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海外に身を置いて

 ミュンヘンから北へ列車で1時間の距離にある古都ニュルンベルクは、ワーグナーの歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台としても知られる。その街を拠点に活動するのが長浜市出身のフルート奏者・服部沙由梨さん。日本の音大を卒業後、ドイツに留学したが、留学前には兵庫県まで演奏と語学の勉強に通っていたというから、そのエネルギーに驚かされる。最近ではピアニストの夫パトリック・クブラーさんとユニット「ドス・ダイアモンズ」を結成し、ドイツや日本でコンサートを開いている。現地では日常の演奏活動のほか、小学校のブラスバンド授業の講師や、語学指導など、忙しくも充実した毎日を満喫しているようだ。
 単身、渡独する彼女の勇気に脱帽させられるが、音楽やバレエ、ファッションの世界での活躍を目指し、ヨーロッパを目指す若者は、ここ湖北地域でも少なくない。ただ、どうしても気になるのは日本の若者の内向き志向だ。
 今回の旅でも、ゴールデンウイークにもかかわらず、日本人旅行者の少なさが気になった。20年程前なら、ヨーロッパで出会うアジア人の多くが日本人だった。それが今では韓国人や中華系が主流で、特に韓国の若者には、どこででも出会う。しかも日本人の旅行者は女性ばかりで、男性はいったい何をして過ごしているのかと気をもむ。
 ローテンブルクで出会った富山県出身の30代の女性。仕事を辞めたのを機に4月から4カ月間のヨーロッパ周遊旅行中だった。ミュンヘンで再会し、ビアホールに一緒に出かけた。話を聞くと、初めてのヨーロッパであり、初めての単身旅行という。最初に訪れたフランス・パリではホームシックで夜、泣いたそうだが、今ではすっかりたくましい。相席のドイツ人男性に話しかけ、何を食べているのか、美味しいのか、と情報収集を欠かさない。1カ月も旅行していると簡単な英語も話せるようになったという。そんな彼女は節約のためユースホステルを泊まり歩いているが、そこでも日本人に出会わないと嘆いていた。小生と出かけたビアホールがヨーロッパで初めての日本人との食事ということで、大いに旅の体験談を語ってくれた。彼女はこのあと、オーストリアを経てクロアチア、ギリシャへと地中海沿いに東へ向かった。
 インターネット環境の充実で、ホテルの予約も列車のダイヤ確認も、目的地までのナビゲートもスマホ1台でこと足り、特に不自由もなく海外旅行を楽しめる時代になったというのに、好奇心と冒険心は韓国や中国、台湾、香港などに負けている日本。せめて一度だけでも若いうちに海外へ飛び出して、文化の異なる環境に身に置き、視野を広めてもらいたいと切に願う。

2017年05月24日 16:14 |


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