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安売り禁止に思う

 国がビールの安売りに対してあれこれと口を挟むのは、自由な価格競争の観点から消費者に不利益につながるのではないかと考えている。
 酒類の過剰な安売りを規制する改正酒税法が1日施行された。仕入れ値に人件費などの販売管理費を加えた「総販売原価」を割り込むような赤字販売はアウトとなる。違反を続ければ業者名の公表や罰金、販売免許の取り消しなど、厳しい処分が科される。
 小売店がこれまで過度な値下げを行えてきたのは、メーカーや卸売会社から販売奨励金が支払われていたからだが、国の求めにより販売奨励金は縮小傾向にあり、6月1日を待たずに酒類の値上がりが始まっていた。
 改正酒税法は大手スーパーやディスカウントショップから「町の酒屋さん」を守ることを目的に議員立法で成立した。しかし、自由な価格競争を規制することは企業の経営努力の否定、消費者の不利益につながりはしまいかと心配する。そもそも不当廉売は独占禁止法で禁止されている。にもかかわらず、酒類だけを狙い撃ちすることに、消費者は理解を示すのだろうか。
 これら不利益と天秤にかけても保護が必要というのなら、「町の酒屋さん」以外にも守ってもらいたいものがある。「町の本屋さん」だ。活字離れとインターネットを介したオンライン販売によって、本屋さんは次々と廃業に追い込まれている。特に大手のアマゾンは送料無料だったり、翌日に配達したりと、品揃えも含め、本屋さんにはとても太刀打ちできない。
 このままアマゾンの猛攻を放っておけば現実社会の本屋さんはますます姿を消す。知と文化の集積地である本屋さんで、運営的な図書との出会いも無くなってしまう。
 フランスには文化の担い手である本屋さんを保護するための、いわゆる「反アマゾン法」があり、図書の無料配送の禁止などが盛り込まれている。この法律の実効性については不明だが、町の本屋さんを守ろうとの国の姿勢を評価したい。
 酒屋さんを守るためにビールの安売りに口を挟むのなら、是非、本屋さんのためにも国会議員諸氏に策を講じてもらいたい。

2017年06月02日 16:14 |


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