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2017年07月28日

五輪開催地の囲い込み

 東京がトルコのイスタンブール、スペインのマドリードと競った2020年五輪の招致。振り返ると、立候補時の五輪経費は総額7340億円で、カネをかけない「コンパクト五輪」がうたわれていた。しかし、その後、国立競技場の建設費が当初の1300億円から一時3000億円にまで膨らむなど、五輪経費はうなぎ登り。五輪見直しを訴えた都知事選では小池百合子氏が「1兆、2兆、3兆とお豆腐屋さんじゃない」と、その丼勘定ぶりを批判していたのが印象に残っている。結局、組織委員会が精査したところ、総費用は1兆6000億〜1兆8000億円にのぼる見込み(昨年12月時点)で、立候補時の倍となった。
 毎回、国を挙げての招致合戦が繰り広げられる五輪だが、最近は巨額の財政負担への不安から招致を断念する都市が相次いでいる。2024年の五輪招致ではドイツのハンブルクが住民投票で賛同を得られずに脱落したし、イタリアのローマ、ハンガリーのブタペストも撤退した。残すはパリとロサンゼルスだけ。
 招致合戦からの撤退に危機感を抱いているのは国際オリンピック委員会(IOC)だ。過去にはダークマネーが飛び交うほどの熾烈な招致運動があったが、このままでは立候補する都市の確保も難しい。このため7月11日に行われたIOC臨時総会では、この9月の定期総会で24年大会の開催地に加え、28年の開催地も一緒に決めることを全会一致で承認した。パリとロサンゼルスの2都市を24年と28年の開催地として確保したいとの思いがにじみ出ている。ようは囲い込みである。
 経費の肥大化にストップを掛けるのが「コンパクト五輪」を掲げた東京の役割だった。しかし、それは叶わなかった。その東京の姿に、世界の主要都市が五輪に対する財政不安を感じ、次々と撤退する事態となっている。コンパクト五輪への転換を実現できなかった東京の責任は小さくない。

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2017年07月26日

長浜中央公園、今度こそ整備を

 旧市民会館と市民体育館の間にある都市公園「長浜中央公園」(宮司町)の移転に向けて、市は25日、有識者や地域住民を交えた公園整備検討懇話会(座長=村上修一県立大教授)に移転に関する資料を示した。
 この長浜中央公園は都市計画上では約1㌶の広さだが、実際に公園として整備しているのは市民体育館の北側部分の約0・4㌶。残りは旧市民会館の駐車場などとして「暫定」利用されてきた。また、公園として使用している部分も、市担当者が「公園としての利用はほとんどない」と説明するように、その機能を果たしていない。
 都市公園として計画決定したのは1973年(78年に区域変更)のことなのに、市は40年以上も計画通りに整備せず放置してきた。この問題は6年前の市議会でも取り上げられている。市民の憩いの場となるはずの公園が長年、駐車場として目的外使用されてきたとして、市議が「市民にとっては緑地のはず。こんな活用法がまかり通っていいのか」と追及していた。
 そして今、ようやく長浜中央公園の見直しに向けて動き出した。市が懇話会に示した方針は、約1・2㌔北東の長浜市民球場一帯に移転させるもの。新しい公園の面積は約3㌶。既存の球場をそのままに、周辺に樹木や花壇、ベンチを設ける「花とみどりのゾーン」、十一川の河川敷そばに遊歩道を備える「親水ゾーン」などを整備する。球場北側にある旧テニスコートは駐車場とする。懇話会の委員からは「緑のゾーンが少ない。遊具を置くスペースがあるのか」「子どもが遊ぶ横で野球をするのは危険ではないか」などと意見が出ていた。
 長浜中央公園の移転理由は、表向きは都市公園機能の確保だが、閉鎖から9年が経過している旧市民会館跡地の売却環境を整えるためでもある。市は目下、旧市民会館跡地を民間に売却する方針で、そのためには旧市民会館跡地に被る都市公園を別の場所に移転させる必要があるからだ。
 だが、新しい長浜中央公園の敷地のうち、駐車場や親水ゾーンを整備する場所は、将来、長浜新川の本線が通る予定。このため、市は「暫定的・仮設的」な整備にとどめることを懇話会で示している。
 市は果たして本気で公園を整備する気があるのだろうか。旧市民会館跡地売却に向けた単なる計画作りではないのか。当初の公園計画を40年以上も放置してきた「前科」を思うと、そう勘ぐりたくなる。今度こそ長浜中央公園の整備が計画倒れに終わることがないよう注視していたい。

