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忖度せず追及を、加計学園問題

 安倍晋三総理の旧知の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」による獣医学部新設に、総理の意向が働いていたとの疑惑。現段階では真偽不明ではあるものの「総理の意向」との文言が含まれた記録文書の存在が明るみになったことで、官邸の関与が大いに疑われることになっている。そして25日には、文部科学省前事務次官の前川喜平氏が記者会見で記録文書について「確実に存在していた」と強調し、「行政の在り方がゆがめられた」と批判した。
 文科省が「ない」と言っていた記録文書を、前事務次官が「あった」と証言しているのだから、国会での真相究明が求められるが、与党の腰は重く、国会議員は国民ではなく官邸を向いて仕事をしているのかと疑問符を付けたくなる。
 さて、この問題については、安倍政権に距離の近い読売新聞と、安倍批判に執心する朝日新聞の扱いの差が興味深い。
 朝日新聞はここ最近、「加計学園問題 疑問に正面から答えよ」(18日)、「安倍政権 知る権利に応えよ」(22日)、「前次官の証言 国会の場で解明せよ」(26日)と、社説で3回も取り上げ、疑惑の追及を訴えている。一方、読売新聞は連日紙面で加計学園問題を報じているというのに、政権への忖度なのだろうか社説では触れずじまい。
 加計学園の獣医学部新設に総理の意向が働いていたのか、という疑惑は17日の朝日新聞のスクープで真実味を帯びてきた。「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向だ」との記録文書が存在するとの報道だった。この日の朝刊各紙のトップニュースは、前日にNHKがスクープした秋篠宮ご夫妻の長女・眞子様の婚約報道だったが、朝日のみ加計学園問題をトップで扱い、異彩を放った(東京・大阪版)。
 「総理の意向だ」との文書が出てきたら、すぐさま調査に着手するのが筋だが、菅官房長官は即座に「怪文書」と切り捨てた。その後、文科省は「文書は確認できなかった」との調査結果を明らかにし、この問題に蓋をしようとした。
 そんな中、22日の読売新聞が唐突に、前川氏が文科省在職中に売春や援助交際の温床ともなっている「出会い系バー」に通っていたとのスクープ記事を出した。この時点では前川氏が記録文書を持っていることは明るみにはなっていなかった。
 翌23日、前川氏が朝日新聞のインタビューに応じ、記録文書の存在を証言。朝日新聞はこのインタビュー記事を25日に大きく報じた。前川氏が同日、記者会見を行ったことで、きょう26日の朝刊各紙の一面は加計学園問題が飾ることとなった。
 さて、この前川氏は文科省の天下り問題で今年1月事務次官を引責辞任しているが、その処分に対する逆恨みなのか、加計学園問題について告発する準備を進めていたとされる。それを察知した政権側が、前川氏の口を封じるため、もしくは前川氏個人の印象を貶めるため、出会い系バーへ通っていたとのスキャンダルを読売新聞にリークしたとの筋書きを描けそうではないだろうか。
 もしこの筋書きが予想通りなら、政権側が都合の悪い追及から逃れるためにメディアを利用して告発者への個人攻撃を行ったことになり、これは政権の横暴以外の何物でもない。
 文書が存在するのか否か、総理の意向によってルールが歪められたのか否か。与野党問わずに行政府の疑惑を追及するのが立法府、国会議員の役割だ。

2017年05月26日 16:28 |


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