滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2017年10月27日

恋する季節です

 「恋に季節は関係ありません。出会ったときが恋の始まりですよね」—。なんともロマンティックな言葉を投げかけてくれたのは、長浜市立図書館の女性司書。
 きょう10月27日は「文字・活字文化の日」。同時に71回目の「読書週間」がスタートした。まだ戦火の傷痕が至るところに残っているなか、「読書の力によって、平和な文化国家をつくろう」と、出版社、書店、図書館、新聞などが1947年に実施したのが始まりだった。
 以来、読書推進協議会が文化の日(11月3日)を中心にした2週間を読書週間として位置づけている。今、インターネットやSNSにより情報が溢れる世界へと変容し、若者の「読書離れ」が指摘されるところだが、読書推進協議会では「人間性を育て、かたちづくるのに、『本』が重要な役割を果たすことは変わりない」と、日ごろの生活に「本とのつきあい方」を取り入れるよう提案している。
 今年の読書週間の標語は「本に恋する季節です!」。一般公募の中から選ばれ、応募者の男性は「本に親しみを持つ人々が少しでも増えてほしいと願い、標語を作った。とくに『恋』という言葉を使うことで、若い世代の目にとまればいいなあ、本の世界にときめいてくれるといいなあ、と考えました」と説明している。
 本に親しみを持つ人が少しでも増えてほしい—。その願いは図書館司書も同じ。でも、本に興味や関心のない人にどうやって読書を勧めればよいのだろうか。冒頭の女性司書は「学校でもない、自宅でもない、誰にも邪魔をされずに一人になれる居場所として、図書館を活用してはいかが」と提案する。一人きりになってリラックスする場でもいいし、友達との待ち合わせに使ってもいい。まずは気軽に図書館に足を運ぶことで、いつか自分を変える本との出会いがあるかもしれないし、生涯の伴侶となるような作家に出会うかもしれない。誰にも相談できない悩みに共感してくれたり、解決の糸口を見出してくれたりもする。
 「人によって恋する季節は違いますが、できれば一年中、恋してもらいたい」と語る女性司書。読書週間をきっかけに、本との運命的な出会いを願っている。

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2017年10月25日

敵失の衆院選

 選択を誤った—。民進党から希望の党へ合流しながら、小池旋風どころか逆風にさらされ、結局は落選した前職はそう思っていることだろう。24日の民進党参院総会で前原誠司代表の辞任を求める声が出たのは当然だ。民進党の衆院議員は希望、立憲民主、無所属に分裂し、参院の民進党を含めると「4分裂」した。その後始末の行方は見えない。
 民進党前職の80人のうち、44人が希望の党から立候補したが、当選したのは25人。当選率は57%だった。一方、希望の党から排除されるなどして無所属での立候補を余儀なくされた21人は18人が当選し、当選率は86%。そしてリベラル派の立憲民主党を結成した戦った15人は100%の当選率で、全員が再び国会に戻ることとなった。
 鳴り物入りで登場した希望の党が失速した原因は「改革保守」の看板を掲げながら、安保法制に反対した民進党出身者の多くを受け入れ、自民党に代わる保守勢力を求めていた有権者の不審を招いたことによる。選挙期間中、希望候補者が有権者に「お詫びと説明」を余儀なくされている様子に、まともに戦える状態でないまま選挙に突入したことを実感した。
 一方、「筋を通した」などと褒め称えられる立憲民主党だが、希望に「排除」された弱者に対する有権者の「判官びいき」の向きもある。とりあえず野党第1党となったが、リベラルであるがゆえに国民の広範な支持を受けて政権選択の一翼を担えるような政党に成長できる可能性は低いと考える。安全保障政策を含め今の日本が立たされている国際環境を考えると、より現実的な選択が求められるからだ。
 民進党組織は参院や地方に残っている。この後始末をどうするのか。どうせゴタゴタしているのだから、この際、それぞれの政治信条に従って、改革保守とリベラルにはっきりと二分したほうが、未来ある野党につながるのではないだろうか。
 さて、今回の選挙で滋賀県民はどの政党を支持したのだろうか。小選挙区は候補者が限られるため、自民党が全勝したが、比例代表の得票率を分析すると、自民党の圧勝とは言えなさそう。
 比例代表の得票率は自民35・6%、立憲民主17・5%、希望17・0%、維新11・2%、公明8・6%、共産8・3%、社民1・3%、幸福実現0・5%という具合で、自公の与党で4割強の得票を集めた。一方、改革保守の希望と維新は合わせると約3割、リベラルの立憲民主、共産、社民は3割弱。つまり、与党と、改革保守野党と、リベラル野党それぞれの支持率をざっくり区切ると4対3対3。有権者の思いはいろいろだ。
 4選を果たした自民党の上野賢一郎氏が「野党の皆さんの混乱の状況を見て、消極的に票を投じてくれた方も多いと思う」と感じたように、離合集散ばかりの危なっかしい野党よりも自公政権による安定を、有権者は選んだ。
 「敵失」により自公が議席の3分の2を占めることとなった国政運営。憲法改正を悲願とする安倍首相には大きなチャンスだ。70年間、神聖視して手を付けることがなかった憲法を今の時代に合ったものにするため、政治主導で国民的議論を巻き起こすことを期待したい。

