滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2017年06月30日

8歳少女が伝える内戦

 シリア内戦の激戦地アレッポでの生活を生々しくレポートしたシリア難民の8歳の少女が、米タイム誌の「インターネット上で最も影響力がある25人」に選ばれた。
 アレッポは昨年12月まで反政府勢力が支配し、ロシア軍を後ろ盾とするアサド政府軍が苛烈な攻撃を加え、数え切れない市民が犠牲となった。少女の名はバナ・アラベド(Bana Alabed)。アレッポ東部に住み、アサド政府軍の攻撃に怯える毎日を過ごしていた。昨年9月24日、「私には平和が必要」とツイッターに初めて投稿し、以来、アレッポの現状や自身のおかれた境遇を文字と写真、動画で発信してきた。
 「爆弾が雨のように降っています。なぜ、彼らは私たちを殺すのでしょうか」(9月25日)
 「爆弾が隣の家に落ちました。私たちのために祈って下さい」(10月2日)
 「私は泣いています。これ(写真)は今夜、爆弾によって殺された私の友達です」(11月25日)。
 「だれか今すぐ私を助けて、お願い」(11月25日、室内で爆撃、戦闘機の音に怯えながらの動画を撮影)
 「今夜、私たちには家がありません。爆撃され、私は瓦礫に埋もれました」(11月28日)
 「これ(写真)が私たちの家です。私の可愛い人形も死んでしまいました」(11月29日)
 「私は今、病気です。私には薬も、家も、清潔な水もありません」(12月2日)
 「最後のメッセージ、この世界で誰も私たちを助けてくれず、私はとても悲しい。だれも私と娘を助け出してくれない」(12月12日、母親のファティマさんの投稿)
 「アレッポ東部から逃れました」(12月20日)
 以上は投稿のほんの一部だが、シリア内戦の凄惨を生々しく伝え、タイム誌は「ジャーナリストがほとんど現地入りできない中で、シリア内戦の恐ろしさを気付かせた」と評価している。
 この少女の投稿はアサド大統領から反政府勢力のプロパガンダと批判されているが、世界で37万人が登録、閲覧している。
 彼女はアレッポ脱出後、トルコに避難した。現在は避難生活をレポートしながら、シリアの惨状を世界に発信している。シリアで苦しむ大勢の子どもたちの象徴的存在でもある彼女はこの6月、避難先で8歳の誕生日を迎えた。

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2017年06月26日

キッズウイークと働き方改革

 政府は新たな大型連休「キッズウイーク」の創設を計画している。学校休業期間の一部を別の期間に移すというアイデアで、例えば夏休み最後の1週間を秋の行楽シーズンに振り分ける。振り分けについては、小中学校は市町村単位で、高校は都道府県単位で定めることになりそうだ。来年4月の導入を目指している。
 大型連休というと、ゴールデンウイーク、お盆、年末年始ぐらいだが、この時期は宿泊費も交通費も高騰し、おまけに高速道路は渋滞する。このシーズンの観光やレジャーに、ついつい及び腰になるのが世の大人たちの共通認識だろう。
 キッズウイークによって大型連休が地域ごとに分散されれば、家族で旅行しやすくなり、個人消費の向上、観光産業の振興につながると、政府はそろばんを弾いている。
 大型連休を分散させるこのアイデアは、おそらくフランスやドイツなどを参考にしたものだろう。これらの国でも旅行シーズンが集中しないように、大型連休を地域ごとに分散させている。課題なのは大型連休を分散させたところで、親が休みを取れるのかという点だろう。フランス人やドイツ人は「旅行のために仕事をしている」と言って過言ではなく、有給休暇の取得率はほぼ100%だ。
 一方の日本は人手不足や職場風土から有給休暇の取得率は50%程度で、他の先進国に比べて低い。ゆえにキッズウイークのアイデアは間違っていないが、政府の狙いどおりに観光需要を喚起するには、日本企業の労働環境と日本人の労働意識の変革を待たなければならない。
 プレミアムフライデーにしろ、キッズウイークにしろ、行き着くところは働き方改革だ。政治家やお役所の音頭に、日本の企業と労働者が対応できるのか、という点に尽きる。特に雇用の4割を占める非正規従業員にとっては休暇の増加は収入減に直結するし、中小零細企業は常に人材不足にあえいでいる。
 「ワーク・ライフ・バランス」なる言葉は定着しつつあるものの、欧米人からすれば、まだまだ日本人は仕事漬け。「子どもがキッズウイークに入るので、1週間休みますね」—。そんな話が職場で気軽にできる環境が遠くない将来に実現することを期待したい。

