滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2018年01月31日

財政再建いつ?

 アベノミクスの効果か、それとも世界経済の好調に支えられてか、国内の大企業は増収・増益が続き、日経平均株価は四半世紀ぶりとなる高値。人手不足で大学の新卒予定者は売り手市場の恩恵に浴している—というのが、テレビや新聞で伝わってくるニュースだ。しかし、景気が良くなっているはずなのに、国の財政は相変わらず借金に頼った赤字運営だ。
 現在、国の借金は1000兆円余り。不足する税収を賄うため延々と借金を続けた結果だが、どこかの段階で借金に頼らない財政運営へと転換しない限り、いつか破綻してしまう。
 そこで、2010年に政府が掲げた目標は20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化だった。基礎的財政収支はその年の税収によってその国の施策を賄えているかという指標となる。黒字なら税収に余力があり、赤字なら税収が足りずに借金に頼っていることになる。
 これ以上、借金を膨らませてはならないと設定したのが20年度の基礎的財政収支の黒字化という目標だった。にもかかわらず、政府は昨年、25年度に先送りする見通しを示した。そして、今般、さらに2年先送りの27年度に黒字化するという試算を出してきた。何のための目標設定なのか、財政規律のタガを緩ませたとしか思えない。
 1月26日に経済財政諮問会議で示された内閣府資料によると、順調な経済成長を見込んだケースでも、20年度の基礎的財政収支は10・8兆円の赤字。これには昨年の衆院選を機に政府が消費税の使途の一部を借金抑制から子育て支援へと見直した影響も出ている。そして、27年度でようやく0・8兆円の黒字となると試算しているが、これはあくまで経済成長率(名目GDP)がバブル期に遡るような3%超のケースであり、現実はもっと厳しいと想定すべきだろう。
 いずれにせよ、基礎的財政収支の黒字化を27年度へと先送りするということは、それまでの間、国の借金が増え続けることを意味するが、国にどれほどの危機感があるのだろうか。ゆでガエルよろしく、借金というぬるま湯にまだドップリ浸かっているというわけだ。
 来年10月には消費税率が10%へ引き上げられるが、財政再建にはさらなる引き上げが避けられないとの見方が有力だ。ただ、いくら国民から税金を吸い上げようと、国の財布に穴が空いていては無意味で、歳出の絞り込みが欠かせない。にもかかわらず、18年度予算案の一般会計は97・7兆円と6年連続で過去最高を更新した。高齢化の進展で医療や年金などの社会保障費が膨らむとはいえ、幼児教育・保育の無償化などタガの緩んだ財政規律では「財政再建の旗は降ろさない」との首相の掛け声も空々しい。

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2018年01月29日

皆既月食なぜ赤?

 あさって31日夜、日本全国で皆既月食を観測できる。月食は太陽—地球—月が一直線に並ぶことによって、地球の影に月が入り込み、発生する現象。国立天文台によると、午後8時48分に欠け始め、9時51分には完全に欠けて皆既食となる。皆既食が1時間17分続いた後、徐々に輝きが戻り、深夜0時11分に元の丸い形となる。
 皆既食となった月は地球の影に隠れて真っ黒になるわけではなく、「赤銅色」になる。辞書によると、赤銅色は赤黒い色で、一般的には真っ黒に日焼けした肌の色を表現する際に使われる。ちなみに赤銅は銅に少量の金を加えた合金で、工芸品などに用いられる。
 なぜ、赤くなるのかというと、夕日が赤く見える「散乱」と呼ばれる現象による。太陽の光が地球の大気を通過するとき、波長の短い青い光は大気にぶつかって散乱するが、波長の長い赤い光は通り抜ける。このため、夕日は赤く見える。皆既食の場合、地球の大気を通過した赤い光がわずかに屈折して地球の背後にある月を照らすことから、赤い月となる。
 つまり、普段見ることのできない神秘的な色の月を観測できるわけだが、皆既食のたびに月の色はわずかに異なるそうだ。このため、国立天文台では、何色だったのかを全国の観測者から募るキャンペーンを実施する。インターネットの特設サイトで、皆既食中に月の色がどのよう変化するのか、①黒②灰・こげ茶③暗い赤④明るい赤⑤オレンジ—から選んで報告する。これによって、皆既月食の月の色の傾向がわかるかもしれないという。
 ちなみに、次回、日本で観測できる皆既月食は今年7月28日だが、月は皆既食のまま沈んでしまい、あまり条件が良くない。食の始まりから終わりまでを見られるのは2022年11月まで待つことになる。
 問題は天気。滋賀北部の当日の予報は曇り。日本気象協会の「星空指数」は100段階評価中の10。「見られたら、かなりラッキーだ」とのこと。

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2018年01月26日

今年の漢字は?