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2017年10月20日

政治の監視 投票行動で

 衆院選はいよいよ22日に投開票を迎える。小池百合子都知事による希望の党の設立を端に発した、民進党の希望の党への合流、リベラル派の排除、立憲民主党の結成、野党共闘の仕切り直しなどにより、野党は大混乱。結局、政権選択の一翼として期待された希望の党は失速し、自民一強に支えられた安倍政権の信任を問う形となる。
 各メディアの情勢分析では自民・公明の与党が300議席を獲得する勢いで、改選前と変わらぬ政治体制が続きそうな気配だ。
 滋賀2区は希望の党の田島一成候補と自民党の上野賢一郎候補による前職の一騎打ちに、市民団体事務局長の対月慈照候補、幸福実現党の荒川雅司候補が食い入る構図。各メディアの情勢分析では上野候補と田島候補が接戦、もしくは上野候補がややリードと伝えられているが、投票先を決めていない有権者も少なくなく、どっちに転ぶのかは22日の有権者の投票行動しだい。各陣営、最後まで気を緩めることはできない情勢だ。
 この衆院選は18歳と19歳が選挙権を得て初めて参加する政権選択選挙となる。10代は高校での主権者教育の影響もあり投票率は20代、30代に比べると高い傾向にあるが、それでも60代以上に比べると低い。
 選挙のたびに憂うのは、少子化により若い世代が減少しているのに若者が投票を棄権しているようでは政治が中高年だけのものとなってしまうということ。日本の未来を創るのは若者だが、中高年ばかりが選挙に行っているようでは、若者の声が政治に反映されない。選挙権を持つ一人一人が主権者であることを忘れず、自身の1票がこの国の政治をかたち作ることを認識したい。また、投票に行くことで今の政治を考える機会となることを願いたい。
 政治家にも注文したい。若者が政治を遠く感じるのは、若者と政治家に距離があるからだ。選挙期間中のみ若者に愛想を尽くすのではなく、日ごろから高校生や大学生と意見交換する機会を設けるなど、若者が政治に関心を抱くきっかけをつくり、そして若者の声を吸い上げて欲しい。
 あさって22日には、国民は政治をしっかり監視しているとのメッセージを投票行動で示したい。

