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深秋の満月

 十五夜は一般的に「中秋の名月」である旧暦8月15日を指すが、そもそもは旧暦の毎月15日の満月の夜を意味する。大気が冷え込み、澄みわたるこれからの季節の月夜は「中秋の名月」よりも輝いて見えると、個人的に評価している。
 十五夜の名前は、新月から数えて15日目に満月となって見えることに由来する。新月は太陽—月—地球の順に直線状に並んだ状態を指し、夜、地球から月が見えることはない。一方、十五夜は太陽—地球—月の順に直線状に並ぶので、太陽の光を浴びた月が丸く輝くことになる。
 なぜ15日間で満月になるのかというと、月は地球の周りを27日間で公転(一周)している。そこに地球の公転が加わると、おおよそ29日の周期で月が満ち欠けを繰り返す。ということは、この周期の半分の14・5日で新月が満月になる計算となるからだ。しかし、月の公転軌道はきれいな円形ではなく、すこしつぶれた楕円形のため、新月から満月までにかかる日数は最短で13・9日、最長で15・6日となるそうだ。ゆえに「十五夜」が満月になるとは限らないケースもある。
 さて、この11月4日は月齢15・3日の満月だった。秋の深まりを感じさせる澄んだ大気が月光を静かに届けてくれた。
 この季節の満月はとてもくっきりとしているから、望遠鏡がなくともデジタルカメラで簡単に撮影できるのが面白い。撮影した画像を拡大すれば、「コペルニクスクレーター」「チコクレーター」のほか、巨大隕石の衝突によって形成されたとされる「晴れの海」「雨の海」も観察できる。手軽に宇宙の魅力に触れられるのも、これからの季節の満月の楽しみ方かもしれない。
 この週末は連日、満月を撮影したが、日に日に月が顔を出すのが遅くなり、東の空を眺めながら、寒さとの我慢比べとなった。十五夜の次の夜は「十六夜」。「いざよい」と呼び、前日より50分ほど遅れて月が顔を出す。「いざよい」を動詞にすると「いざよう(猶予う)」となる。「進もうとしてもなかなか進めない」「躊躇する」「ためらう」などの意味となる。ためらうように月が顔を出すから「いざよい」と呼ばれるようになったようだ。ちなみに、十七夜は立って待つ「立待月」、十八夜は座って待つ「居待月」「座待月」、十九夜は寝転んで待つ「臥待月」「寝待月」などと呼ぶ。満月の時期を過ぎても、月が出るのを今か今かと待ち続けた先人の感性、自然賛歌の日本人独特のこだわりに脱帽である。

2017年11月06日 16:30 |


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