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共謀罪法か、テロ準備罪法か

 改正組織的犯罪処罰法が15日、可決、成立した。きょう16日の新聞各社の朝刊の報じ方は正反対で、もし1紙しか読んでいないと、情報が偏る恐れがある。
 朝日1面は「共謀罪法成立」の大見出しに加え、「刑事司法を大転換」「与党が強行採決」の見出し。「荒廃した民主主義」と題した東京社会部長のコラムでは「監視社会」「密告社会」の到来を心配する市民の声を顧みずに安倍政権が法成立に突き進んだと批判し、法律の本質を、捜査当局に「テロ対策」を口実として幅広く監視を許す点にあると指摘。捜査や司法の現場が乱用を自ら戒め「どれだけ抑制的で厳格な運用に努めるかが焦点となる」とした。
 読売1面は「テロ準備罪法成立」「組織犯罪未然に防止」との大見出し、3面で「テロ抑止へ一歩」「適用には高いハードル」と伝える。社説でも東京五輪を控えてテロ対策は不可欠と訴え、凶行を防ぐために改正法を有効に機能させる必要性を説いている。「共謀罪」にあたるとの野党の批判には、多くの制約を設けていることから「別物であることは明らか」とし、その制約の多さに「効果的に運用できるのか」と心配している。
 両紙を読むと、まず改正法の名称である「組織的犯罪処罰法」(正式には「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」)の文字は記事の冒頭で触れる程度。かたや「共謀罪法」、かたや「テロ準備罪法」と表現し、その報じ方から両紙のスタンスが透けて見える。
 前者は改正法によって捜査当局による捜査が一般市民にまで及び、戦前のような監視社会が到来する可能性があると危険視している。ようは改正法のデメリットの部分に焦点を当てている。
 後者は摘発の対象となるのはテロ集団や暴力団、麻薬密売組織などの組織的犯罪集団だとし、その犯罪行為を準備段階で封じ込める武器になると、改正法のメリットに注目している。
 では、どちらの報じ方が正確なのか。前者は問題点をあぶり出し、後者はその効果を宣伝している。きっと両方とも正しいのだろう。ただし、もし新聞1紙しか読んでいなければ、今度の改正法の受け止め方は、その新聞社の意図するように誘導されるのではないだろうか。
 新聞報道は、読者の多様な視点や思考に応えるため、なるべく客観的にさまざまな角度から報じるべきだと考えるが、今度の改正法では賛成派と反対派にくっきりと分かれた。好むと好まざると、たまには他紙に目を通して、どんな報じ方をしているのか、視点を変える必要性を痛感せずにはいられない。自身が好む新聞だけに目を通していては視野を狭められる。

2017年06月16日 16:41 |


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