが、高齢期になれば心身の衰えから病気や認知症、不慮の事故やケガは避けては通れない。特に定年退職などを機に社会との繋がりが薄れ、話し相手や相談相手がいなければ、心身の衰えが加速する可能性がある。
 社会で高齢者を支える仕組みとして年金制度や介護保険制度が機能しているが、国や自治体の財政を考える限り、公的支援だけではとうてい賄えないのは明白。
 人口減少は地域の過疎化を意味し、加えて単身高齢世帯の増加は「買い物難民」に代表される交通弱者も含め、炊事や洗濯など日常生活もままならない世帯の増加を指す。
 その解決に妙案はなく、公的支援に頼るにも限界がある。結局は地域で支え合うしかない。例えば、神田地域では住民が車を運転できない高齢者を買い物に連れ出す支援事業に取り組んでいる。過疎・高齢・独居化が進む他の地域でも、買い物だけでなく、日ごろの生活を地域で支え、見守る仕組みが欠かせなくなることだろう。
 空き家の始末と活用も避けられない。人口減少が始まっているというのに新興住宅地が次々と開発され、昔ながらの集落には高齢者が取り残されている。人が減った集落へも道路や水道などのインフラ整備は必要で、税金の非効率な活用も国や自治体の財政を圧迫する。
 人口減少により廃墟のような空き家がさらに増加し、頼る親族がいない単身高齢者の増加で介護の現場はパンクする—。そのような将来像を見据えた国民の意識改革が必要だ。

2018年01月15日 15:49 |


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