 滋賀夕刊(1月5、6日)、滋賀彦根新聞(1月6日)の「新春お年玉企画」で「今年の漢字」や「今年をどんな年にしたいか」とのメッセージを募集したところ、多くの読者から寄せられたので、その一部を紹介したい。
 「昨年は風邪が長引いてなかなか治らなかった。今年も年始から熱が出てしまい、健康って大事だなと思いました。たくさん運動して笑顔でいられる年にしたい」(41歳女性)=健康第一。自身や家族の健康を願う投稿が最も多かった。
 「今年5月出産予定。元気な赤ちゃんが生まれますように」(36歳女性)=子どもの誕生と健やかな成長は心からの希望です。
 「子どもと一緒に焦らずゆっくりと成長していける。そんな1年にしたい」(39歳女性)=焦らず、ゆっくりですよね。
 「4月から年中さんに進級。新しいお友達、新しい先生、新しいことにチャレンジしてネ」(4歳女の子)=今年1年の娘の成長を願って母親が代筆したのでしょう。
 「仕事で飛躍できる1年にしたい。そして、今年の家族の楽しみでもある海外旅行。家族5人で海外へ飛びます。子ども達に世界って広いんだなって感じてもらえたら」(36歳女性)=仕事、子育て、海外旅行と大忙しの1年となりそうですね。
 「結婚して35年。子ども達も結婚独立。これからの人生、妻に感謝しながら2人で生きていきます」(67歳男性)=妻への感謝を忘れない素敵な男性です。
 「夫婦2人になり会話も少なめ。今年は言葉を多く話題も共通のものを考え、口の運動と脳活性化」(75歳男性)=夫婦円満への夫の心遣い。見習いたいところ。
 「夫は要介護3。自分のことすらできなくなり、気落ちしています。でも、まだどうにか歩けるし、寝たきりにならないようにと頑張って生活しています。そんな夫を優しく手助けして護ることが私の仕事」(76歳女性)=長年連れ添った夫への愛情がにじみ出ています。
 「昨年2人目の孫が生まれました。子ども達に負けないよう、何歳になっても夢に向かって頑張りたい」(61歳女性)=おばあちゃんになっても夢を忘れない姿勢は大切ですね。
 「昨年還暦を過ぎ、今年は3人目の孫が誕生します。人生まだまだこれから楽しみたいと思っています」(60歳女性)=家族が増えると賑やかになりますね。
 「今年は我慢する1年にしたい。転職してやっと夢が叶ったので、そこで諦めず、ガムシャラに働いて我慢強く頑張る。我慢しつつ笑顔を忘れない」(26歳女性)=笑顔は幸せを呼びます。
 「たばこを止めて10㌔増。健康診断でメタボ要指導。ゆっくり食べて歩きます」(49歳男性)=禁煙するとストレスや口寂しさからつい間食したり、ご飯を美味しく感じて食べ過ぎたり。
 「宝くじでも当てて、やっぱりお金が一番や。夢と楽しみの生活が欲しい」(69歳男性)=オブラートに包まないストレートな願望に脱帽です。
 「平昌オリンピックを機に南北協議が開催されようとしています。南北関係の改善を糸口に北朝鮮が核、ミサイル開発政策を見直し、世界の平和のための歩みを進めてもらいたい。日本政府も圧力ばかりでなく、隣人の気持ちで助ける手立てを示していく必要があるのではないでしょうか」(78歳男性)=北朝鮮の非核化と南北融和は極東アジアの願いです。
 「今年は長浜市長選、市議会議員選、県知事選と、身近な選挙」(80歳男性)=実績、政策、人柄をしっかりと見極めたい。

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2018年01月24日

五輪機に南北融和?

