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2017年12月15日

一期一会と記憶力

 先日、ふらりと立ち寄ったフランス料理店。顔を出すのは半年ぶり3回目というのに、シェフもスタッフも「お久しぶりです」と声を掛けてくれた。「以前は5月にお見えでしたね」と。やはり接客業だけあってお客さんの顔を良く覚えているのだなと感心した。
 接客の心得には「一期一会」があるという。人と人との出会いは二度とは無いかもしれない、一生に一度の出会いであると心得て、亭主、客ともに誠意を尽くす心構えを説いた茶道の教えに由来し、店は客との出会いを大切に、客に無二の時間を過ごしてもらおうと、接客に専念する。ただ、これは何も接客業だけに言えることではなく、日常的な出会いや、大切な人とのお付き合いにも通じるところがあるだろう。
 小生も仕事でもプライベートでも多くの方に出会う機会に恵まれている。前出のフランス料理店には、最近知り合ったばかりの男性と出掛けた。インターネット上の気軽なやり取りから生まれた縁により、食事に繰り出すことになった。普段、まったく接点を持つことがない者同士の会話というのも、これまた無責任で刹那的、面白いものがある。ただ、二度と会う機会がないかもしれないので、一期一会を心している。
 さて、接客業のお客さんに対する記憶力だが、小生が最も驚いたのが、イタリア・ヴェネツィアの駅近くの庶民的な安宿での経験。10年ほど前に予約なしでふらっと宿泊し、レセプションやスタッフの気さくな対応、ロケーションが良かったのが印象に残って、その5年後くらいだろうか、再びヴェネツィアを訪れる機会があったことから、再び予約なしで顔を出した。「空き部屋ありますか?」と尋ねたところ、レセプションの男性が「5年ほど前にも来てくれましたよね」と話すではないか。パスポートを見せるどころか、名前も告げていないというのに。接客に長けた人の中には一度、顔を見たら忘れないという特殊能力の持ち主がいると聞くが、それにしても世界中から観光客が訪れるヴェネツィアにあって日本人なんてどれもよく似た顔であろうにと、そのレセプションの男性の記憶力に敬服したものだった。
 その点、小生は人の顔を覚えるのが得意とは言えず、出先で話しかけられて応答に戸惑うこともしばしば。先日もカフェで「新聞屋さんですよね」と声を掛けられたものの、誰なのかを思い出せず、「ヒントをください」と、何とも失礼な返事をしてしまった。何か良い方法がないものかと、いつも思案している。

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2017年12月13日

今年の漢字

 この1年の世相を示す「今年の漢字」に「北」が選ばれた。日本漢字能力検定協会が毎年公募し、15万3594票の応募の中から、1位の「北」は7104票を集めた。
 北朝鮮によるミサイル発射、九州北部豪雨、プロ野球・北海道日本ハムの大谷翔平選手の大リーグ移籍、競走馬キタサンブラックの天皇賞春秋連覇、北海道産ジャガイモの不作によるポテトチップスの販売休止などが理由という。
 2位の「政」は森友・加計学園問題、相次ぐ国会議員の不祥事、解散総選挙による第4次安倍内閣の発足、トランプ米大統領の来日など、国内外を問わず政治に大きな動きがあったことによる。3位の「不」は北朝鮮による不穏な国際情勢や森友・加計学園の不透明な問題、芸能界や政界での不倫、データ改ざんなどの企業の不正、天候不順による不作などが挙げられる。以下、「核」「新」「選」「乱」「変」「倫」「暴」と続き、ネガティブなイメージの漢字が多かった。
 今年の漢字と同じく、この1年間を総括する「新語・流行語大賞」もすでに発表されている。年間大賞にはSNS「インスタグラム」に投稿した写真の出来映えを意識する「インスタ映え」と、森友・加計学園問題で知名度がアップした「忖度」が選ばれた。このほかトップ10には北朝鮮の弾道ミサイル発射を告げる「Jアラート」(全国瞬時警報システム)、掛け声倒れに終わった「プレミアムフライデー」、不祥事を相次いで起こした2期目議員を指摘した「魔の2回生」などが選ばれた。
 さて、今年の漢字の「北」と流行語の「Jアラート」は、北朝鮮のミサイルの脅威を受けてのものだ。日本全土を射程に収める核弾頭の搭載可能なミサイルを配備し、将軍様の暴発しだいで日本や韓国にミサイルが降り注ぐ。日本と韓国は北朝鮮の恫喝に対して、将軍様を震え上がらせるような対抗措置を取れないのだから、そのリスクを回避するには、事実上、アメリカの交渉に頼るしかない。ただ、問題となっているリスクは、核ミサイルというより、金正恩という将軍様の性格だろう。身内や側近を平気で粛清し、お目付け役の中国にも従わない。核ミサイルという玩具で遊んでいる駄々っ子の恐ろしさを感じる。そのリスクに日本の政治家や国民がどれほど本気で向き合っているのかは不明だが、北朝鮮の脅威がこれほどの世間に浸透した年はなかった。

