滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2018年01月19日

公務員の不祥事

 また公務員の不祥事か、と思った読者も多いことだろう。浅井学校給食センターの男性調理師が出退勤管理システムに不正アクセスして有給休暇などの記録を改ざんし、欠勤していたのに出勤したように装い、給与66万円を不正に受け取っていた。
 2017年の有休の取得日数は不正も含めて73日間にのぼる。いくらシステムのデータを改ざんされたからとはいえ、取得回数の多さに上司が気付かないのもおかしな話で、普通の職場なら通らない話であろう。
 出勤記録を改ざんする手口は昨年も明らかになっている。長浜市庁舎内に設置されている湖北地域介護認定審査室に勤務する米原市職員が室長の印鑑を偽造して使用し、欠勤を出勤と偽り、勤務していないのに時間外勤務を申請するなどして給与約270万円を不正受給していた。欠勤が続くことを不審に思った室長が米原市に連絡して発覚した。
 2017年は不祥事が多かった。振り返ると、長浜市職員が公共下水道受益者負担金の徴収事務を放置して約1000万円を時効により請求できなくなったほか、車検切れ公用車の運転、給油ミスによる除雪車の破損(修理費475万円)などがあった。神照小臨時講師は児童買春で逮捕され、市立長浜病院の職員も無免許運転や名誉棄損で逮捕された。
 米原市では職員が入札情報を業者に漏らして官製談合防止法違反で逮捕されたほか、タクシー運転手を殴って逮捕という事件もあった。
 事件や不祥事が起こるたびに両市は公務員倫理の徹底や再発防止を誓うわけだが、どうしてか相次いでいる。児童買春やタクシー運転手への暴行など、個人の資質による不祥事については組織や上司の監督責任を問うのは酷であろうが、給与の不正受給や事務の放置などは組織や上司の弛緩が招いていると指摘されてもやむを得まい。
 公務員は公金を預かり、全体の奉仕者として公共の福祉の向上に尽くすという尊い業務に精励すべき存在ではあるが、かといって聖人君子でもない。悪知恵を働かせ、または出来心で不正に手を染めることもあろう。ゆえに風通しの良い職場環境づくりで問題の早期発見と摘み取りにつなげるしかない。「問題は起きうる」ということを前提に。

| | トラックバック ( 0 )

2018年01月17日

頼りになるのはご近所 自然災害に備えを

 阪神淡路大震災からきょう17日で23年を迎えた。震災当時、神戸市内で学生生活を送っていた小生は未明の下から突き上げる衝撃と轟音に、飛び起きた。体が浮き上がるような感覚は今でも覚えている。住んでいたマンションに大きな被害はなかったが、棚に置いていた食器などが落下して壊れた。電気、ガス、水道、電話のすべてが停止した。どこが震源でどれくらいの被害が発生しているのか、携帯ラジオを持っていなかったので、当初は情報がまったく入らなかった。昼過ぎになって電気が復旧したことで、テレビを付けて初めて被害の甚大さを知った。
 大学は4月の新学期まで休校となり、学生はそれぞれ復興ボランティアやアルバイトに精を出すこととなった。小生は液状化現象で泥にまみれたポートアイランド内の工場で泥を掻き出すアルバイトに従事した。三ノ宮駅とポートアイランドを結ぶポートライナーが不通で神戸大橋を自転車で往復。砂埃が舞うためマスクが欠かせず、毎日、顔を真っ黒にした。
 被災地には全国から延べ167万人のボランティアが駆け付けた。食料や燃料を持ち込んだり、避難所を運営したり、全国から届く支援物資を仕分け・発送したり。皆、何ができるのかも分からないまま、多くのボランティアが被災地の現状に居ても立ってもいられず駆け付けた。この1995年はボランティア元年とも呼ばれ、その経験が後の災害復旧に生かされている。また、自衛隊も復旧や救助に貢献し、その役割が国民に見直された。
 6000人を超える犠牲者を出した阪神淡路大震災は時の経過とともに風化しつつある。神戸の街を歩いても震災の名残を見つけるのが難しくなっているが、東日本大震災の発生した3月11日同様に、自然災害の恐ろしさを再認識する日として、そして自然災害への備えを考える日として、意識付けたい。
 阪神淡路大震災の日、救助の主力となったのは、消防でも警察でも自衛隊でもない。ご近所だった。統計によると、建物や家具の下敷きになるなどした「自力脱出困難者」約3500人のうち、77%が家族や近隣住民によって助け出されている。消防や警察、自衛隊による救出は23%に過ぎない。大震災の際には、防災機関自身も被害を受け、道路の寸断や陥没、交通渋滞により、すぐに救助に駆けつけられない。真っ先に頼りになるのは近所だ。とりわけ、高齢者や乳幼児、身体障害者など、いわゆる「災害弱者」の安否確認や救助は近所の使命であろう。向こう三軒両隣の付き合いを大切にしたい。

