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岩盤規制と特区

 安倍総理の友人が理事長を務める加計学園が大学の獣医学部を新設した経緯が、文部科学省の前事務次官の発言によって大いに注目される事態となっている。文部科学省は獣医師の数が増えすぎるとして、過去50年以上、獣医学部の新設を認めてこなかったが、政府が四国に獣医学部がないことなどを理由に「国家戦略特区」を使って新設の道を開いた。
 そもそも国家戦略特区というものは、分厚い岩盤規制に官邸主導で風穴を開けて、国際競争力の強化、経済活動の拠点の形成を目指すもので、安倍総理が目指す成長戦略の柱の一つだ。
 ゆえに安倍総理以下官邸が国家戦略特区を主導するのは当然だが、その特区認定に総理の私情が働いた、もしくは官邸や文科省が忖度し、「加計学園ありき」ではなかったのか、という疑念が浮上しているわけだ。「総理のご意向」との真偽不明の記録文書が明るみになり、前事務次官が官邸によって「行政がゆがめられた」と告発したことで、いよいよ疑念が深まった。ただし、総理は国会で「働きかけていたら責任をとる」ときっぱり否定している。
 さて、今回、注目された国家戦略特区は各省庁が作り上げた規制を打ち破るものだ。ドローンの飛行、農家レストランの開業、企業の農地取得、都市公園内への保育所設置、公道での自動運転の実証実験、民泊の推進など、従来の規制ではできなかった先進的な取り組みが行われている。
 もちろん、日本にとって必要な規制や守るべき産業は存在する。しかし、古めかしい規制が産業の新陳代謝を阻害し、国際競争から遅れを取っていることもあるのでないか。
 例えば、海外旅行で気づくのはライドシェアサービスの充実だ。スマートフォンの配車アプリを活用し、一般ドライバーと乗客をマッチングさせるサービスで、スマホさえあればどこに居ようと即座に配車される。乗客にとって安くて便利だし、一般ドライバーも気軽に配車サービスの提供者になれる。
 しかし、日本では一般人が有償で乗客を運ぶのは「白タク」にあたることからこのサービスは過疎地など特定の地域でしか認められていない。おまけに、白タク行為を禁じる道路運送法の見直しはタクシー業界の反対もあって実現することはなさそう。世界で当たり前となりつつある便利なサービスが日本で普及するのは、いつの日か。
 規制打破の一里塚となるべき国家戦略特区。これが総理の「お友達」に手心を加えるようなレベルのものではないことを祈りたい。 

2017年05月29日 15:30 |


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