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2017年12月11日

エルサレム問題

 イラク軍は9日、シリアとの国境付近で繰り広げていた過激派組織「IS」(イスラム国)の掃討作戦が完了し、イラク全土をISから開放したと宣言。同国のアバディ首相も勝利を宣言した。イラクとシリアに支配地域を広げていたISはほぼ壊滅したとみられる。
 これで中東が安定化するのかというと、シリア国内ではアサド政権軍と反政府軍による戦闘が続き、イエメンでも内戦が終わる気配がない。おまけに、トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムに認定したものだから、パレスチナをはじめ中東諸国から反発の声が噴出し、抗議の暴動も発生している。
 イスラエルが首都とするエルサレムの旧市街は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の聖地にあたる。イスラム教の預言者ムハンマドが昇天したという伝説を持つ聖地「岩のドーム」にはイスラム教徒が訪れる。一方で、キリストが十字架を背負って歩いたルートや処刑された場所は巡礼路として残っている。
 そして、ユダヤ教徒の唯一の聖地である「嘆きの壁」がある。壁は約3000年前にイスラエル王国が築いた神殿を起源とし、約2000年前に増築された部分だ。神殿は後に破壊されたため、壁しか残っていない。イスラエル王国の建国から3000年に及ぶユダヤ教徒のルーツを示す場所でもある。 イスラエルは1967年の第3次中東戦争でエルサレム全域をヨルダンから奪い、エルサレムを首都としたが、国際社会はそれを認めず、各国は主要都市のテルアビブに大使館を置いている。アメリカの歴代大統領も中東の外交・安全保障上の問題から、エルサレムに大使館を置くことを見送ってきた。
 トランプ大統領がエルサレムを首都と承認したことで、アラブ連盟(21カ国)が撤回を要求するなど中東諸国から反発が出ている。これに対して、当のイスラエル・ネタニヤフ首相は「エルサレムは以前から我々の首都だ」とどこ吹く風。アメリカ政界でユダヤ人ネットワークが一定の力学を持つ以上、トランプ大統領も彼らの要求を無視できないのは理解できるが、米国とイスラエルの過度の蜜月ぶりは中東和平の障害となってしまう。

