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トップの権謀術数

 安倍晋三首相による突然の衆議院の解散、小池百合子東京都知事による希望の党の結成、そこへの民進党の事実上の合流。この一連の流れに薄気味悪さを感じるのは小生だけではないはずだ。民主的な議論や手続きを経ることなく、ただトップの独断と専行によって、有権者が選んだ政治家が振り回されていることに。
 安倍首相は森友・加計問題を追及するために野党が召集を申請した臨時国会の冒頭に衆議院を解散させた。その理由について消費税の税収の使い道を有権者に問うと言う。2019年10月に税率を10%の引き上げることで5兆円の税収を得られる。当初は1兆円を介護などの社会保障費に、4兆円を借金返済にあてる計画だったが、安倍首相は唐突に教育無償化を打ち出し、借金返済に充てるうちの2兆円を財源とすることを明らかにした。教育無償化は有権者の共感を得やすい政策だが、財政再建は先送りとなる。現役世代が楽をして、子や孫の世代にツケを残すことになりかねない。この唐突の方針転換に党内で丁寧な議論が行われた形跡はない。
 小池百合子東京都知事が結成した希望の党。自民党を抜けた若狭勝氏と民進党を出た細野豪志氏が政策などをすり合わせていたが、小池氏が唐突に「リセット」して党の方針を決めてしまった。「寛容な改革保守政党」を目指し、目玉は原発ゼロという。
 希望の党への事実の合流を決めたのは民進党の前原誠司代表だ。小池氏との直談判で方針を決めてから、両院議員総会で「もう一度、二大政党をつくるために名を捨てて実を取る」と強調した。「改革保守」を掲げる希望の党への合流は、右も左も揃う民進党の事実上の瓦解を意味する。希望の党に公認を申請しない、もしくは公認を得られない前職は路頭に迷うこととなる。
 この国の政治には強力なリーダーシップは欠かせない。一連の動きをダイナミックな展開と言えば聴こえは良い。しかし、トップの権謀術数に政治家やそれを支える党員が追従し、振り回されている現状を見るにつけ、トップダウンでなくボトムアップこそが民主主義の本質ではなかったのかと、問題提起したくなる。

2017年09月29日 16:58 |


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