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2017年10月18日

定年後の生き方

 文芸春秋10月号の特集は「定年後の常識が変わった」と題し、定年後の時間をどうすれば楽しく有意義に過ごせるのか、識者や著名人の意見を満載している。
 そんな中、目を引いたのは「カレーハウスCoCo壱番屋」創業者・宗次徳二氏の「ボランティアは経営より面白い」と題したインタビュー原稿。
 同氏は20代でカレー屋を創業し、妻と二人三脚で全国チェーンに育て上げた。1000店舗達成のめどがついた2002年、会長職を退き、翌年、NPO法人「イエロー・エンジェル」を設立。「暮らしの中にクラシック」をモットーにクラシック音楽の普及に努め、2007年には私財28億円を投じて名古屋市内に「宗次ホール」を建設した。座席は310席と小規模だが、最高水準の音響設備を備え、客席とステージとの距離も近く、宗次氏曰く「全席が特別席」。
 また、宗次氏は音楽活動の予算が乏しい学校に楽器をプレゼントしており、これまでに1500点、累計で5億円分の楽器をプレゼントしてきたという。
 目下、生活拠点をホールの上にある自室に移し、そこで寝泊りしている。朝は午前4時55分に起きて、5時には事務所でデスクワークに取り掛かる。その後、ホール前の通りの清掃活動。「本当に気持ちの良い汗をかけますよ。本気でやる掃除は、座禅以上に精神を高める効果がある」と解説している。夜はリサイタルがある際は午後11時くらいまで事務所に詰めるという。
 なぜ、クラシック音楽のためにこれほど尽くせるのだろうか。同氏は「私自身が貧しい生活を送っていた学生時代、つらさを忘れさせてくれたのが音楽だったからです」と話している。
 発売4カ月で20万部のベストセラーとなった「定年後」(中公新書)の著者・楠木新氏は「経済的に十分余裕のある定年退職者でも、何をしていいのかわからず戸惑っている人が実に多い。定年後に働かなくて済む余裕があるからこそ困っている。自分の心安らぐ居場所がないのです」と指摘する。
 金銭的余裕の有り無しにかかわらず、定年退職後の居場所をどう確保するのか。とてつもなく長い自由時間を持て余すことなくいかに有効に使うのか。宗次氏のようにボランティアに打ち込んだり、農業に取り組んだり、人材不足の福祉施設で働いたり、特集を読むと選択肢はたくさんあるようだ。

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2017年10月13日

与党利する野党分裂

 衆院選は中盤を迎える。滋賀2区(長浜、米原、彦根市など)は自民党の上野賢一郎候補がリードし、民進党から希望の党へ鞍替えした田島一成候補が遅れを取っている感がある。後に続くのは「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民の会しが」事務局長で無所属の対月慈照候補。そして、幸福実現党の荒川雅司候補は独自の戦い。
 大手メディアの序盤情勢の分析では、定数465議席のうち、自民党は単独で過半数を上回り、自公で300議席をうかがう勢いだ。一方、改革保守として期待を集めた希望は伸び悩み、60議席前後に留まる。以下、立憲民主、維新、共産、社民などと続く。
 現状では「自民一強」が維持される見込みだが、この原因は台風の目と見られた希望の党の失速だろう。改革保守の看板を掲げながら、リベラル政党の民進党の前職が顔を並べ、「看板に偽り有り」と国民に見抜かれてしまった。また、「打倒安倍政権」のために小異を捨て大同につく信念で民進党全体を受け入れるのならまだしも、重鎮やリベラル色の濃い面々を中途半端に排除して、立憲民主党の結成を招き、政権批判票の分散を招いた。野党の混乱で、自民党は何もせずに漁夫の利を得ることとなる。自民党候補が「政界が混乱しているとよく言われる。しかし、混乱しているのは野党だけ」と指摘する通りだろう。
 こんなことになるのなら、希望の党に合流せずに民進党で戦ったほうが良かったとの恨み節も聞こえてきそうだが後の祭り。党の政策や自説を愚直に訴え、有権者を振り向かせるしかない。
 選挙のたびに繰り返される野党の離合集散にそれぞれ大義はあるのだろうが、保身と打算、そして、ご都合主義の議員もいることは論を待たない。
 今回、引退を決めた亀井静香氏もその一人かもしれない。衆院議員13期のベテランで、村山内閣(自社さ)で運輸大臣、橋本内閣(自)で建設大臣を務めた重鎮だが、郵政民営化を巡って当時の小泉首相と対立して自民党を離党。国民新党を結成して代表に就任し、民主党政権下の鳩山内閣では内閣府特命担当大臣(金融担当)となった。その後、消費税増税を巡って国民新党の代表を解任され、「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」を結成するも、1週間を待たずに「日本未来の党」に合流。未来の党の解体後は「みどりの党」に参加。そこも間もなくして解散となった。ついに所属する政党がなくなり、3年前の衆院選では無所属で立候補し、何とか13回目の当選を果たした。そして、「一緒にやっていく相棒が見つからない」と引退を表明した。その彼が今年7月、週刊誌のインタビューにこう答えていた。「有権者がアホだから、アホな政治家しか出てこない」と。噛み締めたい言葉ではある。