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2017年12月08日

外とう・えり巻、児童禁止。時代錯誤の傍聴規則

 7日の長浜市議会一般質問は、藤井勇治市長が3選を目指して立候補を表明するとあって、メディア関係者や市長支援者らで傍聴席が賑わったが、そこで議会事務局の職員が傍聴者に注意する光景に出くわした。「マフラーは禁止」「帽子は脱いで」「写真は撮らないで」というので、小生もマフラーを外すように指摘された。
 確かに室内でマフラーを外さないのはマナー違反かもしれないが、わざわざ指摘される程のことかと不思議に思った。ただ、職員は「長浜市議会傍聴規則」なるものに従って注意しただけだった。
 規則によると、傍聴人が守らなければならない事項として「帽子、外とう、えり巻の類を着用しないこと」とある。「外とう」とは防寒着を指し、辞書には「オーバー、マント、二重回し」などと記されているが、その古臭い表現から規則の作られた時代が香る。えり巻はマフラーのことであろうが、ストールやスカーフもこれに含まれるのかは知らない。なぜ、これらを禁じているのかは不明で、かつては滋賀県議会の傍聴規則にもこの一文があったが、議会改革の取り組みの中で「不必要な制限」などとして、削除された。
 このほか、市議会傍聴規則には「談論し、放歌し、高笑し、その他騒ぎ立てないこと」とも記されている。「放歌」とは「あたりかまわず大声で歌うこと」と辞書にある。大昔の議会の賑やかさがうかがえる一文でもある。
 また、市議会では本会議だけでなく委員会もインターネットで生中継するなど「開かれた議会」を目指しているが、傍聴規則では「写真」や「映画」の撮影、「録音」を原則として禁止している。この場合の「映画」とは動画のことを指すようだ。インターネットの生中継と録画中継により、いつ、どこでも議会を傍聴できるというのに、なぜ録音を禁じているのか理解に苦しむ。
 小生が最も時代錯誤な規則と感じたのは「児童及び乳幼児は、傍聴席に入ることができない」という一文。小学生が見学したり、乳幼児を連れた保護者が傍聴したりするのを原則として禁じ、傍聴するにはわざわざ議長の許可を得なければならない。先進的な地方議会が親子席を設けたり、ベビーベッドを備えたりしているのと比べても、時代遅れの規則ではないだろうか。少なくとも子育て支援策に熱心な長浜市の取り組みに逆行していると言えるだろう。
 ただ、長浜市議会に限らず多くの地方議会が何十年も前に国の指導に習って作った傍聴規則を、何ら疑問を持たないまま今も使っている。
 ちなみに、「議会改革度調査ランキング2016」(早稲田大学マニフェスト研究所議会改革調査部会)では長浜市議会は全国22位にランキングされている。こんな規則を残しているのに。

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2017年12月06日

祝日大国、日本

 2019年の5月1日は新天皇の即位に合わせて、臨時の祝日か休日となる見込みだ。祝日となった場合、祝日法の「前日及び翌日が祝日である日は休日とする」という規則に基づいて5月1日前後の平日が休日になることから、4月27日から5月6日まで10連休となる。
 即位日の5月1日が祝日・休日になれば国民あげて新天皇の即位を祝える。また、また休みのうちに改元すれば、コンピューターシステムの混乱も避けられ、国民生活への影響も最小限で済むことになりそうだ。
 さて、国民の祝日については祝日法第一条に「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける」とある。
 その祝日は元日(1月1日)、成人の日(1月第2月曜)、建国記念の日(2月11日)、春分の日(3月21日ごろ)、昭和の日(4月29日)、憲法記念日(5月3日)、みどりの日(5月4日)、こどもの日(5月5日)、海の日(7月第3月曜)、山の日(8月11日)、敬老の日(9月第3月曜)、秋分の日(9月23日ごろ)、体育の日(10月第2月曜)、文化の日(11月3日)、勤労感謝の日(11月23日)、天皇誕生日(12月23日)—と、計16日ある。
 これは海外と比較すると断然多い。世界各国の祝日はコロンビアとインドが年間18日で最多。日本の16日はタイ、レバノン、韓国と並んで世界3位の多さだ。一方で、バカンス大国のドイツやフランスなど休暇が多いイメージを持つ欧州各国の祝日は10日前後に過ぎない。欧州は祝日が少ない分、有給休暇(例えばフランスの場合は30日、取得率100%)が手厚いため、休みは結果として日本より多くなる。日本の場合は有給休暇20日に対する取得率はおおむね50%だ。
 休暇を楽しむために働くヨーロッパ人とは思考が違うとはいえ、日本人は1年半後に訪れる10連休をどう過ごすのだろうか。海外旅行に出かけるのか、たまった家事を片付けるのか、想像を膨らませるのは自由だ。