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2017年06月23日

悪辣な商法

 総務省は22日、携帯電話の契約時に電気通信事業法や同省のガイドラインで定められた適切な説明が行われていなかったなどとして、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社に行政指導を行う方針を明らかにした。総務省は法令順守の状況を確認するため、全国の携帯電話ショップなどで覆面調査を進めてきた。その調査結果によると、「2年縛り」などの契約期間の拘束について適切な説明がされていないケースが約6割、契約後8日間は解約できることを説明していなかったケースが約8割にのぼった。
 小生も何度か携帯電話を買い換えたり、通信会社を乗り換えたりしているが、その料金体系の複雑さに閉口することもある。今年1月に市内の携帯電話ショップで新しいスマホを購入したが、後に複数の有料サービスに登録されていたことが判明した。身に覚えのないメールが送られてきたから気付いたのだが、「契約した覚えがない」と携帯電話会社に問い合わせたところ、契約日に即日解約されていて、料金の発生はないということだった。購入した携帯電話ショップに問い合わせたところ、複数の有料サービスについて「初回60日間は無料なので」と、契約前提で登録手続きをしているとのことだった。小生が断ったから解約手続きを行ったそうだ。60日後に料金が発生するサービスを押し付けるように勝手に契約させる行為は、小生は「まっとう」な商法とは思わない。
 このように、スマホ購入時に有料サービスを契約させられるケースは少なくない。最初の何カ月かは無料ということで、契約前提で手続きを進め、無料期間を過ぎると、消費者がわざわざ解約手続きをしないと延々と料金が発生する。法令に違反しないとはいえ、極めて悪辣でたちの悪い商法だと断じたい。
 そしてこういった押し付けがましいサービスにより不必要な利用料金を支払わされているのは、高齢者らいわゆる情報弱者かも知れない。携帯電話やスマートフォンは現代人の生活に欠かせないツールとなっているが、特に高齢者は、販売の仕組みや複雑な機能に困惑し、高い買い物をさせられている可能性が決して小さくない。
 文芸春秋7月号では「70歳からのスマホ安心8カ条」と題して、高齢者向けに賢い利用法を紹介している。8カ条は▽電話とメール利用だけなら、携帯電話で十分▽契約時は「余計なものはいらない」とはっきり意思表示▽取り扱い説明書は必要部分を印刷▽購入後1〜2カ月したら購入した店舗に行き、料金プランの見直しや操作の相談▽アプリは名前の知られたのをダウンロード—など。日本の携帯電話市場は大手3社がほぼ独占し、自浄機能にも期待できない。携帯電話やスマホの契約時には、よくよく警戒を。

