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解散の意義知りたい

 安倍晋三首相が来週の28日の臨時国会冒頭にも衆議院を解散させる方針を固めたそうだ。「なぜ、この時期に?」というのが、国民の多くの反応だろう。
 発足間もない前原新執行部の民進党が離党者続出で混迷していることや、小池百合子東京都知事と連携する新党が間もなく立ち上がる政治情勢を勘案すると、野党がモタモタしているうちに解散に打って出たほうが、与党が選挙を有利に戦えるという計算は容易に想像できる。
 ただ、28日開会の臨時国会は森友・家計学園問題を追及する野党の求めに応じて、法律に基づいて安倍首相が召集したもの。にもかかわらず、万一、冒頭に解散するというのであれば、国民は「問題から逃げた」と感じるだろう。
 7月2日の都議選で自民党は惨敗した。その時、安倍首相は「安倍政権の緩みがあったとの厳しい批判がある」「反省すべき点は反省し、謙虚に、丁寧にやるべきことはしっかりと前に進めていかなければならない」などと語っていたが、あの弁はいったい何だったのか。
 安倍首相は先輩に学んだのかもしれない。過去の首相も国会冒頭で解散した例を持つ。例えば、1966年に佐藤栄作政権は「黒い霧事件」で政治不信が高まる中、その払拭を狙って解散。自民党が過半数を獲得し、信任を得た。1986年の中曽根康弘政権は「死んだふり解散」。解散するそぶりを見せないまま臨時国会を召集し、いきなり解散。準備が整っていなかった野党は惨敗した。
 野党も準備不足を嘆いていられない。与党のトップである首相が解散権を持つ以上、日ごろから選挙への準備を怠ってはならないし、何より選挙をしなければ議席を増やすことも、政権を奪取することもできない。
 朝日新聞の天声人語(18日)が、1984年のロス五輪の柔道決勝でエジプト選手が山下康裕選手の痛めた右足を攻めなかったフェアプレー精神を取り上げたうえで、民進党が「弱っている時」を選んで攻めようとする首相に「しらけてしまう」と指摘している。一方で、産経新聞の産経抄(19日)は「野党の弱みも攻められないようなお人よしには、首相が務まるとは思えない」と返している。
 今度の選挙は自民党による自民党のための選挙、いや安倍首相による安倍首相のための選挙と言えるのかもしれない。しかし、党利党略の解散・総選挙も、国民は民主主義のコストとして受け入れるしかない。
 安倍首相には解散の意義を丁寧に説明することが求められると同時に、我々有権者も解散を機に、憲法改正や消費増税など各党の政策を吟味したい。

2017年09月20日 15:39 |


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