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徒労の住民投票

 市議会を2分した野洲市の市民病院建設計画は住民投票で決着がつかなかった。JR野洲駅前に市民病院を整備することの是非を問う住民投票は目標の投票率に届かず不成立に終わった。計画を巡っては6年間にわたって、推進する市長と市議会が対立し、市議会内部も賛成派と反対派に2分されてきた。そこで住民に直接問うことによって決着をつけようというのが、26日の住民投票だった。
 市民病院計画は、民間の野洲病院の経営不振と建物の老朽化を受け、6年前に動き出した。駅前の市有地約8100平方㍍に6階建ての病院を建設し、立体駐車場の整備も含め総事業費は102億円になる。
 野洲市という人口5万人規模の自治体にあって100億円を超える大規模事業であり、多くの公立病院が赤字経営に苦しむように病院事業による市財の政圧迫を考えると、住民投票は野洲市の将来を市民全員で導く機会であったはずだった。しかし、投票率は48・5%で、成立基準である50%にわずかに届かなかった。開票されることはなく、投票した市民の賛否は不明なままだ。
 なぜ、投票率が低調だったのか。6年間にも及んだ政治の対立に市民が辟易していた部分もあろう。計画を推進する市と賛成派市議、そして反対派市議の対立により、関連議案はこれまでに6回否決されている。また、住民投票に関する議案採決で反対派議員が市長の進退を問う付帯決議を提案したり、住民投票の実施が決まった後に計画賛成派の市議が住民投票の中止を求める決議案を提出したりと、対立は混迷を深めていた。
 争点もかみ合っていたとは言えない。推進派は野洲病院に代わる市民病院の必要性を訴え、反対派は市民病院の必要性については認めながらも駅前一等地へ整備する計画の見直しを訴えていた。どちらも病院を整備するという点では変わらなかった。
 さて、29日開会の市議会に関連予算が提案され、賛成派が多数を占める今の市議会で可決される見込みだ。この6年間の対立と、徒労に終わった住民投票を民主主義のコストとして市民が甘受するかは不明だが、空費した歳月とコストに見合った市民病院が整備されるよう、賛成派と反対派が手を携えた建設的な議論が求められる。

2017年11月27日 16:16 |


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