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湖北の里親不足

 育児放棄や虐待、親との死別、経済的困窮などの理由で、親と一緒に暮らせない子どもは国内に約4万6000人いる。その子どもたちの受け入れ先は乳児院や児童養護施設などの施設が8割を占め、里親は2割に満たない。
 しかし、施設で子どもたちが集団生活を送るよりも、家庭的な環境での生活の方が子どもの自己肯定感を育み、その家庭生活の経験が将来家庭を築くうえでのモデルになるとされている。ゆえに、子どもの健康な心身の成長には家庭に近い環境で暮らすことが大切とされている。
 このため、欧米では施設養護ではなく里親による養護が主流だ。例えば女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは映画の撮影でカンボジアを訪れた際に人道問題に関心を抱き、これまでにカンボジア、エチオピア、ベトナムの子どもを養子として引き取っている。
 昨年、児童福祉法が改正され、すべての子どもを養子縁組や里親などで受け入れる「家庭養護」を原則とすることが決まった。そして、厚生労働省は7月31日、就学前の子どもの75%以上、就学後の子どもの50%以上を里親に担ってもらうという新たな目標を公表した。これまで2割に満たなかった里親での養護を大幅に増やそうという児童養護政策の大転換であり、ようやくグローバルスタンダードに近づきつつあると感じる。
 ただ、日本特有の課題は産みの親の親権が強すぎることだ。虐待や育児放棄をする無責任な親でさえ、我が子を第三者に取られまいと里親を拒否し、施設養護を希望することもある。欧米では子どもが親元に帰る見込みが無い場合は早めに次の家庭を探すというに。
 以前、里親を取材した際、乳幼児期の両親不在が子に与える悪影響を心配し、施設ではなく里親のもとでの養護を訴えていた。「乳児こそ母親の元に戻れないなら、それに替わる特定の里母が必要だ」と。
 さて、今回の厚労省の方針を実現するには、子どもを受け入れる里親の確保が欠かせない。滋賀県内では287人の子どもが施設や里親の元で暮らしている。県は各中学校区単位で1人以上の里親家庭の確保を目指しているが、ここ湖北地域は里親が常に不足し、長浜市内は13区中6区でゼロ、米原市内は7区中5区でゼロ。
 行政機関が目標を立てたところで、地域の大人がこの問題に無関心であれば、救えるはずの子どもが救われない。関心を抱いている方は彦根子ども家庭相談センター☎(0749・24・3741)へ。

2017年08月04日 17:05 |


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