| | トラックバック ( 0 )

2018年01月15日

単身世帯4割の未来

 国立社会保障・人口問題研究所が12日に発表した世帯数の将来推計によると、2015年と40年の比較では、単身世帯の割合は34・5%から39・3%へと上昇する一方で、かつて40%以上を占めた夫婦と子の世帯は26・9%から23・3%へと低下する。
 昭和時代では一般的だった親子や3世代の一家団らんの家族像は少数派へと追いやられ、2040年には単身世帯が全世帯の4割に達し、多数派となるわけだ。その要因は未婚化の影響で65歳以上の高齢者の単身世帯が増加するためで、特に男性高齢者の5人に1人、女性高齢者の4人に1人が1人暮らしとなる。
 日本ではいわゆる団塊世代以降から未婚・晩婚化が進み、「生涯未婚率」(50歳までに一度も結婚していない人の割合)は、1975年に男性2・1%、女性4・3%だったのが、2015年には男性23・4%、女性14・1%にまで上昇している。
 課題はこれら高齢者の単身世帯をどのように社会が支えてゆくか。特に未婚者は子どもがいないため、家族の支援を受けられないことが想定される。本人に十分な蓄えがあり、将来、老人ホームなどへの入居を準備しているのなら安心だが、高齢期になれば心身の衰えから病気や認知症、不慮の事故やケガは避けては通れない。特に定年退職などを機に社会との繋がりが薄れ、話し相手や相談相手がいなければ、心身の衰えが加速する可能性がある。
 社会で高齢者を支える仕組みとして年金制度や介護保険制度が機能しているが、国や自治体の財政を考える限り、公的支援だけではとうてい賄えないのは明白。
 人口減少は地域の過疎化を意味し、加えて単身高齢世帯の増加は「買い物難民」に代表される交通弱者も含め、炊事や洗濯など日常生活もままならない世帯の増加を指す。
 その解決に妙案はなく、公的支援に頼るにも限界がある。結局は地域で支え合うしかない。例えば、神田地域では住民が車を運転できない高齢者を買い物に連れ出す支援事業に取り組んでいる。過疎・高齢・独居化が進む他の地域でも、買い物だけでなく、日ごろの生活を地域で支え、見守る仕組みが欠かせなくなることだろう。
 空き家の始末と活用も避けられない。人口減少が始まっているというのに新興住宅地が次々と開発され、昔ながらの集落には高齢者が取り残されている。人が減った集落へも道路や水道などのインフラ整備は必要で、税金の非効率な活用も国や自治体の財政を圧迫する。
 人口減少により廃墟のような空き家がさらに増加し、頼る親族がいない単身高齢者の増加で介護の現場はパンクする—。そのような将来像を見据えた国民の意識改革が必要だ。

| | トラックバック ( 0 )

