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野洲市の住民投票

 JR野洲駅南口への市民病院整備の是非を問う住民投票が19日、野洲市で告示された。
 市の病院計画は財政リスクや立地などをめぐって市と市議会が対立し、関連予算案はこれまでに6回否決されている。昨年10月の市長選では計画を推進する現職の山仲善彰氏が再選し、今年10月の市議選では推進派議員が多数を占めるなど、整備へは前向きな気運が高まっているが、住民投票は市議選を前に反対派議員の発議で実施が決まっていた。
 住民投票では野洲駅南口市有地への市民病院の整備の是非について、投票用紙の賛成・反対欄のいずれかに丸をつける。法的拘束力はないものの、条例では市議会と市長は結果を尊重することとしている。投票率が50%未満の場合は不成立で、開票されない。
 現在、野洲市内には公立病院がなく、市は民間の「野洲病院」に年間1億円を支援する形で市内唯一の総合病院を守ってきた。しかし、野洲病院は多額の債務を抱え、建物も老朽化。6年前、移転用地の確保と建物の建設を求める「公設民営」の提案書を市に提出していた。
 これを機に市による病院整備計画が動き出した。しかし、人口5万人規模での病院運営は財政リスクが小さくなく、有識者の検討委員会は駅前での整備であれば病院事業の成立が見込めると提言。市はこれを受けて駅前での整備を計画した。市有地約8100平方㍍に6階建ての病院を建設。250台収容の立体駐車場の整備も含め、総事業費は102億円になる。2021年春のオープンを目指している。
 この計画に対し、隣接する守山市に総合病院があること、人口5万人程度の市が総合病院を持つ財政的リスク、駅前一等地への整備を疑問視する声は小さくなく、市議会も財政面の不安などを理由に関連予算案を否決してきた。
 自治体が総合病院を整備・運営するリスクについては、自治体病院の6割以上が赤字という点から不安を抱えることは当然だが、自治体病院はへき地の医療を支えたり、民間が敬遠する不採算医療を担ったりすることが多く、赤字だからダメだとは断言できない。野洲市の病院計画では駅前の一等地に建設することで駅利用者の受診を呼び込め、立体駐車場もしっかりと整備する。
 間接民主制は選挙によって選ばれた首長や議会が自治体の物事を決めるが、その地方自治の手法を補完するのが住民投票。単に市民病院の是非を問うだけでなく、市民が市の医療施策や財政について勉強し、考えて悩んだあげく、自治体の未来を案じて票を投じる機会として、非常に有為だ。

2017年11月20日 16:30 |


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