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2017年12月04日

シナイ半島と十戒

 エジプトのファラオによる圧政からヘブライ人を助け出したモーセは神の奇跡によって紅海を割り、エジプトからの脱出を成功させた。「出エジプト」後は、シナイ半島へと渡り、シナイ山で神から「十戒」を授かった。そして約束の地カナンを目指した—。エジプト北東部、アフリカ大陸とアラビア半島の間にある三角形のシナイ半島は、モーセのゆかりの地として聖書に登場する神聖な土地だ。
 しかし、現代はイスラム教武装勢力が跋扈する危険な地域となっている。11月24日、武装集団がシナイ半島北部にあるモスクを襲撃し、300人以上が死亡した。エジプトでは過去最悪規模のテロ事件で、IS(イスラム国)の傘下組織の犯行とみられている。イスラム教徒がイスラム教徒を襲うのだから、宗派間の対立が疑われるが、いまだに犯行声明が出ていないことが、不気味なメッセージとなっている。
 外国人による観光が主要産業であるエジプトはテロ対策が経済政策の成否を占うと言っても良い。過去にはイスラム教原理主義組織が世俗化路線の政府に打撃を与えるため、主要観光地を襲撃し、日本人を含む外国人を殺害した事件もあった。
 今、中東が極めて不安定化していることは、シリア内戦がいつになっても終わらないことが証明している。スンニ派の大国サウジアラビアとシーア派の盟主イランがシリアの反政府組織と政権側をそれぞれ支持する代理戦争を繰り広げているが、イエメンの内戦でもサウジが暫定政権、イランが反体制派武装組織「フーシ」の後ろ盾となっている。
 そこに中東での影響力を維持したいアメリカ、そしてアメリカに代わって影響力を発揮したいロシアがそれぞれ武力介入している。イスラエルやトルコも自衛のために介入するなど、各国の利害、宗派や民族の対立なども複雑に絡み合っている。
 シナイ半島での過激派組織の暗躍も、中東の不安定化の流れの中のひとつの事象であり、このまま不安定な情勢が続けば、シナイ半島はISの拠点となりうる危険性をはらんでいる。
 中東の安定化に向けては、サウジとイラン、アメリカとロシアが手を携えるしか、他に方法がないのだが、サウジとイランは断交中だし、米ロは連携どころか対立ばかりが目立つ。安定化の兆しさえ見えない。殺してはならない、盗んではならない、隣人の家を欲しがってはならない—と、十戒を授けられた地で起きる醜い争いに、モーセは何を思うのか。

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2017年12月01日

増税・新税次々と

 国は国民のことを「都合のよい財布」と考えているのかもしれない。消費税率の10%への引き上げは2019年10月から予定されているが、国は消費増税以外にも新税の創設や税制改革による増税を次々と検討している。
 まず、新税は出国者が支払う「観光促進税」と、森林保全を目的とした「森林環境税」が議論されている。
 観光促進税は、観光庁が観光振興の財源確保として創設を求めている。外国人観光客や日本人を問わず、日本から出国する場合、航空券代などに1人1000円を上乗せして徴収する方針で、19年度の導入を目指している。実現すれば約400億円の財源確保につながる。
 森林環境税は、林野庁が荒廃した森林整備の財源に充てるため創設を求めている。こちらは住民税に1人当たり1000円を上乗せして徴収する。600億円の税収を見込む。24年度の導入を軸に調整している。
 これらはいずれも使途を限定した「目的税」であるが、一般的に関連事業で税収を使い切ろうとするため無駄遣いの温床になりやすい。かつて、ガソリン税などの道路特定財源により、不要不急の道路が次々と造られた悪例がある。
 増税のターゲットにされているのはたばこ。紙巻きたばこは1本あたり3円の増税で調整している。18年度から段階的に引き上げ、2000億〜3000億円程度の税収増を見込む。加熱式たばこも増税する方針で、こちらは税額算出方法を見直す。
 このほか、所得税の控除制度の見直しも検討中だ。会社員の「給与所得控除」、年金受給者の「公的年金等控除」を一律で引き下げる一方で、すべての人に適用されている「基礎控除」を10万〜15万円程度引き上げる。高所得者については控除額を段階的に縮小する。世代や働き方について所得税の不公平感をなくすのを目的としているが、これによって1000億円程度税収が増える見込み。
 為政者ならば、いかにして国民の負担を減らすのかを考えて欲しいところなのだが、こうも新税・増税が目白押しとなると、やはり国民は「都合のよい財布」と見られているのだろう。

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