2018年01月12日

ダフ屋行為に規制を

 一昔前はコンサートやスポーツイベントの会場付近では「チケット買うよ」「チケットあるよ」などと、多くのダフ屋に声をかけられたものだ。今やダフ屋はめっきり減ったが、インターネット上ではダフ屋行為が横行し、人気公演のチケットは定価で手に入れることが難しくなっている。
 人気公演のチケットは即日完売し、その直後から転売サイトに出品される。ステージに近い席は定価の何倍もの価格設定で売りに出されている。滋賀で例を挙げると、大阪や京都から日帰りで見に行ける大津市のびわ湖大花火大会では有料観覧席のチケットが定価の2倍、3倍の値段で転売されている。
 昨年、何回かコンサートに出かけたが、チケット販売が始まってから日を置かずに完売したため、転売サイトに頼るしかなかった。入手したチケットは、いずれも暴利をむさぼるような転売目的の価格設定ではなく、「台風が近づいているので行けそうにない」「一緒に行く人に用事が入ったのでチケットが1枚余った」などの理由で、定価前後で入手できた。
 昨日、チケット転売サイト「チケットキャンプ」を運営する「フンザ」の元社長が詐欺容疑で逮捕された。転売会社とグルになって、チケット販売会社から規約で禁じられた転売目的を隠したうえで、他人名義でチケットを購入した—というのが直接の逮捕容疑だ。チケットキャンプは登録会員が386万人にのぼる業界最大手のサイトで、大口の転売業者の利用手数料を減免するなどしてチケット取り扱い数を増やし、ダフ屋行為を推奨していた。チケットキャンプは現在、取引中止となっており、5月末でサイトを閉鎖する。
 チケットキャンプを利用していた転売業者は今、「チケット流通センター」や「チケットストリート」など別サイトへと移っている。転売サイトがダフ屋行為の温床になっているのは疑いようはなく、厳しい取り締まりを期待したいところ。
 ただ、ネット上のダフ屋行為を直接取り締まる法律はなく、自治体の迷惑行為防止条例の規制も公共の場でのダフ屋行為に限定される。悪質業者による転売と、個人間の取引をどのように線引きし、区別するのかは難しそうだが、営利目的の転売を取り締まる仕組みが欲しい。
 グレーな手法で暴利をむさぼる転売業者が暗躍する一方で、公演に行きたいファンが正規の手法でチケットを手に入れられないという異常事態。2020年東京五輪を控える日本としては、早急に解決策を構築すべきだろう。

| | トラックバック ( 0 )

2018年01月10日

企業倫理の欠如

 人生の晴れの舞台でもある成人式の当日になって、着物の販売やレンタル、着付けを手がける横浜市内の業者が営業を取り止め、数百人が予約通りに着物を着られない事態となった。業者「はれのひ」は昨年から資金繰りが悪化しており、今年に入ってからは社長と連絡が取れない状態になっていた。何十万円も支払って購入した着物が届かなかったり、預けておいた着物が行方不明になったりと、着付け会場では新成人の悲鳴が上がった。
 企業である以上、経営が傾けば倒産することもあるが、従業員への指示や顧客への説明もないまま、社長が行方をくらますのは、企業人としての倫理が欠如していると言わざるを得ない。事業継続が困難と判断した時点で告知していれば、成人式当日になって「晴れ着が届かない」と、新成人の悲鳴が上がることもなかった。店舗によっては新成人を困らせる訳にいかないと本社と連絡が取れないまま、従業員が独自に着付けを行った。
 被害者の多くは何十万という契約金をすでに支払っているが、その金銭被害に加え、一生に一度の晴れの日を台無しにされたという精神的苦痛はいかほどであろうか。
 昨年もよく似た事件があった。ゴールデンウイークを2カ月後に控えた3月、格安の海外ツアーを取り扱っている東京都の旅行会社「てるみくらぶ」が突然、営業を停止した。旅行当日になって顧客に「発券済みの航空券は利用できるかどうか現時点で確認できておりません」「滞在先のホテルにてトラブルが生じないことを確認できておりません」との突然のメールが届き、ツアーに申し込んでいた旅行者は飛行機に乗れなかったり、予約していたホテルに宿泊できなかったりと、散々な目に遭った。
 同社は経営が傾き自転車操業とも受け取れるツアーを企画していた。経営者は資金ショートを予測できていたにもかかわらず、ぎりぎりまでツアー客を募ったあげく、旅行者や予約客を放ったらかして破産した。結局、経営者は虚偽の決算書で銀行からの融資を騙し取ったとして逮捕された。
 はれのひ、てるみくらぶに共通するのは、資金繰りの悪化により事業継続が難しいことが分かっていたのに、事業資金を確保するために客に入金を急かしていた点だろう。結果として被害者を増やすこととなった。
 成人式の1年以上も前から晴れ着の予約を受け付けている和装業界にとって、消費者に不安を抱かせる今回の事件は他人事ではない。結局、こういった消費者の不安を解消し、信用を勝ち取れるのは長年の信頼であったり、地域密着性であろう。

| | トラックバック ( 0 )


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
“新聞広告の資料請求、ご案内はこちらから"
 
長浜市
長浜市議会