 韓国の大統領は、国民を餓えさせて自身はブクブクと太っている北朝鮮の若き将軍様に秋波を送って、平昌冬季五輪を南北融和のきっかけにしようと夢想しているようだ。
 韓国の平昌五輪を2月に控え、韓国と北朝鮮は突如として高官級協議を再開し、北朝鮮側が五輪参加を表明。開会式で両国が統一旗を掲げて合同入場することで合意した。
 北朝鮮の3代にわたる世襲と独裁はその時々に飢饉や国際的な経済制裁により危機を迎えてきたが、結果として北朝鮮の独裁体制を支えてきたのが韓国の融和政策だった。
 金正恩が最近、繰り返しミサイルを発射して周辺国を挑発しているのは、国際的な経済制裁に窮しているからに他ならない。ならば、その包囲網を維持するのが妥当のはずなのだが。16日にカナダで開かれた20カ国による外相会合で韓国外相は「国際社会による制裁が効き始めているからこそ、韓国は北朝鮮に人道支援を行いたい」などと融和政策を申し出た。平昌五輪を控えたこのタイミングなのだから、北朝鮮のミサイル発射や核実験による五輪妨害のリスクを避けるため、五輪の「身代金」を払おうとしているのではないかと、邪推してしまう。
 金正恩の目的は国際包囲網に韓国をもってくさびを打つことに他ならない。しかし、今の韓国大統領は北朝鮮の五輪参加が南北融和の糸口にしたいようだ。北朝鮮の参加が融和を誘い、スポーツを通じた国際平和を目指す五輪精神に則るものだとして。
 過去を振り返れば、五輪が平和を作り出すというのは幻想に過ぎない。1916年のベルリン大会、40年の東京大会、44年のロンドン大会は大戦で中止となった。36年のベルリン大会はナチス政権のプロパガンダに利用された。72年のミュンヘン五輪は分裂していた東西ドイツが確執を見せつけ、東西ドイツの融和・統合まで20年近くかかった。また、五輪に参加していたイスラエルの選手やコーチ、審判員ら11人がパレスチナ過激派「黒い9月」によって殺害されるテロ事件が発生。イスラエルによるパレスチナ占領政策をテロという衝撃で世界に訴え、イスラエルとパレスチナの憎悪の対立が悪化した。
 冷戦下の80年モスクワ大会はソ連のアフガニスタン侵攻に抗議する形で日本やアメリカなど50カ国近くがボイコット。これに対する報復として、84年のロサンゼルス大会ではソ連などの東側14カ国がボイコットした。
 88年のソウル大会は、北朝鮮が共同開催を提案し、金日成が国際社会に自身をアピールしようとしたが、思い通りにならないと悟るとボイコット。五輪開催を妨害するために前年に大韓航空機を爆破させ、乗客115人を殺害した。
 3代目の将軍もまた自身の独裁体制の維持という目的の前では、五輪にも国際平和にも関心がないことは言うまでもない。

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2018年01月22日

節操ない民進・希望

 きょう22日、通常国会が始まった。2018年度予算案の審議に加え、憲法改正の議論がどのように進むのかが注目されるところ。
 そんな中、野党は迷走しっぱなしで目も当てられない状態。昨秋の衆院選で、小池百合子東京都知事が希望の党を立ち上げたのを機に、民進党は民進、立憲民主、希望、無所属へと分裂したが、ここにきて再結集を志向する動きが続いている。
 今月15日には希望と民進の幹事長らが統一会派を結成する合意文書を策定。だが、民進党の両院議員総会で反対論が噴出し、わずか2日でとん挫した。安全保障関連法に対するスタンスが異なるうえ、民進党系議員は希望に「排除」された恨みも残っている。民進党サイドが統一会派の結成をすんなりと受け入れることが難しいのは当然だろう。
 一方、小池百合子というリーダーを失った希望は青息吐息の状況。民進党からの移籍組は「半年前まで一緒にやっていたのだから」と統一会派の結成に前向きだが、民進党に袖を振られた格好だ。そもそも希望の創設メンバーは安全保障関連法に肯定的であり、「違憲」としてきた民進党からの合流組とは、政策面で相容れない。この組織内対立は統一会派結成の動きを機にさらに深刻化しており、常に分裂の危機をはらんでいる。
 当の民進は、希望との統一会派構想がとん挫すると、今度は立憲民主との統一会派結成を模索する動きが浮上。政策的には希望よりも立憲民主の方が民進に近いとはいうものの、こんな節操のない話では、国民の信を得ることは難しい。
 ここで、衆院の勢力を改めて振り返ると、全465議席の6割を占めるのが283議席の自民。以下、立憲民主54、希望51、公明29、無所属の会(民進党議員で構成)14、共産12、維新11、自由、社民各2、無所属7という具合だ。
 仮に民進、立憲、希望がどのように統一会派を結成したところで、自民党に対抗しうる勢力に到底なれないし、それこそ政策面のすり合わせで玉虫色の会派となる。
 3党が野党として連携するのは構わない。しかし、統一会派の結成は先の衆院選で各政党に投票した有権者を愚弄する話であろう。まずは3党が衆院選で誓った方針にのっとって、各々の政策を磨くべきではないか。

