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エルサレム問題

 イラク軍は9日、シリアとの国境付近で繰り広げていた過激派組織「IS」(イスラム国)の掃討作戦が完了し、イラク全土をISから開放したと宣言。同国のアバディ首相も勝利を宣言した。イラクとシリアに支配地域を広げていたISはほぼ壊滅したとみられる。
 これで中東が安定化するのかというと、シリア国内ではアサド政権軍と反政府軍による戦闘が続き、イエメンでも内戦が終わる気配がない。おまけに、トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムに認定したものだから、パレスチナをはじめ中東諸国から反発の声が噴出し、抗議の暴動も発生している。
 イスラエルが首都とするエルサレムの旧市街は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の聖地にあたる。イスラム教の預言者ムハンマドが昇天したという伝説を持つ聖地「岩のドーム」にはイスラム教徒が訪れる。一方で、キリストが十字架を背負って歩いたルートや処刑された場所は巡礼路として残っている。
 そして、ユダヤ教徒の唯一の聖地である「嘆きの壁」がある。壁は約3000年前にイスラエル王国が築いた神殿を起源とし、約2000年前に増築された部分だ。神殿は後に破壊されたため、壁しか残っていない。イスラエル王国の建国から3000年に及ぶユダヤ教徒のルーツを示す場所でもある。 イスラエルは1967年の第3次中東戦争でエルサレム全域をヨルダンから奪い、エルサレムを首都としたが、国際社会はそれを認めず、各国は主要都市のテルアビブに大使館を置いている。アメリカの歴代大統領も中東の外交・安全保障上の問題から、エルサレムに大使館を置くことを見送ってきた。
 トランプ大統領がエルサレムを首都と承認したことで、アラブ連盟(21カ国)が撤回を要求するなど中東諸国から反発が出ている。これに対して、当のイスラエル・ネタニヤフ首相は「エルサレムは以前から我々の首都だ」とどこ吹く風。アメリカ政界でユダヤ人ネットワークが一定の力学を持つ以上、トランプ大統領も彼らの要求を無視できないのは理解できるが、米国とイスラエルの過度の蜜月ぶりは中東和平の障害となってしまう。

2017年12月11日 15:39 |


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