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2017年06月21日

依存症対策への本気度

 統合型リゾート施設(IR)の目玉として整備されるカジノについて、政府は20日、賭博に病的にのめりこむ「ギャンブル依存症」対策として、日本人客の入場回数を制限する方針を固め、本人確認のためマイナンバーカードの提示を求める仕組みを検討していることを明らかにした。
 カードで国民のカジノ入場履歴を把握し、月単位か週単位で上限を超えた国民は入場できない仕組みを構築するようだが、マイナンバーカードの普及率は1割にも満たないし、個人の趣味を国が管理することにも違和感を覚える。
 厚生労働省の調査によると、ギャンブル依存症の疑いのある人は、成人の4・8%にあたる536万人(男性438万人、女性98万人)にのぼる。海外のギャンブル依存症の割合はアメリカ1・4%、イギリス0・8%、スペイン1・7%、オーストラリア2・1%で、日本が異常に高いことがうかがえる。
 なぜ、日本はギャンブル依存症の割合が海外に比べ高いのかは、日本の津々浦々にあるパチンコ店が原因であることは言うまでもない。
 レジャー白書(日本生産性本部発行)によると、ピーク時の1995年のパチンコの遊戯人口は2900万人、市場規模は30兆円だった。現在は参加人口が1080万人へと6割余り減少したものの、市場規模は23兆円にのぼる。参加者1人当たり遊戯回数、消費金額は増えており、ギャンブル依存症を疑わせる病的のめり込みが増えていると推測できる。
 借金を重ね、家庭や人間関係を破壊するギャンブル依存症は深刻な精神疾患であり、何らかの規制と対策が欠かせない。民間団体「ギャンブル依存症問題を考える会」は既存の公営ギャンブル(競馬、競艇など)、パチンコやスロットなどの依存症対策が不十分だと指摘しているが、政府はカジノ向けの依存症対策は講じても、既存のギャンブルには目を向けていない。

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2017年06月19日

急落の内閣支持率

 内閣支持率が急降下している。
 読売新聞の世論調査(17、18日)では、内閣支持率が49%で、前回調査(5月12〜14日)の61%から12ポイント下落。内閣を支持しない理由のトップは「首相が信頼できないから」(48%)だった。
 朝日新聞の調査(17、18日)でも内閣支持率は41%で、前回(5月24、25日)に比べ6ポイント低下。不支持率は37%と6ポイント上昇した。
 また、毎日新聞の調査(17、18日)では内閣支持率は36%で、5月に実施した前回調査から10ポイント下落した。不支持率は44%で、支持と不支持が逆転している。
 他にも複数のメディアが世論調査を行っているが、いずれも内閣支持率が急落している。
 森友学園問題や加計学園問題の真相解明に向けた政府の不誠実とも思える姿勢と、改正組織的犯罪処罰法を国会最終盤で委員会採決することなく強引に成立させたことが、支持率急落の大きな原因であることは言うまでもない。
 加計学園の獣医学部新設計画を巡っては、安倍首相の意向が働いたのかが疑惑となったが、政府は「総理のご意向」との内部文書を「存在しない」「怪文書」と切り捨て、「ある」ものを「ない」と決め付けた。また、内部文書を告発した前事務次官には、告発と時を同じくして過去の「醜聞」が明るみになり、政府要人から人格攻撃を受けることとなった。
 加計学園問題は、獣医学部の新設を認めない文部科学省と、岩盤規制に風穴を空けたい政府側との対立構造が背景にあるとは言うものの、政府側に都合の悪い文書を「ない」とする点に、情報公開や文書管理を政府が身勝手にコントロールしているのではないかと疑問符を付けたくなる。
 これは森友学園問題にも通じ、国有地が破格の値引きで学園側に売却された経緯が明らかにされるべきだが、財務省は文書を破棄し、今も「ない」と説明している。
 森友学園も加計学園も国民の多くが納得していない。真相究明に真摯に向き合っているとは言えない政府の消極的な姿勢、そして安倍内閣の意向を忖度してか、問題追及に及び腰の与党国会議員に、有権者は不満や怒りを溜め込んでいる。今の国政は自民党に対抗しうる野党が不在で、自民党の支持率は群を抜いているが、「おごる平家は久しからず」とも言う。23日に告示される東京都議選(7月2日投開票)で有権者はどのような意思を示すのか。おごる自民党への審判になるのだろうか。