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2018年01月19日

公務員の不祥事

 また公務員の不祥事か、と思った読者も多いことだろう。浅井学校給食センターの男性調理師が出退勤管理システムに不正アクセスして有給休暇などの記録を改ざんし、欠勤していたのに出勤したように装い、給与66万円を不正に受け取っていた。
 2017年の有休の取得日数は不正も含めて73日間にのぼる。いくらシステムのデータを改ざんされたからとはいえ、取得回数の多さに上司が気付かないのもおかしな話で、普通の職場なら通らない話であろう。
 出勤記録を改ざんする手口は昨年も明らかになっている。長浜市庁舎内に設置されている湖北地域介護認定審査室に勤務する米原市職員が室長の印鑑を偽造して使用し、欠勤を出勤と偽り、勤務していないのに時間外勤務を申請するなどして給与約270万円を不正受給していた。欠勤が続くことを不審に思った室長が米原市に連絡して発覚した。
 2017年は不祥事が多かった。振り返ると、長浜市職員が公共下水道受益者負担金の徴収事務を放置して約1000万円を時効により請求できなくなったほか、車検切れ公用車の運転、給油ミスによる除雪車の破損(修理費475万円)などがあった。神照小臨時講師は児童買春で逮捕され、市立長浜病院の職員も無免許運転や名誉棄損で逮捕された。
 米原市では職員が入札情報を業者に漏らして官製談合防止法違反で逮捕されたほか、タクシー運転手を殴って逮捕という事件もあった。
 事件や不祥事が起こるたびに両市は公務員倫理の徹底や再発防止を誓うわけだが、どうしてか相次いでいる。児童買春やタクシー運転手への暴行など、個人の資質による不祥事については組織や上司の監督責任を問うのは酷であろうが、給与の不正受給や事務の放置などは組織や上司の弛緩が招いていると指摘されてもやむを得まい。
 公務員は公金を預かり、全体の奉仕者として公共の福祉の向上に尽くすという尊い業務に精励すべき存在ではあるが、かといって聖人君子でもない。悪知恵を働かせ、または出来心で不正に手を染めることもあろう。ゆえに風通しの良い職場環境づくりで問題の早期発見と摘み取りにつなげるしかない。「問題は起きうる」ということを前提に。

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2018年01月17日

頼りになるのはご近所 自然災害に備えを

 阪神淡路大震災からきょう17日で23年を迎えた。震災当時、神戸市内で学生生活を送っていた小生は未明の下から突き上げる衝撃と轟音に、飛び起きた。体が浮き上がるような感覚は今でも覚えている。住んでいたマンションに大きな被害はなかったが、棚に置いていた食器などが落下して壊れた。電気、ガス、水道、電話のすべてが停止した。どこが震源でどれくらいの被害が発生しているのか、携帯ラジオを持っていなかったので、当初は情報がまったく入らなかった。昼過ぎになって電気が復旧したことで、テレビを付けて初めて被害の甚大さを知った。
 大学は4月の新学期まで休校となり、学生はそれぞれ復興ボランティアやアルバイトに精を出すこととなった。小生は液状化現象で泥にまみれたポートアイランド内の工場で泥を掻き出すアルバイトに従事した。三ノ宮駅とポートアイランドを結ぶポートライナーが不通で神戸大橋を自転車で往復。砂埃が舞うためマスクが欠かせず、毎日、顔を真っ黒にした。
 被災地には全国から延べ167万人のボランティアが駆け付けた。食料や燃料を持ち込んだり、避難所を運営したり、全国から届く支援物資を仕分け・発送したり。皆、何ができるのかも分からないまま、多くのボランティアが被災地の現状に居ても立ってもいられず駆け付けた。この1995年はボランティア元年とも呼ばれ、その経験が後の災害復旧に生かされている。また、自衛隊も復旧や救助に貢献し、その役割が国民に見直された。
 6000人を超える犠牲者を出した阪神淡路大震災は時の経過とともに風化しつつある。神戸の街を歩いても震災の名残を見つけるのが難しくなっているが、東日本大震災の発生した3月11日同様に、自然災害の恐ろしさを再認識する日として、そして自然災害への備えを考える日として、意識付けたい。
 阪神淡路大震災の日、救助の主力となったのは、消防でも警察でも自衛隊でもない。ご近所だった。統計によると、建物や家具の下敷きになるなどした「自力脱出困難者」約3500人のうち、77%が家族や近隣住民によって助け出されている。消防や警察、自衛隊による救出は23%に過ぎない。大震災の際には、防災機関自身も被害を受け、道路の寸断や陥没、交通渋滞により、すぐに救助に駆けつけられない。真っ先に頼りになるのは近所だ。とりわけ、高齢者や乳幼児、身体障害者など、いわゆる「災害弱者」の安否確認や救助は近所の使命であろう。向こう三軒両隣の付き合いを大切にしたい。