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2017年10月11日

愚民の上に苛き政府

 不安定化する極東アジアの安全保障、少子高齢化の進展による年金・医療・介護などの社会保障費の増大、財政再建の先送りなど、日本の直面する課題に対し、国民がどの政党、どの候補にその解決を委ねるのか。
 衆院選は自民・公明の政権与党、希望・維新の改革保守、立憲民主・共産・社民のリベラル勢という3極による対決が全国的な傾向となった。滋賀2区では自民の上野賢一郎氏、希望の田島一成氏の前職一騎打ちに、無所属の対月慈照氏、幸福実現党の荒川雅司氏が割って入る構図となっている。
 公示初日、候補がいったい何を訴えるのかその第一声が注目されたが、自民党候補が経済政策の実績を訴えたのに対し、他候補は安倍政権への批判ばかりが目立った。「安倍政権ではダメだ」とのメッセージ以上のものが伝わってこない。
 確かに、自民一強を背景にした安倍政権の驕りに対する怒りは野党候補だけでなく、国民も共有するところだ。森友・加計学園問題などに対する自民党と安倍首相の姿勢について、国民がどのように感じているのかは、自民党が惨敗した7月の東京都議選が雄弁に語っている。
 その後、安倍首相が「謙虚に丁寧に」臨むはずだった国政は、臨時国会を冒頭解散して疑惑に蓋をした。野党候補がそれに憤るのは当然のことだろう。
 しかし、政権選択が問われる選挙で首相批判ばかりでは実りがない。ある候補は野党に対して「安倍政権を倒した後にどんな日本が来るのか。それこそを明確にして頂きたい」と訴えていたが、国民はそこを求めている。
 北朝鮮の核開発、弾道ミサイル発射、中国の覇権主義など極東アジアの平和が不安定化する中、安全保障体制はどうあるべきなのか、憲法を70年以上も変えないままでよいのか、借金返済に充てる約束だった消費税を教育無償化の財源とするのは無分別ではないか、福島第一原発事故の後始末もできないまま原発政策を進めてよいのか—など、問われるべき政策、国民が選択肢を示して欲しいと思っている課題はいくつもある。
 国民も各政党、各候補の訴えを吟味し、この国の抱える課題について考える機会としたい。福沢諭吉の「学問のすすめ」の中に「愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。故に今わが日本国においてもこの人民ありてこの政治あるなり」とある。国民のレベルと政治のレベルはイコールだと説いているわけだが、少しでも良い政府が実現するよう、主権者である国民が各党の訴える政策や選挙戦そのものに無関心ではあってはならない。

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2017年10月06日

国民の武装認める憲法

 屋外コンサート会場で58人が死亡、約500人が重軽傷を負ったアメリカ史上最悪のラスベガス銃乱射事件。容疑者の64歳の男は会場から約400㍍離れたホテルの32階の客室から自動小銃で観客を無差別に銃撃した。
 たった1人の男の狂気によってこれだけ多くの犠牲者が生まれるのは、殺傷能力の高い銃が広く流通しているアメリカの銃社会という特殊事情によることは論を待たない。
 銃乱射事件が起こるたびに、銃規制の声は挙がるものの、同国最大のロビー団体である全米ライフル協会の圧力もあり政治は効果的な対策を打てないでいる。何よりアメリカでは銃の所持は国民の権利とされているから、銃規制を支持する国民が決して多数派を占めているわけではないそうだ。
 アメリカがイギリスからの独立戦争に勝利して間もなくして誕生した合衆国憲法。1791年に追加された条項「合衆国憲法修正第2条」には「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と記されている。つまり、憲法が国民の武装を認めているわけだ。
 しかし、その国民が戦場で使われるような殺傷能力の高い武器を所有できることで、今回のような大惨事を繰り返してきた。保守派は憲法に依拠して銃規制に反対しているが、独立戦争が終わって間もない時代の民兵を想定した条項を、現代に適用させようというのは違和感を覚える。
 米国には約3億丁もの銃が出回っているという。銃刀法で銃の所持を厳格に規制する日本では考えられないことだが、国民1人1人が銃を手に持ち戦争で独立を勝ち取ったアメリカでは、日本に比べると個人の自由や自律へを尊重する。自分の身を守るのは、政府や警察でなく、自分なのだ。そういう思考が米国に広く根付いているとすれば、米国での銃規制の厳格化は期待できない。