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2017年07月21日

情報技術の進歩

 買い物客が自分で清算する「セルフレジ」は、スーパーですっかり定着している。かごに入った商品を手に取ってバーコードを読み取り機にかざし、現金やカードで会計を済ませる。子連れの家族が楽しみながら利用する姿も珍しくない。スーパーの買い物で、客が最もストレスに感じるのがレジの待ち時間だそうだ。清算をいかにスムーズに済ませるのかが、店側の課題となる中、セルフレジは待ち時間の解消に大きく貢献している。
 コンビニエンスストア各社でも無人レジの導入を試験的に進め、将来は全店舗で無人化を目指している。人手不足が深刻な中、業務の効率化につなげる狙いだ。こちらはバーコードを読み取るスーパーのセルフレジと異なり、商品にICタグを取り付ける。買い物かごに商品を入れたまま瞬時に会計できるのが特徴で、目下、ICタグの開発が急がれている。
 情報技術の進歩がセルフレジの導入を後押ししているが、自動化は小売店だけの話ではない。長浜市が整備を計画している新しい中央図書館では、セルフ貸出・返却が実現する見込みだ。従来のバーコードでの図書管理に加え、図書にICタグを取り付けることで、貸出・返却業務の自動化を図れるそうだ。現状では1冊ずつバーコードを読み取る必要があるが、ICタグなら10冊程度を一度に処理できる。セキュリティーゲートを設けることで、無断持ち出しも防止できる。
 特に効率的なのは蔵書点検。いわゆる「棚卸し」だ。現状は書架から1冊ずつ取り出してバーコードを読み取る必要があり、この作業のために年間、全館で延べ30日が必要となる。しかし、ICタグの場合は、ハンディリーダーを書架の棚にかざすだけで瞬時に読み取ることができ、労力は10分の1程度という。これら業務の効率化・省力化により、図書館職員は利用者の調べ物のお手伝いやフロアサービスの充実、企画や特集に傾注できることとなる。
 技術の進歩で、単純作業はどんどん自動化されている。遠くない将来にはAI(人工知能)の進化により、少なくない職場で人間の仕事がAIに取って替わられるという見方もある。すでに日経新聞は企業の決算記事などをAIに執筆させている。技術革新による自動化・省力化は今後も加速し、ますます便利な世の中になるだろう。だが、人が人に接し、心を通わす、人間にしかできないサービスの必要性は、かえって高まると信じていたい。

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2017年07月12日

キャッシュレス社会

 先週末、東京に出かけたが、地下鉄を乗り継いでいて感じたのが、切符を買って乗っている人がほとんどいないことだ。定期カードやICカードを改札の端末にタッチして入場している。切符の吸い込み口のない改札も少なくない。何より切符販売機の数が少ない。
 そう考えながら振り返ると、小生は東京2日間で一度も現金を使わなかった。ホテルや飲食店はクレジットカード、地下鉄乗車やコンビニでの買い物はICカードの「ICOCA」。わざわざ財布を持ち歩く必要はなかったわけだが、現金しか使えない店があるかもしれないから、財布は手放せない。
 同じ時期、友人は上海に出かけた。中国は急速にキャッシュレス化が進み、現在ではその便利さからスマートフォンでの決済が主流だ。その決済には「QRコード」を使う。店での支払いの際は、店が提示するQRコードを自身のスマホで読み取るか、もしくはスマホのQRコードを店側が端末で読み取ると、自身が契約している銀行口座から代金が引き落とされる仕組み。
 面白いのはQRコードによる汎用性の高さだ。例えば露店での買い物。店には紙に印刷したQRコードが掲げられている。客はそのQRコードをスマホで読み取ることで支払いを済ませる。露店としては、電子決済のための端末を置く必要もなければ、盗難や偽札の危険もない。何より小銭をやりとりする煩雑さがない。
 極めつけは物乞い。QRコードを印刷した紙を置いている。寄付したい人はスマホでそれを読み取ればいいのだ。風刺画のような光景だが、キャッシュレス先進国の中国では珍しくはないそうだ。
 インド政府は今春、国民情報と銀行口座を連動させた電子決済サービスをスタートさせた。買い物の際に国民番号を伝え、専用の機械に指紋をかざすと代金が銀行口座から引き落とされる仕組みで、スマホやカードがなくても支払いができるのが特徴だ。現金に慣れ親しんだ国民には抵抗があるようで普及には時間を要するだろうが、便利なサービスゆえに浸透しない理由はない。スウェーデンをはじめヨーロッパでもキャッシュレス化が進み、現金を持たない若者も少なくない。
 しかし、日本はというと、スーパーやコンビニなどは電子マネーやオンライン決済が可能だが、小さな店ではクレジットカードも使えず、スマホとカードだけで生活するのは難しい。
 社会学者の古市憲寿氏も今週の週刊新潮の連載で上海を訪れた際の出来事を振り返っている。上海の現代美術館で入場券を現金で買おうとしたところ「まるで原始人を見るような目で『オンラインで決済してもらうか、電子マネーじゃないと困るよ』と言われた」とレポートし、翻って日本の後進国ぶりを嘆いていた。
 現金決済が原始的手法になりつつある世界の潮流にあって、日本のガラパゴス化は際立っているのかもしれない。ポイントカードで財布をパンパンに膨らませているのも日本人ぐらいだろう。