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2018年01月15日

単身世帯4割の未来

 国立社会保障・人口問題研究所が12日に発表した世帯数の将来推計によると、2015年と40年の比較では、単身世帯の割合は34・5%から39・3%へと上昇する一方で、かつて40%以上を占めた夫婦と子の世帯は26・9%から23・3%へと低下する。
 昭和時代では一般的だった親子や3世代の一家団らんの家族像は少数派へと追いやられ、2040年には単身世帯が全世帯の4割に達し、多数派となるわけだ。その要因は未婚化の影響で65歳以上の高齢者の単身世帯が増加するためで、特に男性高齢者の5人に1人、女性高齢者の4人に1人が1人暮らしとなる。
 日本ではいわゆる団塊世代以降から未婚・晩婚化が進み、「生涯未婚率」(50歳までに一度も結婚していない人の割合)は、1975年に男性2・1%、女性4・3%だったのが、2015年には男性23・4%、女性14・1%にまで上昇している。
 課題はこれら高齢者の単身世帯をどのように社会が支えてゆくか。特に未婚者は子どもがいないため、家族の支援を受けられないことが想定される。本人に十分な蓄えがあり、将来、老人ホームなどへの入居を準備しているのなら安心だが、高齢期になれば心身の衰えから病気や認知症、不慮の事故やケガは避けては通れない。特に定年退職などを機に社会との繋がりが薄れ、話し相手や相談相手がいなければ、心身の衰えが加速する可能性がある。
 社会で高齢者を支える仕組みとして年金制度や介護保険制度が機能しているが、国や自治体の財政を考える限り、公的支援だけではとうてい賄えないのは明白。
 人口減少は地域の過疎化を意味し、加えて単身高齢世帯の増加は「買い物難民」に代表される交通弱者も含め、炊事や洗濯など日常生活もままならない世帯の増加を指す。
 その解決に妙案はなく、公的支援に頼るにも限界がある。結局は地域で支え合うしかない。例えば、神田地域では住民が車を運転できない高齢者を買い物に連れ出す支援事業に取り組んでいる。過疎・高齢・独居化が進む他の地域でも、買い物だけでなく、日ごろの生活を地域で支え、見守る仕組みが欠かせなくなることだろう。
 空き家の始末と活用も避けられない。人口減少が始まっているというのに新興住宅地が次々と開発され、昔ながらの集落には高齢者が取り残されている。人が減った集落へも道路や水道などのインフラ整備は必要で、税金の非効率な活用も国や自治体の財政を圧迫する。
 人口減少により廃墟のような空き家がさらに増加し、頼る親族がいない単身高齢者の増加で介護の現場はパンクする—。そのような将来像を見据えた国民の意識改革が必要だ。