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2017年06月16日

共謀罪法か、テロ準備罪法か

 改正組織的犯罪処罰法が15日、可決、成立した。きょう16日の新聞各社の朝刊の報じ方は正反対で、もし1紙しか読んでいないと、情報が偏る恐れがある。
 朝日1面は「共謀罪法成立」の大見出しに加え、「刑事司法を大転換」「与党が強行採決」の見出し。「荒廃した民主主義」と題した東京社会部長のコラムでは「監視社会」「密告社会」の到来を心配する市民の声を顧みずに安倍政権が法成立に突き進んだと批判し、法律の本質を、捜査当局に「テロ対策」を口実として幅広く監視を許す点にあると指摘。捜査や司法の現場が乱用を自ら戒め「どれだけ抑制的で厳格な運用に努めるかが焦点となる」とした。
 読売1面は「テロ準備罪法成立」「組織犯罪未然に防止」との大見出し、3面で「テロ抑止へ一歩」「適用には高いハードル」と伝える。社説でも東京五輪を控えてテロ対策は不可欠と訴え、凶行を防ぐために改正法を有効に機能させる必要性を説いている。「共謀罪」にあたるとの野党の批判には、多くの制約を設けていることから「別物であることは明らか」とし、その制約の多さに「効果的に運用できるのか」と心配している。
 両紙を読むと、まず改正法の名称である「組織的犯罪処罰法」(正式には「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」)の文字は記事の冒頭で触れる程度。かたや「共謀罪法」、かたや「テロ準備罪法」と表現し、その報じ方から両紙のスタンスが透けて見える。
 前者は改正法によって捜査当局による捜査が一般市民にまで及び、戦前のような監視社会が到来する可能性があると危険視している。ようは改正法のデメリットの部分に焦点を当てている。
 後者は摘発の対象となるのはテロ集団や暴力団、麻薬密売組織などの組織的犯罪集団だとし、その犯罪行為を準備段階で封じ込める武器になると、改正法のメリットに注目している。
 では、どちらの報じ方が正確なのか。前者は問題点をあぶり出し、後者はその効果を宣伝している。きっと両方とも正しいのだろう。ただし、もし新聞1紙しか読んでいなければ、今度の改正法の受け止め方は、その新聞社の意図するように誘導されるのではないだろうか。
 新聞報道は、読者の多様な視点や思考に応えるため、なるべく客観的にさまざまな角度から報じるべきだと考えるが、今度の改正法では賛成派と反対派にくっきりと分かれた。好むと好まざると、たまには他紙に目を通して、どんな報じ方をしているのか、視点を変える必要性を痛感せずにはいられない。自身が好む新聞だけに目を通していては視野を狭められる。

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2017年06月14日

長浜市の議会改革22位

 早稲田大学マニフェスト研究所の議会改革調査部会は、都道府県議会と市区町村議会を対象にした「議会改革度調査ランキング2016」を発表した。
 調査は2010年から始まり、本会議や委員会、議案や資料などのインターネットでの公開、会議録公開までの日数、住民参加の取り組み、議長選での立候補者のマニフェスト表明などを問い、点数化して順位を付けている。
 2016年度の調査では、1347議会が回答を寄せた(回答率75・3%)。3年連続で1位となったのは北海道芽室町議会。「わかりやすい議会、開かれた議会、行動する議会」を掲げ、ホームページで議案や資料を徹底して公開。議長から委嘱された住民が議会を傍聴し、議会運営について提言するモニター制度を設け、常に改革に取り組んでいる。
 県内の議会では大津市(2位)、長浜市(22位)、草津市(63位)、滋賀県(76位)が上位100議会にランキングされ、以下、彦根市(189位)、近江八幡市(241位)、湖南市(266位)、米原市(289位)と続いている。
 全国22位という高順位に位置した長浜市議会。本会議や委員会をインターネットで公開したり、市民との意見交換会を定期的に開いたりと、過去と比べると随分と改革が進んでいる。ただ、市民感覚からすれば、これらの取り組みは決して先進的ではなく、「開かれた議会」として当たり前の姿であろう。しかし、長浜市議会が全国で22位にランキングされていることは、いかに多くの議会が閉鎖的で、改革が遅れているのかがうかがえる。これは議員だけでなく、議会に無関心な住民の責任でもあろう。
 さて、調査部会の分析によると、改革に熱心に取り組んでいる議会はPDCA(計画・実行・評価・改善)を徹底していることから、常にランキングの上位に入る傾向がある。また、政務活動費の領収書をインターネットで公開するなど、注目されやすいテーマで議会改革が進んでいるという。
 最終的にはこれらの議会改革が、行政や地域にどのような成果を生み出したのか、住民の目に見える形で伝わることが欠かせない。そのためには、議会改革は制度だけにとどまらず、議員自身が行政のチェックに加え、調査力や政策の提案力を磨くため、日々の研鑽が欠かせない。