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2017年07月07日

人生の辛苦とハス

 布勢町の休耕田で花を付けたハス。今は試験栽培の段階だが、NPO法人つどいの川村美津子理事長によると、すでに3㌶での苗の植えつけが終わっており、順調に生育すれば、来年にも花をつけることとなりそうだ。
 NPO法人ではハスを香水の原料や食材として活用しようと、市内の酒造メーカーやホテル、料亭などに協力を求め、商品化を模索している。ゆくゆくは地域住民が栽培や収穫に携わり、地域起こしにつなげたい考えだ。
 いずれ山裾の棚田一面にハスの大輪が咲き乱れる様子を想像すると、このプロジェクトの成功を願わずにはいられない。
 さて、ハスは仏教と縁が深い神聖な植物として知られる。寺院の池によく植えられているし、お釈迦様の台座ともなっている。ハスは泥水の中で成長し、そして美しい花を咲かせる。仏教ではこの泥水を人生の辛苦、または汚れた世間と解釈するそうだ。様々な困難や苦しみ、悩みなどに直面し、それらを経験して開花する。つまり、不浄である泥の中から茎を伸ばし、美しい花を咲かせるハスの生態は、仏教の教えに合致するわけだ。
 仏教に縁の深い植物はハスだけではない。例えば平家物語に登場する「沙羅双樹」は釈迦が入滅したときに四方にあったとされる。沙羅はインド原産のフタバガキ科の植物で、日本では育たないことから「ナツツバキ」で代用されている。そのナツツバキは一日花。朝、美しく清楚な花を咲かせ、夕方に落ちてしまうことから、仏教の無常観のシンボルでもある。
 また、4月8日のお釈迦様の誕生日には仏像に甘茶を掛ける風習がある。「甘茶」だからと言って、砂糖が入っている訳ではない。「アマチャ」というアジサイ科の植物を煎じた飲み物で、お釈迦様の生誕時に産湯に甘露を注いだという故事に由来する。

