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愚民の上に苛き政府

 不安定化する極東アジアの安全保障、少子高齢化の進展による年金・医療・介護などの社会保障費の増大、財政再建の先送りなど、日本の直面する課題に対し、国民がどの政党、どの候補にその解決を委ねるのか。
 衆院選は自民・公明の政権与党、希望・維新の改革保守、立憲民主・共産・社民のリベラル勢という3極による対決が全国的な傾向となった。滋賀2区では自民の上野賢一郎氏、希望の田島一成氏の前職一騎打ちに、無所属の対月慈照氏、幸福実現党の荒川雅司氏が割って入る構図となっている。
 公示初日、候補がいったい何を訴えるのかその第一声が注目されたが、自民党候補が経済政策の実績を訴えたのに対し、他候補は安倍政権への批判ばかりが目立った。「安倍政権ではダメだ」とのメッセージ以上のものが伝わってこない。
 確かに、自民一強を背景にした安倍政権の驕りに対する怒りは野党候補だけでなく、国民も共有するところだ。森友・加計学園問題などに対する自民党と安倍首相の姿勢について、国民がどのように感じているのかは、自民党が惨敗した7月の東京都議選が雄弁に語っている。
 その後、安倍首相が「謙虚に丁寧に」臨むはずだった国政は、臨時国会を冒頭解散して疑惑に蓋をした。野党候補がそれに憤るのは当然のことだろう。
 しかし、政権選択が問われる選挙で首相批判ばかりでは実りがない。ある候補は野党に対して「安倍政権を倒した後にどんな日本が来るのか。それこそを明確にして頂きたい」と訴えていたが、国民はそこを求めている。
 北朝鮮の核開発、弾道ミサイル発射、中国の覇権主義など極東アジアの平和が不安定化する中、安全保障体制はどうあるべきなのか、憲法を70年以上も変えないままでよいのか、借金返済に充てる約束だった消費税を教育無償化の財源とするのは無分別ではないか、福島第一原発事故の後始末もできないまま原発政策を進めてよいのか—など、問われるべき政策、国民が選択肢を示して欲しいと思っている課題はいくつもある。
 国民も各政党、各候補の訴えを吟味し、この国の抱える課題について考える機会としたい。福沢諭吉の「学問のすすめ」の中に「愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。故に今わが日本国においてもこの人民ありてこの政治あるなり」とある。国民のレベルと政治のレベルはイコールだと説いているわけだが、少しでも良い政府が実現するよう、主権者である国民が各党の訴える政策や選挙戦そのものに無関心ではあってはならない。

2017年10月11日 15:39 |


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