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2017年06月12日

珍客と知恵比べ

 昨夕、キッチンに蟻が大量に発生しているのを見つけた。昨年漬けた梅酒を別の瓶に移す際にこぼれたのを嗅ぎ付けたようだ。外壁を列になってよじ登り、窓の隙間からキッチンに一直線。梅酒のしずくに黒い塊となって群がっていた。
 蟻はフェロモンを分泌して道しるべを作るので、早速、キッチンの棚をキレイに拭き取り、黒い列ができた外壁も水で洗い流した。これで解決かと思いきや、今朝も再びキッチンまで行列ができ、食べ物を探していた。殺虫剤で巣を一掃すれば簡単に解決するだろうが、それではつまらない。招かざる客との知恵比べを始めたい。
 先週には巣作りの場所を探しているであろうツバメが吐き出し窓からリビングに入ってきた。「おいおい、そこに巣を作ってもらっては困るよ」と微笑ましく眺めていたが、すぐさま閉口することに。室内をバタバタと飛びながら壁や床に糞を撒き散らすのだった。「出て行ってくれ」と追い回すが、見当違いのところを飛び回り、被害が拡大する始末。結局、飛び疲れたツバメが棚で休憩したところを網で捕まえ、外に逃がした。糞の拭き取りに追われながら、きっと、もう来てもらえないのだろうと、すこし寂しくもなる。
 とはいえ、ツバメの糞はまだ許せる。最近、我が家の庭は野良猫のトイレとなっているようで、毎朝、庭に糞の痕跡。隅っこにしてくれたらまだ可愛いものを、庭の真ん中に堂々と。よほど快適なのか、朝、庭を確認すると、どこかに糞が鎮座している。「またか」と憤慨したところで、犯人はどこの野良猫やら。
 インターネットの掲示板にも同じような悩みが書き込まれ、忌避剤や消臭剤を撒いたり、超音波を発する機器を置いたり、それぞれ野良猫の撃退に四苦八苦しているようだが、決定打はないようだ。こちらは根比べとなりそうな気配だ。