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2017年07月05日

近江八幡がトップ、ふるさと納税

 総務省は4日、平成28年度のふるさと納税の納税額調査の結果を発表した。
 県内では近江八幡市が14億6000万円でダントツのトップ。以下、高島市(3億9900万円)、東近江市(2億2000万円)、竜王町(1億2700万円)、彦根市(1億2300万円)、甲良町(1億0900万円)が続く。近江八幡市はブランド牛の「近江牛」を返礼品としていることで、それを目当てに納税する人がほとんど。ゆえに仕入れなどの費用も莫大で7億8000万円にのぼっている。2位の高島市も近江牛が人気を集め、デパートの「高島屋」と連携したPR展開も奏功しているという。以上、1億円を超えた自治体は6市町で、いずれも近江牛をはじめとする地元の特産品の返礼が人気を集めた結果だった。
 以降は⑦大津市(8900万円)⑧草津市(8400万円)⑨湖南市(7500万円)⑩長浜市(6700万円)⑪米原市(6300万円)と続く。最下位は野洲市の110万円だった。
 ふるさと納税は、地方で生まれ育ち、都会に出てきた人が「ふるさとへの恩返し」の思いを込めて、税制を通じて地方の自治体に貢献する仕組み。寄付額から原則2000円を引いた額が所得税・住民税から控除され、寄付金は自然保護や文化財の保全、子育て支援といったまちづくりなどに活用されている。
 総務省は▽納税者が寄付先を選択するため、税に対する意識が高まる▽生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域の力になれる▽自治体間の競争が進み、地域のあり方を改めて考えるきっかけとなる—と3つの意義を説いている。
 しかし、ふるさと納税の返礼品を扱ったポータルサイトは特産品の通販サイトと見紛うように、その趣旨から大きく脱線していることは明らか。特産品が注目を浴びて納税が増える「勝ち組」自治体にとっては喜ばしいが、多くの自治体は納税の旨みより苦労が多いようだ。ただでさえ税収の少ない地方の自治体は、住民税の控除額を上回るふるさと納税寄付金をかき集める必要があり、そこに割く人手やコストなどを考慮すると、総務省の狙い通りには事は運んでいない。
 総務省は過熱化する返礼品競争に待ったをかけるため、寄付額の3割を超える返礼品や換金性の高い商品などを贈る自治体に見直しを要請しているが、寄付者が自治体の応援ではなく、近江牛などの特産品目当てで納税する構図は変わらない。

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2017年07月03日

有権者の冷徹な鉄槌

 小池百合子知事による都政刷新に期待するというよりも、傲慢な自民党に有権者が冷徹な鉄槌を下したとみるべきだろう。
 東京都議選(定数127)は、小池知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が55議席と躍進し、第一党へと躍り出た。連携する公明党(23議席)と合わせて過半数を奪取し、小池都政は盤石となった。自民党は改選前の57議席から23議席へと激減し、歴史的惨敗を喫した。
 都民ファーストの躍進と自民の大敗は、森友学園、加計学園問題に関する疑惑や国民の疑問に政権が真正面から応えようとしない「傲慢さ」に、有権者が拒否反応を示したことが主因だろう。加えて、手堅い集票能力を持つ公明が連携先を自民から都民ファーストへ切り替えたことも一因だ。
 傲慢な自民にお灸を据えたいと思ったところに有力な選択肢として都民ファーストが登場し、批判票の受け皿となった。言わば自民党の自滅だ。敗れた自民候補からは国政への恨み節が相次ぎ、安倍首相は今朝「選挙戦は厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」と語った。
 国政では野党第一党の民進党は18人いた現職が選挙前に次々と離党して7人にまで減り、都議選ではさらに5人となった。一時は議席ゼロとの予想もささやかれただけに、党執行部は胸を撫で下ろしているかもしれないが、首都でのこの惨状に、民進が国民から野党として期待されていないことがより鮮明になった。
 さて、東京都議選が「統一地方選挙」から外れてこの時期に行われるのは、過去に議会解散があったからだ。1965年、議長選をめぐって都議の間で賄賂が飛び交っていることが明るみになり、「黒い霧事件」として有権者の批判が高まった。結果、都議会解散のリコール運動により追いつめられた自民が都議会の解散を余儀なくされた。その直後の都議選では自民は前回の69議席から38議席へと惨敗し、都議会刷新を訴えた社会が45議席で第一党に躍り出た。
 記憶に新しいのは国民の間で政権交代への気運が高まっていた2009年の都議選。この時も自民は38議席と惨敗し、民主が54議席と躍進。2カ月後の衆院選で民主政権が誕生した。そして2013年の都議選では有権者が民主に愛想を尽かした結果、自民が59議席と大躍進。第2次安倍政権誕生の予兆となった。
 このように過去の都議選を振り返ると有権者はその時々で冷徹に投票行動という「風」を起こしてきた。今回、小池知事の吹かした風に乗った都民ファーストの当選者は、初心者の集まりでもある。都民の期待に応えなければ、4年後、有権者に鉄槌を打たれるだろう。
 また、国政では自民批判の受け皿となりうる政党が不在なのが、自民の傲慢を助長する原因ともなっている。国民の期待に応える野党の新設、再編が不可欠ではないだろうか。

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