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横領あれこれ

 直木賞作家・角田光代さんの小説を宮沢りえさん主演で映画化した「紙の月」は、銀行で契約社員として真面目に働いていた女性が年下の男子学生にお金を貢ぎ、ついには顧客や銀行のお金に手を付け、海外逃亡する物語だ。
 この小説は実話を基にしたとされる。1973年、滋賀銀行山科支店で発覚した横領事件では42歳の女性行員が10歳年下の男にお金を貢ぎ、6年間で1300回、9億円を横領した。1981年には三和銀行茨木支店の女性行員が交際していた男に言われるまま1億8000万円を架空口座に入金し、5000万円を引き出してマニラへと逃亡した。これらの事件で共通するのは、お金で男を繋ぎとめる方法でしか恋愛ができなかった女性の姿だった。
 湖北地域でも2000年、多額の横領事件が世間を騒がせた。北びわこ農協南浜支店長(39)が約6億円を横領し、先物取引で抱えた損失の穴埋めに充てていた。手口はコンピューター端末を操作して、実在する組合員への貸付金として架空口座に入金していた。発覚を免れるため、支払い期日に利息を返済するなどしていたが、同支店の貸付総額の上昇、外部からの情報提供で、事件が明るみになった。当時は貯金担保の貸付が支店長個人の権限で行えたことから、横領は難しくなかった。
 さて、きのう6日に明らかになった横領事件も北びわこ農協が舞台だった。渉外担当が顧客の定期貯金を解約したり、普通貯金から現金を引き出したりして、2年間で4477万円を横領した。職員を信頼しきっていた顧客が通帳を預け、暗証番号も伝えていたのだから、職員が横領に手を染めるのは難しくない状況だった。
 ギャンブルや遊び、交際相手にお金を浪費し、他人の金に手を付けた挙句、解雇、逮捕されるのは、珍しいニュースではない。最近では甲良町の職員が窓口に納められた税金3000万円以上を着服し、外車を買うなど豪遊し、逮捕された。
 この手の事件が起きるたびに組織は管理体制を見直して再発防止に取り組んでいるのだが、運用するのが人間である以上、手続きを省略したり、少々のミスに目をつむったりして、結局、そこが蟻の一穴となる。そして一度でも一線を越えると罪の意識は薄れ、犯行を重ねる。

2017年06月07日 16:23 |


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