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2017年06月09日

きょうようときょういく

 スギ薬局は元気なお年寄りに店舗での商品陳列の仕事を任せる制度を設計し、一部店舗で試行している。65歳以上の健康な人を対象に、勤務日や時間を自由に決めてもらい、好きな時に好きなだけ働いてもらう。作業スピードは問わず、作業量に応じて報酬を支払う仕組みで、今後、実施店舗を拡大してゆくという。以上は、9日の中日新聞が伝えていた。
 日本人の平均寿命は83・7歳で世界有数の長寿国だ。医療の進歩や食生活の充実で健康寿命も延び、日本老年学会などは今年1月、高齢者の定義を65歳以上から75歳以上へと引き上げて、就労やボランティアなど社会参加を促すべき、と提言している。このような提言が出される背景には、少子化によって減少する若い労働力を補完するために、元気な高齢者に社会を支える側に立ち続けて欲しいとの願いが込められている。
 スギ薬局の取り組みは高齢者の仲間作り、生きがい作りにつながると同時に、人手不足の解消にも寄与する働き方として注目したい。
 平均寿命から考えても、定年退職後に訪れる20年間ものセカンドライフをどのようにして有意義に健康に過ごせば良いのだろうか。そのヒントとして「きょうよう」と「きょういく」という言葉を聞く。これは「教養」と「教育」ではなく、「今日用」「今日行」のことで、「今日すべき用事」があり、「今日行くべき所」が必要という意味だ。朝起きて、することがなく、行く所もない、というのでは頭も体も劣化してしまう。有り余る時間、自由な時間があるからこそ、セカンドライフの設計が欠かせない。
 東大高齢社会総合研究機構特任教授の秋山弘子さんはセカンドライフを4つの要素で考えるようにアドバイスしている。「働く」「学ぶ」「遊ぶ」「休む」だ。働くことで生きがいを見つけ、学ぶことで人生を豊かに。そして旅行やレジャーで遊ぶ。それでいて体の衰えに合わせてしっかりと休む。60代なら週4日働き、学びと遊びで各1日、そして1日を休む。
 少子高齢化と人口減少に突入している日本社会を支えるのは現役世代だけでなく、生きがいを持った元気な高齢者だ。

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2017年06月07日

横領あれこれ

 直木賞作家・角田光代さんの小説を宮沢りえさん主演で映画化した「紙の月」は、銀行で契約社員として真面目に働いていた女性が年下の男子学生にお金を貢ぎ、ついには顧客や銀行のお金に手を付け、海外逃亡する物語だ。
 この小説は実話を基にしたとされる。1973年、滋賀銀行山科支店で発覚した横領事件では42歳の女性行員が10歳年下の男にお金を貢ぎ、6年間で1300回、9億円を横領した。1981年には三和銀行茨木支店の女性行員が交際していた男に言われるまま1億8000万円を架空口座に入金し、5000万円を引き出してマニラへと逃亡した。これらの事件で共通するのは、お金で男を繋ぎとめる方法でしか恋愛ができなかった女性の姿だった。
 湖北地域でも2000年、多額の横領事件が世間を騒がせた。北びわこ農協南浜支店長(39)が約6億円を横領し、先物取引で抱えた損失の穴埋めに充てていた。手口はコンピューター端末を操作して、実在する組合員への貸付金として架空口座に入金していた。発覚を免れるため、支払い期日に利息を返済するなどしていたが、同支店の貸付総額の上昇、外部からの情報提供で、事件が明るみになった。当時は貯金担保の貸付が支店長個人の権限で行えたことから、横領は難しくなかった。
 さて、きのう6日に明らかになった横領事件も北びわこ農協が舞台だった。渉外担当が顧客の定期貯金を解約したり、普通貯金から現金を引き出したりして、2年間で4477万円を横領した。職員を信頼しきっていた顧客が通帳を預け、暗証番号も伝えていたのだから、職員が横領に手を染めるのは難しくない状況だった。
 ギャンブルや遊び、交際相手にお金を浪費し、他人の金に手を付けた挙句、解雇、逮捕されるのは、珍しいニュースではない。最近では甲良町の職員が窓口に納められた税金3000万円以上を着服し、外車を買うなど豪遊し、逮捕された。
 この手の事件が起きるたびに組織は管理体制を見直して再発防止に取り組んでいるのだが、運用するのが人間である以上、手続きを省略したり、少々のミスに目をつむったりして、結局、そこが蟻の一穴となる。そして一度でも一線を越えると罪の意識は薄れ、犯行を重ねる。