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2017年10月04日

選挙戦の構図決まる

 小池百合子東京都知事が率いる希望の党が3日、公認候補を発表したことで、10日公示の衆院選の顔ぶれがおおむね出揃うこととなった。政権をどの政党に任せるのか、その選択を国民に問うスタートラインに立ったわけだが、野党第一党の民進党が選挙を戦わずして分裂、瓦解した点が最も大きな政治変革かもしれない。
 民進党から希望への合流組はあれだけ白紙化を訴えていた安全保障法制について「適切に運用する」との政策協定を受け入れた。これまでの民進党から180度方針を変えている。この点は選挙戦を通じて有権者に問い詰められるであろうし、候補者もしっかりと説明する必要があろう。
 小池氏の選に漏れた民進党出身者は、枝野幸男氏が結成した立憲民主党を目指すか、無所属を強いられることとなった。「希望者全員の移籍を目指す」との前原誠司代表の見切り発車を両院議員総会で受け入れてしまったとは言え、気の毒な話である。
 さて、衆院選は政権選択を問う。どの政党に国政運営を任せるのか、党の政策を吟味する必要がある。加えて、候補者自身のこれまでの歩みを振り返り、舌が1枚なのか、それとも何枚もあるのか、見極めたい。
 今度の衆院選は3極に分類できよう。自民党と公明党の政権与党グループ、希望の党と日本維新の党の改革保守グループ、そして立憲民主党、共産党、社民党などリベラル派のグループだ。
 主要政策を分類すると、憲法改正については、自民、公明、希望、維新が支持し、立憲、共産、社民が慎重・反対の姿勢。安全保障法制に関する各党の主張もこれに重なる。ただし、憲法改正は平和憲法9条に限ると、各党のスタンスが変わってくる。2019年10月の消費税増税については自民、公明が推進、その他が見送りや反対。原発政策については、希望、立憲、共産、社民がゼロを目指す。
 希望の党の結成、民進党の合流と分裂、立憲民主党の結成と、衆議院の解散が決まって以降、野党のごたごたが続いたが、衆院選で問われるべきは安倍政権5年間の評価と、今後の政権選択だ。そのためにも、与党のはるか後塵を拝する野党は安倍政権をどのように評価し、どのような政策を掲げるのか、国民に広く、そして早く発信すべきだろう。「反安倍政権」という反対のための反対に、少なくない国民がうんざりしているのだから。

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2017年10月02日

急がれる野党再編

 公示を10日に控えた衆院選。与党の自民党と公明党が着々と選挙準備を進める一方で、野党第一党の民進党と、小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」が候補者選定を巡って混乱している。民進党との野党共闘を目指していた共産党や社民党も、民進党の変節に新たな共闘を模索せざるを得ない事態となっている。
 そもそもの混乱の原因は、民進党代表の前原誠司氏の方針による。民進党全員が揃って希望の党の公認を受けるという前提で両院議員総会で認められたわけだが、小池氏は「全員受け入れる気はさらさらない」と、政策の一致を理由にリベラル派の排除を当初から示している。
 何の後ろ盾もなくなる民進党のリベラル派は無所属を強いられるため、目下、枝野幸男代表代行がリベラル派を集めた新党の結成を目指し、共産や社民との共闘を模索している。
 改革保守を標榜する希望の党に、右から左まで揃う民進党の立候補予定者全員が一団となって公認を申請すること自体、異常であり、仮にそれが受け入れられるとなれば、希望の党は選挙目当ての野合の産物に過ぎない。
 「政権交代」を一致した目標とする民進党は、理念も政策もばらばらだった。今回の衆院選を機に、改革保守の希望の党と、リベラル新党に分裂する方が国民に分かりやすい。そういう視点に立てば、前原氏の今度の大転換は評価できるかもしれない。
 さて、滋賀2区も自民前職の上野賢一郎氏が着々と準備を進める一方で、民進前職の田島一成氏は希望の党の公認待ち。共産党は立候補予定者を急きょ撤回し、社民党などとともに、市民団体の事務局長・対月慈照氏を推すことを決めた。
 問題は政策であろう。希望の党やリベラル新党がどのような政策を掲げて衆院選を戦うのか、まだはっきりとは見えてこない。まっとうな国政運営には健全な野党の存在が欠かせない。野党再編は政権批判の受け皿づくりに欠かせないが、理念・政策の擦り合わせが大前提となる。

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