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2018年01月12日

ダフ屋行為に規制を

 一昔前はコンサートやスポーツイベントの会場付近では「チケット買うよ」「チケットあるよ」などと、多くのダフ屋に声をかけられたものだ。今やダフ屋はめっきり減ったが、インターネット上ではダフ屋行為が横行し、人気公演のチケットは定価で手に入れることが難しくなっている。
 人気公演のチケットは即日完売し、その直後から転売サイトに出品される。ステージに近い席は定価の何倍もの価格設定で売りに出されている。滋賀で例を挙げると、大阪や京都から日帰りで見に行ける大津市のびわ湖大花火大会では有料観覧席のチケットが定価の2倍、3倍の値段で転売されている。
 昨年、何回かコンサートに出かけたが、チケット販売が始まってから日を置かずに完売したため、転売サイトに頼るしかなかった。入手したチケットは、いずれも暴利をむさぼるような転売目的の価格設定ではなく、「台風が近づいているので行けそうにない」「一緒に行く人に用事が入ったのでチケットが1枚余った」などの理由で、定価前後で入手できた。
 昨日、チケット転売サイト「チケットキャンプ」を運営する「フンザ」の元社長が詐欺容疑で逮捕された。転売会社とグルになって、チケット販売会社から規約で禁じられた転売目的を隠したうえで、他人名義でチケットを購入した—というのが直接の逮捕容疑だ。チケットキャンプは登録会員が386万人にのぼる業界最大手のサイトで、大口の転売業者の利用手数料を減免するなどしてチケット取り扱い数を増やし、ダフ屋行為を推奨していた。チケットキャンプは現在、取引中止となっており、5月末でサイトを閉鎖する。
 チケットキャンプを利用していた転売業者は今、「チケット流通センター」や「チケットストリート」など別サイトへと移っている。転売サイトがダフ屋行為の温床になっているのは疑いようはなく、厳しい取り締まりを期待したいところ。
 ただ、ネット上のダフ屋行為を直接取り締まる法律はなく、自治体の迷惑行為防止条例の規制も公共の場でのダフ屋行為に限定される。悪質業者による転売と、個人間の取引をどのように線引きし、区別するのかは難しそうだが、営利目的の転売を取り締まる仕組みが欲しい。
 グレーな手法で暴利をむさぼる転売業者が暗躍する一方で、公演に行きたいファンが正規の手法でチケットを手に入れられないという異常事態。2020年東京五輪を控える日本としては、早急に解決策を構築すべきだろう。

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2018年01月10日

企業倫理の欠如

 人生の晴れの舞台でもある成人式の当日になって、着物の販売やレンタル、着付けを手がける横浜市内の業者が営業を取り止め、数百人が予約通りに着物を着られない事態となった。業者「はれのひ」は昨年から資金繰りが悪化しており、今年に入ってからは社長と連絡が取れない状態になっていた。何十万円も支払って購入した着物が届かなかったり、預けておいた着物が行方不明になったりと、着付け会場では新成人の悲鳴が上がった。
 企業である以上、経営が傾けば倒産することもあるが、従業員への指示や顧客への説明もないまま、社長が行方をくらますのは、企業人としての倫理が欠如していると言わざるを得ない。事業継続が困難と判断した時点で告知していれば、成人式当日になって「晴れ着が届かない」と、新成人の悲鳴が上がることもなかった。店舗によっては新成人を困らせる訳にいかないと本社と連絡が取れないまま、従業員が独自に着付けを行った。
 被害者の多くは何十万という契約金をすでに支払っているが、その金銭被害に加え、一生に一度の晴れの日を台無しにされたという精神的苦痛はいかほどであろうか。
 昨年もよく似た事件があった。ゴールデンウイークを2カ月後に控えた3月、格安の海外ツアーを取り扱っている東京都の旅行会社「てるみくらぶ」が突然、営業を停止した。旅行当日になって顧客に「発券済みの航空券は利用できるかどうか現時点で確認できておりません」「滞在先のホテルにてトラブルが生じないことを確認できておりません」との突然のメールが届き、ツアーに申し込んでいた旅行者は飛行機に乗れなかったり、予約していたホテルに宿泊できなかったりと、散々な目に遭った。
 同社は経営が傾き自転車操業とも受け取れるツアーを企画していた。経営者は資金ショートを予測できていたにもかかわらず、ぎりぎりまでツアー客を募ったあげく、旅行者や予約客を放ったらかして破産した。結局、経営者は虚偽の決算書で銀行からの融資を騙し取ったとして逮捕された。
 はれのひ、てるみくらぶに共通するのは、資金繰りの悪化により事業継続が難しいことが分かっていたのに、事業資金を確保するために客に入金を急かしていた点だろう。結果として被害者を増やすこととなった。
 成人式の1年以上も前から晴れ着の予約を受け付けている和装業界にとって、消費者に不安を抱かせる今回の事件は他人事ではない。結局、こういった消費者の不安を解消し、信用を勝ち取れるのは長年の信頼であったり、地域密着性であろう。

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