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2017年06月05日

テロと社会の分断

 ロンドン中心部で3日発生したテロにより7人が死亡、約50人が負傷した。イスラム過激思想に感化された男らが市民や観光客で賑わうロンドン橋の歩道を車で暴走し、その後、ナイフで飲食店などの客を刺した。過激派組織IS(イスラム国)が犯行声明を出している。
 イギリスでは5月にも人気アーティストのコンサート会場で自爆テロが発生し、22人が犠牲となっていたことから、ロンドン橋周辺でも警備が強化されていた。
 今、ISは拠点であるシリアとイラクで追いつめられている。イラクでは米国の支援を受けたイラク軍により拠点都市モスルが陥落の寸前であり、シリアでは本拠地ラッカが包囲されている。風前の灯であるISが華々しい戦果をアピールするには、欧州での無差別テロが格好の宣伝材料となる。
 欧州での無差別テロには社会の分断という目的もある。テロによって既存の住民がイスラム系住民への排斥感情を高めれば、イスラム系住民は心の拠り所としてイスラム原理主義体制を追求するのではないか、との考えだ。社会の分断が成功しつつあるのは、欧州で移民排斥を公言する右派政党が台頭していることからもうかがえる。そして、排斥思想が広まれば広まるほど、教育や仕事に恵まれず、不満を溜め込んでいる若者が過激思想に感化されるかもしれない。社会の分断が、さらなるテロの呼び水となる可能性を秘めている。
 さて、今回のテロは不特定多数の人が集まり、警備には限界のある「ソフトターゲット」を、車両を凶器として狙った手口だった。昨年7月の仏ニースのテロではトラックが群集に突っ込み86人が死亡、12月にはベルリンのクリスマスマーケットにもトラックが突っ込み12人が犠牲となった。
 銃や爆発物など入手困難な凶器ではなく、車両やナイフは誰でも手に入れられる。しかも、多額の資金や綿密な計画も必要ない。単独もしくは少人数で実行できる。ゆえに犯行を防ぐのは容易ではない。
 中東でISが追いつめられる中、当面は欧州で無差別テロが続くだろう。しかし、テロ事件が発生したからといって、イスラム教系住民に偏見を持ち、知らず知らずに排斥感情を抱けば、テロリストの思うつぼであり、社会の分断と悪循環を生みかねない。

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2017年06月02日

安売り禁止に思う

 国がビールの安売りに対してあれこれと口を挟むのは、自由な価格競争の観点から消費者に不利益につながるのではないかと考えている。
 酒類の過剰な安売りを規制する改正酒税法が1日施行された。仕入れ値に人件費などの販売管理費を加えた「総販売原価」を割り込むような赤字販売はアウトとなる。違反を続ければ業者名の公表や罰金、販売免許の取り消しなど、厳しい処分が科される。
 小売店がこれまで過度な値下げを行えてきたのは、メーカーや卸売会社から販売奨励金が支払われていたからだが、国の求めにより販売奨励金は縮小傾向にあり、6月1日を待たずに酒類の値上がりが始まっていた。
 改正酒税法は大手スーパーやディスカウントショップから「町の酒屋さん」を守ることを目的に議員立法で成立した。しかし、自由な価格競争を規制することは企業の経営努力の否定、消費者の不利益につながりはしまいかと心配する。そもそも不当廉売は独占禁止法で禁止されている。にもかかわらず、酒類だけを狙い撃ちすることに、消費者は理解を示すのだろうか。
 これら不利益と天秤にかけても保護が必要というのなら、「町の酒屋さん」以外にも守ってもらいたいものがある。「町の本屋さん」だ。活字離れとインターネットを介したオンライン販売によって、本屋さんは次々と廃業に追い込まれている。特に大手のアマゾンは送料無料だったり、翌日に配達したりと、品揃えも含め、本屋さんにはとても太刀打ちできない。
 このままアマゾンの猛攻を放っておけば現実社会の本屋さんはますます姿を消す。知と文化の集積地である本屋さんで、運営的な図書との出会いも無くなってしまう。
 フランスには文化の担い手である本屋さんを保護するための、いわゆる「反アマゾン法」があり、図書の無料配送の禁止などが盛り込まれている。この法律の実効性については不明だが、町の本屋さんを守ろうとの国の姿勢を評価したい。
 酒屋さんを守るためにビールの安売りに口を挟むのなら、是非、本屋さんのためにも国会議員諸氏に策を講じてもらいたい。

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